5/25 「孤独をめぐる冒険。」

ここまで孤独でありつつ生き永らえる時代はなかった。わたしは、これまで数万人との対話を重ねたなかで、またひとつの結論に至った。今夜に孤独にまつわる考察を添えて。現代は、まさに孤独をめぐる冒険なのだ。

「わたし、もう限界なの。だからわたしたち、まう別れるしかないわよ。」「そうか。それなら、しかたない。」「しかたない?ふざけないでよ。引き留めるのが、筋、ってものでしょ?」「でも、きみとぼくは、もう別れてしまったからね。いちど動きはじめたものは、もう止まらない。止まることはできないんだ。」「ねえ、ちょっと待ってよ。そんなのったら、ないじゃないの。」

わたしたちは、あまりに孤独に近づきすぎてしまっているのかもしれない。人と付き合うことは億劫で、面倒だ。それを避けることができたら、生きることはどんなに軽々しい姿に変わるだろう。わたしたちは、できるだけ億劫さを拭い去るために、あらゆる工夫をしてきた。しかし、それでも何処かにしっとりと濡れていた。拭いきれない湿気があった。それが、ない。

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