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欧州から急遽帰国、疲労困憊の顛末記

欧州出張を順調にこなした団体行動の最終日、ブリュッセルにて明日から個人行動という時に家族から緊急連絡。
「親戚が危篤のため、直ぐに帰国して欲しい」

人命にかかわることなので、できるだけ早く帰国しようと航空券の変更を重ねるも、全て裏目に出て、結局帰宅できたのは予定の25時間後。

ここまで心身ともに披露困憊した渡航は初めてだったので、記録としてまとめておく。
(note閉じていなくて良かった)


当初の帰国予定

6/19(水)
JL6526 11:05 Brussels > 11:20 London LHR
JL7120 13:00 LHR >  10:55 +1 Tokyo HND プレミアムエコノミー
JL319   13:00 +1 HND > 14:50 +1 Fukuoka FUK
 …福岡着予定6/20(木)14:50


6/14(金)12:47 家族から親戚が危篤の報が入る。手術は最も早くて6/17(月)午後。
この先の旅程を全て取り止めて、翌日に帰国することを決める。観光はさておき、打合せやアポも泣く泣くキャンセル。

ブリュッセルの行程を終えてから、18:00頃にホテルに戻って航空券の手配開始。
JALの欧州コールセンターは営業終了、オンライン変更は期限の72時間前を過ぎていて不可能。JALの航空券解約は、わずかだが5万円は戻ってくることを確認し、自腹で片道航空券を購入することを決める。
体調を考えると遠距離便はエコノミーは避けたく、かと言って自腹の限界もあってプレミアムエコノミーが本命。
スカイスキャナーや各社ウェブサイトを駆使して、ANAプレミアムエコノミー残り1席を見つけたが、クリックする勇気を持てないまま、出発24時間前の19:00を過ぎた瞬間に値段が2倍に上がって断念。
エコノミーで耐える覚悟を決め、万一に備えて、解約手数料がかからない航空券を購入。JALの航空券は未だ解約せずにキープ。

変更1:6/14(金)19:30、ブリュッセルのホテルにて手配

6/15(土)
SN2093  09:50 Brussels > 10:15 London LHR
NH212 19:00 LHR 17:15 +1 HND エコノミー
NH269 19:00 +1 HND > 20:50+1 FUK
  …福岡着予定6/16(日)20:50


そして、自由な街歩き無しでブリュッセルを一日で去ることとなり、最後の晩餐はせめてものアスパラガス。

今が旬のアスパラガス

6/15(土)朝、ブリュッセル航空SN2093便、何故かビジネスクラスに無償アップグレード。快適にロンドン着。

ブリュッセル航空ビジネスクラスの朝食(質素)


強運を感じ、ひょっとしたらJALに再交渉できるかも、と思ってJAL欧州コールセンターに電話。
当初切符の変更は可能で、パリ経由便だとプレミアムエコノミーが2席残っており、金額(差額+変更手数料)はANAエコノミーとほぼ同じ。迷わず購入し、ANAを無料で解約。

変更2:6/15(土)11:00、ロンドン ヒースロー空港にて手配

6/15(土)
AF1781 14:45 London LHR > 17:05 Paris CDG
JL46  20:25 CDG >  17:20 +1 Tokyo HND プレミアムエコノミー
JL331 18:45 +1 HND >  20:40 +1 Fukuoka FUK
  …福岡着予定6/16(日)20:40


ヒースロー空港滞在を4時間ほど短縮でき、嬉しい気持ちでJAL提携のエールフランス航空のラウンジで寛ぐ。
ゲート発表時刻の13:30が14:00になり、14:15になり、ここで遅延の発表。時間未定。乗り継ぎ時間が3時間20分あるから、まあ何とかなるだろ、とコーヒーを飲んでいるうちに出発時刻16:45との発表。

ギリギリだなあと思いつつ、まあ何とかなるだろうと思って搭乗したら、機械的に割り当てられた席が最後列の窓側。降りるのが最後だ…
そして、16:45になっても飛び立たない。
「エアコンの故障を修理しているので、機内待機をお願いします。換気のため、ドアを開けます。」
という謎のアナウンス。
流石に不安になってきたが、もうどうにも出来ないので観念してスマホを触ること約1時間。


