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冠動脈閉塞性を伴わない心筋梗塞(MINOCA)と心筋虚血(INOCA)

冠動脈閉塞性を伴わない心筋梗塞(MINOCA)と心筋虚血(INOCA)

冠動脈閉塞性を伴わない心筋梗塞(MINOCA)と心筋虚血(INOCA)は、冠動脈疾患のサブタイプで、それぞれ心筋梗塞と心筋虚血を引き起こすものの、冠動脈の有意な閉塞は見られません。これらの症状は通常、従来の冠動脈疾患とは異なる原因や治療法が必要とされることが多いです。

MINOCA(冠動脈閉塞性を伴わない心筋梗塞)

MINOCAは、心筋梗塞の徴候がありながら、冠動脈造影検査で冠動脈に有意な狭窄(通常、50%以上の狭窄)が認められない病態です。

原因

MINOCAの原因は多岐にわたりますが、以下のようなものがあります。

  • 冠微小循環障害(CMD)

  • 冠動脈攣縮

  • 冠動脈自然解離

治療

MINOCAの治療は、その原因に応じて変わります。従来の心筋梗塞の治療法とは異なるアプローチが必要とされることがあります。たとえば、抗凝固薬や抗血小板薬、血管拡張薬、カルシウム拮抗薬、心臓リハビリテーションが適用されることがあります。

INOCA(冠動脈閉塞性を伴わない心筋虚血)

INOCAは、心筋虚血の症状があるものの、冠動脈造影検査で有意な狭窄が認められない病態です。心筋虚血の症状には、胸痛や息切れが含まれます。

原因

INOCAの原因は以下のようなものがあります。

  • 冠微小循環障害(CMD)

  • 冠動脈攣縮

治療

INOCAの治療は、原因や症状の程度に応じて変わります。生活習慣の改善、薬物療法、心臓リハビリテーションなどが一般的に行われます。

生活習慣の改善

INOCA患者にとって、健康的な生活習慣の維持が非常に重要です。喫煙の禁煙、適度な運動、バランスのとれた食事、ストレス管理などが心筋虚血の症状を軽減し、心血管リスクを減らすことができます。

薬物療法

INOCAの治療には、以下のような薬物が使用されることがあります。

  • ニトログリセリン:短期的な痛みの緩和に役立ちます。

  • β-ブロッカー:心臓の酸素消費量を減らし、症状を軽減します。

  • カルシウム拮抗薬:血管を拡張し、血流を改善します。

  • スタチン:コレステロール値を下げることで、動脈硬化の進行を抑えます。

心臓リハビリテーション

心臓リハビリテーションは、患者が心血管の健康を維持・改善するための個別化された計画を提供します。運動トレーニング、栄養カウンセリング、ストレス管理、喫煙の禁煙支援などが含まれます。

まとめ

冠動脈閉塞性を伴わない心筋梗塞(MINOCA)と心筋虚血(INOCA)は、冠動脈の有意な閉塞性がないにもかかわらず、心筋梗塞や心筋虚血の症状がある病態です。これらの症状は、従来の冠動脈疾患とは異なる原因や治療法が必要とされることが多く、生活習慣の改善、薬物療法、心臓リハビリテーションなどが重要な役割を果たします。患者にとっては、症状の管理や健康的な生活習慣の維持が非常に重要です。

2023 年 JCS/CVIT/JCC ガイドライン

フォーカスアップデート版 冠攣縮性狭心症と冠微小循環障害の診断と治療


https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/03/JCS2023_hokimoto.pdf


2008年と2013年に、日本循環器学会が冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドラインを発表しました。冠動脈の狭心症は、心臓に酸素や栄養を送る血管が狭くなる病気です。

最近では、

冠動脈閉塞を伴わない心筋伷塞
(myocardial infarction with non-obstructive coronary arteries: MINOCA)や心筋虚血(ischemia with non-obstructive coronary artery disease: INOCA)の

新たな概念が提案されています。

最新の研究では、冠攣縮性狭心症や微小血管狭心症の診断基準が提案されました。心臓の症状があっても、血管に異常が見つからない場合に、冠動脈機能異常を疑うことが大切です。

このガイドラインでは、冠攣縮や冠微小血管攣縮、非閉塞性冠動脈疾患といった病気の位置づけを考慮し、以下の改訂が行われました。

  1. 新しい疾患概念として、MINOCAやINOCAを記載しました。

  2. 冠攣縮の病態、診断、治療に関する新しい知見を追加しました。これには、遺伝子多型や微小血管攣縮、薬剤溶出性ステント留置後の関連性、小児疾患との関連性などが含まれます。

