2.ラーメンスープの基礎知識

ラーメンのスープについてもう少し掘り下げて考えて行きます。

ラーメンスープは、青湯スープと白湯スープの2種類に分けて考えられます。(マオタンスープというのもありますがまだ研究中なのでここでは省きます)

青湯スープは中華そばのようなタイプのスープ。白湯スープは鶏白湯のようなタイプのスープです。この2つのスープの違いを簡単にまとめてみましたので下表をご覧下さい。

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すべてが真逆になっている事が明白ですね。同じ「ラーメン」でありながら青湯と白湯は正反対の性格をしている訳です。この2種類は好みが分かれるところですね。若者は白湯系を好むとか、お年寄りは青湯系を好むとかと言われる事もありますが、これは本当に好みの問題で簡単には割り切れない部分でもあります。(実際に自分で店をやってみて分かった事です)

で、一番注目して欲しいのは表の一番下の旨味についてです。これはものすごく勘違いされている人が多いのですが、「旨味」は圧倒的に青湯スープに多く含まれています。※旨味成分としての話であって、実際に食べてみて美味しいと感じるかどうかの話ではありません。
つまり、白湯スープというのは強火でガンガン炊くので、食材に含まれる「旨味」を殺してしまうスープなんです。

「でも、鶏白湯美味しいじゃん!」という人もいらっしゃると思いますけど、そりゃあ美味しく仕上げるのがラーメン屋の仕事なんで、美味しくなるように作るんです。ここで言いたいのは白湯スープとは、「あの舌触りを楽しむスープである」という事です。決して強火でガンガン炊いたから美味しくなる訳ではなく、何十時間煮込んだから美味しくなる訳でも無いんです。

という事で、ラーメンスープに使う材料についてです。

ゲンコツ、背ガラ、豚足、豚頭、背脂、丸鶏、鶏ガラ、もみじ、鶏皮と言った動物系と昆布、煮干し、かつお節等の節系、干し椎茸等の乾物系があります。

諸説色々ありますが、豚材料は100℃で、鶏材料は90℃で炊くとしっかり旨味が抽出されると言われています。具体的な店名は伏せますが、テレビにもよく出る東京都内の超有名店の店主さんが、鶏は80℃で炊くのがベストだ!と何かの雑誌に書かれていたのでお店によって色々な考え方があるんです。ラーメンという食べ物は正解が一つでは無いので色々試してみるのも面白いですね。

乾物系は常温から80℃くらいまでが限界でそれ以上高温にするとえぐみが出ると言われています。が、恐らくこれは和食の世界の話であって、ラーメンの世界ではあまり気にしなくて良いのではないかと思います。(高級料亭のようなラーメンを目指すなら別です)

続いてそれぞれの煮込み時間です。

細かい話は抜きにしてザックリまとめると、鶏材料は4時間豚材料は6時間乾物系は水出しで半日くらいです。4時間と6時間説は昔テレビで見たラーメンの鬼の佐野実さんが言っていたのが根拠で私は信じているし、実感しています。
例外的な部位として背ガラは結構早く出汁が出るので4時間くらいで大丈夫です。逆に豚頭(まさに豚の頭です)は使った事ないのですが12時間とか、18時間とか24時間とか炊き続けるみたいです。豚頭は九州のとんこつラーメンタイプのラーメンで使われる事が多い部位です。頭なので当然脳みそが入っていてかなり臭いが強いので長時間煮込んで臭みを飛ばす意味合いもあるのだと思います。

旨味とは何か

鶏ガラとかゲンコツとかを煮込んでラーメンスープを作る訳ですけれども、要は水に食材の旨味を抽出した物がラーメンスープです。それぞれの食材が持つ旨味成分について説明致します。小学校か中学校で習ったと思いますが、グルタミン酸とかイノシン酸とかの話です。

鶏・・・グルタミン酸
豚・・・イノシン酸
貝類・・・コハク酸
椎茸・・・グアニル酸

※鶏はグルタミン酸しかない訳ではなくてイノシン酸もあり、豚にイノシン酸しかない訳ではなくてグルタミン酸もあります。鶏にはグルタミン酸が多く、豚にはイノシン酸が多いという事で切り分けしています。

で、どれが一番旨いのか?というのはナンセンスな思考で、全部混ぜた方がより旨くなります。これを「旨味の相乗効果」と言います。
例えば、「俺は名古屋コーチンの丸鶏100%でスープ作ってるぜ!」というよりも、「名古屋コーチン+豚ガラ」の方が旨味が掛け合わされて増幅すると言われています。有名所で言えば家系って、豚ガラベースのスープ(丸鶏も入ってるけど)に鶏脂をプラスする事で独特な旨さを作り出していますよね。
更に椎茸や貝類をプラスするととんでもないレベルの相乗効果が得られます。

ただ、鶏100%や豚100%であっても旨いラーメンは旨いんです。ここがラーメンの難しいところですね。


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