4.ラーメンタレの作り方その1

20年間研究した醤油ダレのレシピを公開します。これはタレづくりをする際の最低分量です。これよりも少なく作ると同じ物を作っても味が一定しません。詳しくは後述

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それぞれの材料は数種類ブレンドしても大丈夫です。例えば、塩を粗塩とヒマラヤ岩塩とデボラ湖塩をMIXするとかです。でも、最初のうちはシンプルな構成にした方が後で改善点を見出しやすくなると思います。

雪平鍋に材料を計量しながら入れていきます。家庭で使う場合はもう一回り小さい物で良いと思います。内側に目盛りがある物が便利です。

A.メイン醤油

これは自分自身が選んだ最高の生醤油です。味の核となります。どうしても選びきれない!という場合は2種類をブレンドしても良いですし、メイン部分だけを変えて2種類、3種類作ってみるのも良いと思います。
別にラーメン屋を開く訳でもないし、とりあえず家で自作ラーメンを作りたいという場合は、家にある醤油でも良いですしスーパーで選んで買ってきても大丈夫です。

B.サブ醤油+酒類

サブ醤油と酒類を合わせた合計がメイン醤油の半分になるようにします。サブ醤油と酒が半々である必要はありません。サブ醤油80:酒20でも大丈夫ですし、サブ醤油30:酒70でも大丈夫です。が、私の感覚ですと酒が多すぎると酒感が強く出てしまうような気がするので多くても50までがいいのかなと考えています。

具体的なサブ醤油ですが、これがド定番キノエネ白醤油です。キノエネさんは千葉県にある老舗の醤油メーカーさんです。おそらくですが、関東近郊の一般家庭の料理で白醤油を使っている人はほとんどいないと思います。この辺りのスーパーではあまり見かけません。きっと和食屋さんなどでは多用されていると思います。そのような普段口にしていない物を加える事によってお店のラーメン感を増長させるのです。

もうひとつのサブ醤油です。ヒガシマルのうすくち醤油です。テレビCMもよく流れているあの「うどんスープの素」を作っている会社です。これは私のマスターが使っていたので、おまじない的な要素もありますがうすくち醤油はこれと決めています。スーパーでもよく見かけます。

サブ醤油は上記2点をブレンドしても良いですし、どちらか片方でも良いですし、他の気になる濃い口醤油でも大丈夫です。作り方は無限大です。

酒類ですが、やはりワインが良いと思います。これはお客さんやアルバイトさんの反応を見たり聞いてみたりして一番ウケが良かったからです。もちろん自分で食べてみて実感しています。ワインと言っても安い物で十分です。私はビストロの白と赤をそれぞれ使っています。

C.甘み

甘みは事実上みりん一択です。※前回も書きましたがみりん風調味料ではなく本みりんを使います。
甘みなのでド直球で砂糖を入れても良いのですが(実際に砂糖を使うお店もあります)、みりんの果たす役割と砂糖の果たす役割は同じではなく、みりんを使った方が全体のまとまりが出ます
A+Bに対して10%くらいです。12%でも良いですし、みりんは5%くらいにして砂糖を入れても良いかもしれません。これは自分のラーメンの方向性や自分自身の好みも関係してきますので、10%を基準に調整してみて下さい。

D.隠し味

隠し味と言ってしまっている時点で隠し味ではないのですが、ナンプラーなどの東南アジアで醤油的に親しまれている物を入れる事によって複雑味が増してよりプロの味になります。私はこれをメインに3種類のナンプラーをMIXしています。A+Bに対して3%で十分です。癖が強いので入れ過ぎると逆効果です。

E.塩

醤油ダレに使う塩は粗塩であれば特にこだわらなくて良いと思います。塩だけで食わせる塩ラーメンの場合は色々吟味してみても面白いかもしれません。モンゴル岩塩、ヒマラヤ岩塩、オーストラリアの湖塩など調べると塩も色々な種類があります。
分量ですが、A〜Dの中で塩が入っていない物の量に対して17%です。今回の例で言うとワインとみりんには塩が入っていないので
(50+30)×17%=13.6gという計算になります。なぜ17%なのかと言うと、前にも書いたように醤油の塩分濃度は17%です。つまり、タレ全体の塩分濃度を17%にするために醤油以外の液体に17%の塩分を注入するのです。

塩や化調、乾物等を計るのにこのようなデジタル計りがあると便利です。家庭で使う分には1kg計りで良いかもしれませんが、業務用となると2kgまで計れる物の方が何かと使い勝手が良いです。

F.化調

とりあえず当店で使っているのは味の素です。

化学調味料については様々な意見があると思いますが、現代社会において外食をするなら99%化調が入っていると考えた方が良いです。それは日本だけではなく、アメリカでもヨーロッパでもアジアでも同様です。分かりやすい例で言えば全世界的に展開するマックのフライドポテトなんかも「塩+化調」で味付けされています。食べたら美味しいですよね?何十年も世界中で受け入れられている訳ですから、化調は悪い物では無いのです。はるか昔は鉱物性由来の原料で作られていたそうですが、今は完全に植物性原料から作っていると味の素社も明記しています。アンチ味の素の人は昔のイメージが払拭されていないだけだとも考えられます。
では分量です。青湯スープの醤油ラーメンには1杯当たり0.5g白湯スープのラーメンには1杯当たり2gです。この量が誰も化調が入っていると感じる事なく、かつ、化調の効果が期待できる分量です。では、なぜ青湯と白湯で化調の量がこんなに違うかと言えば、以前に書いたように青湯スープには旨味が多く入っていて、白湯スープには旨味が無いからです。
計算式は(A+B)÷30でタレの杯数を出します(ラーメン一杯に使うタレの量が30ccだから)。300÷30=10杯分なので10×0.5=5gになります。白湯の場合は10×2=20gです。

今回、A+Bが300cc(つまりラーメン10杯分)を例にしましたが、研究するのに何種類も作る時に材料費を節約するために5杯分とか3杯分とかの少量で作ると味ブレが出て二度と同じ物が作れません。なぜかと言うと1ccとか1gとかレベルの誤差(計り違い)が必ず発生しているからです。300ccに対する1gと150ccに対する1gでは、たった1gでも大きな影響を受けるのです。逆に3リットルに対する1gであればさほど問題が無いと言えます。つまり、分量が多いほど味ブレが起こりにくいという事になります。なので、少なくても10杯分で研究するのがベターです。

少し長くなってしまったので、タレづくりその2へ続きます。

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