  3. 冠攣縮薬物誘発試験では、局所的な冠攣縮だけでなく、びまん性冠攣縮も陽性としました。

  4. 太い心外膜の冠攣縮や、血管造影では見えない血管径の冠微小血管攣縮、そしてCMDの関与する微小血管狭心症について、図を使って関連性を理解できるようにしました。

以前からの報告

以前から、心臓の血管に詰まりがないのに心筋梗塞が起こる場合があることが分かっていました。2012年に、この現象をMINOCAという言葉で表現するようになりました。最近の技術進歩で、心筋梗塞の診断や治療が進化しましたが、「血管に詰まりがない」心筋梗塞はまだ理解や治療が難しい状況です。

最新の心筋梗塞の定義では、心筋梗塞と他の原因による心筋の損傷を区別することが重要です。MINOCAは、心臓の検査をした時に一時的に診断されるもので、すぐにすべての原因を特定できないことがあります。そこで、トロポニン陽性非閉塞性冠動脈(TP-NOCA)という言葉も使われています。大切なことは、様々な検査方法を使って原因を調べることです。

以前から報告されていた閉塞・狭窄のない急性心筋梗塞について、2012年にMINOCAという用語が提唱され、注目を集めました。技術革新により、高感度心筋トロポニン測定系の確立や急性心筋梗塞のUniversal Definitionの提案、緊急冠動脈造影がルーチンに施行可能となり、予後改善が進んでいます。一方で、「閉塞血管を有さない」心筋梗塞が存在し、診断や治療に苦慮する場面が増えています。Universal Definition改訂第4版では、心筋梗塞と非心臓由来の心筋傷害や冠動脈疾患以外の原因による心筋傷害を区別することが明記されています。MINOCAは冠動脈造影時に暫定的に診断される"working diagnosis"であり、冠動脈造影の時点で非虚血性の心筋傷害をすべて除外することは現実的ではありません。トロポニン陽性非閉塞性冠動脈(TP-NOCA)という用語が提唱されており、MINOCAを冠動脈造影時点の"working diagnosis"として捉え、種々のモダリティを用いて原因を鑑別することが重要です。

MINOCAの想定される原因疾患

  • 冠動脈疾患

    • プラーク破綻・びらん

    • 冠攣縮

    • 冠微小循環障害 (CMD)

    • 冠微小血管攣縮

    • 特発性冠動脈解離 (SCAD)

    • 冠動脈に及ぶ大動脈解離

    • 冠動脈塞栓症

    • 冠動脈slow flow

  • 非冠動脈疾患

    • 心筋炎

    • たこつぼ症候群

    • 心筋症

    • 先天性凝固異常

    • 肺血栓塞栓症

    • 敗血症

冠攣縮の関与

  • 血管平滑筋細胞のRhoキナーゼ経路の亢進

  • 血管内皮からの一酸化窒素の産生低下による内皮機能障害

  • 血管外膜および周囲脂肪組織の炎症

検討が必要な治療

  • 病因に応じた治療

  • 冠攣縮の関与を考慮した治療

冠攣縮は冠動脈疾患と非冠動脈疾患の原因となる可能性があります。MINOCAでは、単一または複数の病因の重複を考慮して精査を進め、その病因に応じた治療の検討が必要です。また、冠攣縮の関与を考慮した治療が重要であることが指摘されています。

冠攣縮は血栓ができやくすなる

冠攣縮は、血管の収縮を引き起こし、血流が悪くなり心筋の虚血を起こす現象です。これにより、血栓ができやすくなります。急性冠症候群やMINOCAの原因の一つであるSCADに冠攣縮が関与している可能性がありますが、研究結果にはまだ不確定な部分があります。

冠攣縮は、血管平滑筋細胞のRhoキナーゼ経路の亢進、血管内皮からの一酸化窒素の産生低下、血管外膜および周囲脂肪組織の炎症が関与し、冠動脈局所の収縮を亢進させ、冠血流の低下と心筋虚血を引き起こす。冠攣縮は凝固系の亢進、線溶活性の低下、血小板の活性化と接着分子の放出促進を引き起こし、易血栓形成の状態となる。

光干渉断層法(OCT)で観察した研究では、冠攣縮部位やその近位部に血栓やプラークびらんが認められた。急性冠症候群における不安定プラークの破綻の機序の1つとして、冠攣縮による機械的ストレスが関与していることが示唆される。

また、MINOCAの原因の一つであるSCADにおいて、冠動脈解離の発症機序に冠攣縮の関与が指摘されている。ただし、後ろ向き研究では冠攣縮やCMDの関与を認めなかった報告もあり、今後の研究が待たれる。