結局、出発は3時間遅れの17:49。
これでは「パリ到着時刻=乗継便の出発時刻」になってしまう。
日系の航空会社だと待っていてくれる可能性もありそうだが、エールフランスでは考え難い…

「乗継便に間に合わなさそうなのだが、何とかサポートしてもらえないか?」
とダメ元で男性CAに尋ねたところ、
「ムッシュ、ご心配なく。エールフランスはJALのパートナーで、貴方の乗り継ぎ情報を共有しています。パリに着いたら、真っすぐにゲートに向かってください。多分待っていてくれるでしょう。もしも、出発後だったら、空港のカウンターに相談してください。」
という、丁寧な言葉で内容の無い、まさにフランス官僚的な回答。


パリ到着は20:20、出発時刻の5分前。

ようやくシャルルドゴール空港へ


全力でゲートに走るも、パスポートコントロールに遭遇。
EUを離脱した英国はシェンゲン協定も離脱しているのか… 見落としていた。

フランスに入国して、次のゲートに入ろうとすると、機械からブーという無情の響き。
女性スタッフが笑顔で
「あなたの搭乗便は出発しました。下の階のエールフランスのカウンターに行ってください。」

カウンターに行くと、いかにもフランス官僚的な雰囲気のおじさんが意外と親切。
「ご親戚の緊急事態、私たちはJALのパートナーとして全力を尽くします。」

深夜発のエールフランス羽田行き、中国東方航空北京行き、キャセイパシフィック香港行きなどに振り替えようとするも、
「ムッシュ、あなたの航空券はJALが明日の同便に振り替えており、ロックがかかっています。当社では変更ができません。」

JALに電話もしてくれたが、既に営業時間は終了… 完全に詰んで、翌日まで空港1泊が決定。やり場の無い悲しみと徒労感… 親戚が心配。

変更3:6/15(土)21:00、パリ シャルルドゴール空港にて手配

6/16(日)
JL46  20:25 CDG >  17:20 +1 Tokyo HND プレミアムエコノミー
JL331 18:45 +1 HND >  20:40 +1 Fukuoka FUK
  …福岡着予定6/17(月)20:40

エールフランスのスタッフから提案
「ムッシュ、日本が朝になったらJALの日本に電話して、航空券の変更をエールフランスが出来るように依頼してみてください。もしかしたら、繰上げ可能になるかもしれません。」
エールフランスが空港近くのホテルを手配、30ユーロのレストランバウチャー、アメニティセット、夜食用のランチボックスを支給。


そして、バゲージクレームに、スーツケースを確認に行く。
エールフランスの職員は笑顔で
「ムッシュ、申し訳ありません。あなたのスーツケースは明日のJALの同便に乗るように手配されており、既に貨物ゾーンにあるので取り出すことはできません。ご安心ください、明日東京でお受け取りください。」


シャトルバスに10分ほど揺られてホテルに着くと、受付に長蛇の列。
パソコンが故障し、部屋のカードキーが発行できない状況…
「大変申し訳ありませんが、順番にお呼びしますので、椅子におかけください」
順番を見ていないのに…
似たような境遇の旅行者ばかりで、ロビーの雰囲気がギスギスして辛い。
横入りしようとする外国人を抑えながら、約1時間待たされて、さらに疲労困憊。


Appart'City Collection Paris Roissy CDG Airportの無駄に広い部屋

部屋に入ったのは23:00過ぎ。
エールフランス、機内食は美味しいのに、ランチボックスがここまで不味いとは思わなかった…

缶詰のタブーレ、林檎ジュース、クラッカーとパテ、どれも不味い


着替えを一式持っていたのが幸い。
シャワーを浴びて着替えた後、疲れているのに覚醒していて眠れず。

日本が翌朝8:00になった深夜1:00に日本のJALに電話。奇跡的に一発で繋がった。
「航空券のロックはチェックインがかかっているためで、それを解除することは上司の許可があれば可能かもしれません。それができた場合でも、預けたスーツケースについては、エールフランスのスタッフが取り出して別便に振り替える必要があり、それはJALでは保証できません。スーツケースと旅客を別便で送ることはできません。」
テロのことを考えたら当然のセキュリティ措置だ。

エールフランスがやってくれるはずがない、と便の変更を完全に断念。
あと19時間あるので、久しぶりに目覚まし時計をかけずに寝る。
元気だったら、昼間にパリ市内まで行ってみようかな。