冠微小循環障害(CMD)と冠微小血管攣縮

冠微小循環障害(CMD)は、心臓の血流を支配する小さな血管(冠微小血管)が、構造的または機能的に変化して正常に働かなくなる病態です。これにより、心筋(心臓の筋肉)への血流がうまく行われず、心筋虚血(しんきんきょけつ:心筋が酸素や栄養分を十分に得られない状態)や心筋梗塞(しんきんこうそく:心筋の血流が完全に止まり、心筋が壊死する状態)が引き起こされることがあります。

冠微小循環障害のタイプ

CMDは、その原因や状況によって4つのタイプに分類されます。

  1. CMDタイプ1:微小血管狭心症 - このタイプでは、心臓の小さな血管が狭まって、心筋への血流が制限されます。これにより、狭心症(胸痛)や心筋虚血が引き起こされることがあります。

  2. CMDタイプ2:心筋疾患に合併するCMD - このタイプでは、心筋症(心筋が肥大したり、弱くなったりする病気)や心筋炎(心筋が炎症を起こす病気)などの心筋疾患に、冠微小循環障害が合併しています。

  3. CMDタイプ3:閉塞性冠動脈疾患に併存するCMD - このタイプでは、大きな冠動脈にも狭窄(狭まり)や閉塞があり、さらに冠微小血管の障害も合わせて起こっています。これにより、心筋虚血のリスクが高まります。

  4. CMDタイプ4:医原性CMD - このタイプは、心臓の血管に対する医療行為(例えば、冠動脈の詰まりを治療するための手術やカテーテル治療)が原因で、冠微小血管の障害が生じる場合です。

CMDと心血管疾患の関係

CMDは、INOCA(冠動脈に有意な狭窄がない虚血性心疾患)やMINOCA(冠動脈に有意な狭窄がない心筋梗塞)だけでなく、他の心血管疾患にも関連しています。例えば、心外膜冠動脈疾患(心臓の外側を取り巻く冠動脈の病気)、一次性心筋症(遺伝性や環境的要因による心筋の病気)、たこつぼ症候群(ストレスなどの原因で心筋が一時的に弱くなる病気)、心不全(心臓が体に十分な血液を送り出せない状態)などがあります。特に、駆出率の保たれた心不全(心臓が収縮力は正常でも、拡張機能が低下している状態)では、CMDが重要な役割を担っていると考えられています。

冠微小循環障害(CMD)は、心臓の血流を制御する小さな血管がうまく働かなくなることで、さまざまな心血管疾患に関与し、患者さんの症状や予後に影響を与えることがあります。そのため、CMDの早期発見や適切な治療が重要です。医師と相談し、適切な診断や治療を受けることが大切です。


遺伝子解析の今後の可能性が見える部分



1. 遺伝的要因


冠動脈疾患には家族内発症が比較的多く認められ,生 活習慣に問題がなくても発症する例もあることから,「遺 伝的要因」の関与も示唆されている.近年,疾患の発症や 病態に関わる遺伝子が多数クローニングされ,
「2013年改 訂版 冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライ ン」においても冠攣縮と遺伝子多型との関連性が記載さ れている.疾患の遺伝的要因が解明されると,個々の遺伝 情報に基づいたオーダーメード医療により一次予防に寄与 できる可能性がある.

2013年の改訂版以降としては,アセ チルコリン誘発試験において冠循環中の乳酸産生が増加す る冠攣縮性狭心症患者では,-786T/C 遺伝子多型,女性, 糖尿病が有意に関連していることが新たに示された.

Sun H, Mohri M, Shimokawa H, et al. Coronary microvascular spasm causes myocardial ischemia in patients with vasospastic angina. J Am Coll Cardiol 2002; 39: 847-851. PMID: 11869851

2. ALDH2多型とアルコール代謝

冠攣縮発作には個人差があるが,飲酒後酔い醒めの時 間帯に多い.飲酒は冠攣縮の危険因子であり,アルコール の有害性の機序の 1 つとして,飲酒によりマグネシウム (Mg)の尿排泄が増して組織でのMg欠乏が生じることに 由来する.

199. Goto K, Yasue H, Okumura K, et al. Magnesium deficiency detected by intravenous loading test in variant angina pectoris. Am J Cardiol 1990; 65: 709-712. PMID: 2316451

200. Miwa K, Igawa A, Miyagi Y, et al. Importance of magnesium deficiency in alcohol-induced variant angina. Am J Cardiol 1994; 73: 813-816. PMID: 8160621


エタノールの代謝過程において合成されるアセトアルデ ヒドは,口腔・咽頭・食道の癌のほかに,大腸癌,肝臓癌, 乳癌などと関連しており,

Boffetta P, Hashibe M. Alcohol and cancer. Lancet Oncol 2006; 7: 149-156. PMID: 16455479

循環器系では特に冠攣縮と関連がある67, .