朝8:30に自然に目覚めると大雨。
知り合いも不在なことがわかり、傘はスーツケースの中なので、もうパリ市内行きは断念。
ホテルと空港で過ごすことに決定。

少しだけでもパリ気分を味わいたく、空港のレストランでお勧め料理をいただく。美味しいが切ない。

骨付き鶏の煮込み


その後、ラウンジで7時間を過ごして、ようやく搭乗。


パリから羽田の便は、乗ってしまえば快適。
読書用のKindleをスーツケースに入れたと思い込み(実はリュックの底にあった)、映画を観ることに。
『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』でアドレナリンが出て、『カサブランカ』でバーグマンの美しさに感動、そしてストックホルムを懐かしむ。
ちょっと元気が出てきた。


ようやく羽田着。

ここで、親戚の手術成功の一報を受けて安堵。
どっと緊張感が解けた。

福岡行き乗り継ぎがギリギリの中、スーツケースが最後まで出て来ない…
JAL職員に確認してもらったところ
「パリのシャルルドゴール空港にあるようです」
案の定、エールフランスの口約束は当てにならない。

一方、JALのスタッフ(若手ではなくベテラン)は素晴らしく、テキパキと事務処理をした上で、福岡への乗継便を最終に繰り下げてくれた。
普段は丁寧過ぎてうんざりする日系航空会社は、こういう時はとても頼りになる。

変更4:6/17(月)18:30、羽田空港にて手配

6/17(月)
JL335 19:30  HND > 21:35  Fukuoka FUK
  …福岡着6/17(月)21:47 ★当初より約25時間遅れ

荒天で大揺れのフライト、羽田で買った鶏飯おにぎりが旨い…

福岡に着いたら大雨。梅雨入りしているから当然か。

大雨の福岡空港


そして、傘が無い。
すかさず空港のローソンでビニール傘を購入。本当に日本は至れり尽くせりで便利だ。


まとめ

一時は命が危ぶまれた親戚の手術に家族が立ち合えて、かつ手術が上手く行ったことが、唯一にして最大の報い。自分自身は手術に間に合わなかったけど、トータルで見れば良しとしよう。

とても高い授業料だったが、意地でも何かを学びたいので、思いつくこととしては:

  1. こういう時こそ、一つ一つを丁寧に、淡々とこなす

    • 意思決定は早さよりも、冷静さが重要

  2. 遅延は頻発し、乗り継ぎリスクは大きい

    • 特に英国はシェンゲン協定外だから入国管理の時間も必要

  3. リスク・リターンの判断を冷静に

    • リターンはプレミアムエコノミーであることくらいなのに、乗り継ぎリスクを取ったことを反省(結果論だが失敗)

  4. キャリーオンだけで長期出張もこなしたい

    • 人生二度目のロストバゲージ、翌日になっても未だ連絡がない

  5. 航空会社は日系が安心

    • 平時は過剰に思えるサービスは、緊急時にはありがたい

  6. 海外から日本のフリーダイヤルにはSkypeで

    • 日本のJAL窓口への連絡では、プッシュボタンも動作した

  7. 価格を気にせずにビジネスクラスを即座に発券できるくらい稼ごう

必ずブリュッセルにはまた行きたい。
(ここまで書いて、少し気持ちが収まって来た)

追伸:ディレイド・バゲージについて
6/19(水)正午、JALから着電
本日13:30に羽田着、最も早くて6/21(金)午前中に自宅配送とのこと。
随分かかったな…

追伸その2:スーツケース破損して到着
6/21(金)10:15、スーツケースが自宅に宅配される
予想どおり、無事ではなかった…

JAL Global Clubのタグが虚しい4日遅れの自宅着

「中國東方航空公司」のタグが謎である

宅配便の送り状に「ヤブレあり」の注意書きがあり、見てみると大きな割れが。古くても愛着あるので、海外旅行傷害保険を申し込んでみた。

追伸その3:スーツケース無償修理されて帰還
7/13(土)20:30、宅配便配送
クレジットカード付帯の海外旅行傷害保険によって無償修理され、宅配便で送り返されてきた。終わり良ければ総て良し、としよう。

他の傷と比べて修理箇所の艶の美しさよ!

(完)


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