Yasue H, Mizuno Y, Harada E. Coronary artery spasm ̶ Clinical features, pathogenesis and treatment. Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci 2019; 95: 53-66. PMID: 30745502

ALDH2蛋白質はヒトの肝臓を中心にさまざまな組織や 細胞においてエタノールの代謝産物であるアセトアルデヒ ドの酸化およびその無害化に寄与しており,さまざまな反応性アルデヒドの分解に重要な役割を果たしている.

Chen CH, Ferreira JC, Gross ER, et al. Targeting aldehyde dehydrogenase 2: new therapeutic opportunities. Physiol Rev 2014; 94: 1-34. PMID: 24382882

さらにALDH2遺伝子多型により,アルコール代謝過程に おけるアセトアルデヒド量の時間経過には個人差が生 じる. 日本人の心血管病症例を対象としたゲノムワイド関連 研究において,

Takeuchi F, Yokota M, Yamamoto K, et al. Genome-wide association study of coronary artery disease in the Japanese. Eur J Hum Genet 2012; 20: 333-340. PMID: 21971053


欠損型 ALDH2遺伝子型(ALDH2* 2) を示す遺伝子座(rs671)がその強い予測因子として特定 された.また,東アジアのメタ解析でもALDH2* 2と冠動 脈疾患および心筋伷塞との関連が報告されている .

Gu JY, Li LW. ALDH2 Glu504Lys polymorphism and susceptibility to coronary artery disease and myocardial infarction in East Asians: a meta-analysis. Arch Med Res 2014; 45: 76-83. PMID: 24333098

ALDH2* 2は東アジア人に多く(30~50%),他の集団では まれであり,飲酒後の顔面紅潮・吐き気・動悸・眠気・頭 痛などを示すアルコールフラッシング症候群と関連してい る.

Gu JY, Li LW. ALDH2 Glu504Lys polymorphism and susceptibility to coronary artery disease and myocardial infarction in East Asians: a meta-analysis. Arch Med Res 2014; 45: 76-83. PMID: 24333098

一方で,冠攣縮は,アルコールフラッシング症候群 およびエタノールパッチテストの陽性反応と関連することから

Mizuno Y, Morita S, Harada E, et al. Alcohol flushing and positive ethanol patch test in patients with coronary spastic angina: possible role of aldehyde dehydrogenase 2 polymorphisms. Intern Med 2013; 52: 2593-2598. PMID: 24292747

ケースコントロール研究がなされ,ALDH2* 2と 冠攣縮性狭心症との有意な関係性が明らかとなった.これ までの遺伝的要因とともに,ALDH2* 2も冠攣縮の重要な因子といえる


冠攣縮性狭心症を疑う場合,遺伝 子の検査ができなくても,病歴聴取の中でアルコールフラッシングの有無またはエタノールパッチテストの結果が 参考になる. さらに,ALDH2* 2が喫煙と組み合わさると,冠攣縮の リスクが相乗的に増幅する

Mizuno Y, Hokimoto S, Harada E, et al. Variant Aldehyde Dehydrogenase 2 (ALDH2*2) in East Asians Interactively Exacerbates Tobacco Smoking Risk for Coronary Spas ― Possible Role of Reactive Aldehydes. Circ J 2016; 81: 96-102. PMID: 27904031

また,わが国の心筋伷塞症例においてはALDH2* 2が多いが,その要因として冠攣縮 の関与が示されている

Mizuno Y, Hokimoto S, Harada E, et al. Variant Aldehyde Dehydrogenase 2 (ALDH2*2) Is a Risk Factor for Coronary Spasm and ST-Segment Elevation Myocardial Infarction. J Am Heart Assoc 2016; 5: e003247. PMID: 27153870


ALDH2はニトログリセリンの生物活性化にも影響を与える

Daiber A, Oelze M, Wenzel P, et al. Nitrate tolerance as a model of vascular dysfunction: Roles for mitochondrial aldehyde dehydrogenase and mitochondrial oxidative stress. Pharmacol Rep 2009; 61: 33-48. PMID: 19307691

一方で,ニトログリセリンの継続投与は,ALDH2の 不活性化と活性酸素種レベルの上昇を通じて,その耐性化 を招き,心イベントさえも引き起こす

Chen CH, Ferreira JC, Gross ER, et al. Targeting aldehyde dehydrogenase 2: new therapeutic opportunities. Physiol Rev 2014; 94: 1-34. PMID: 24382882

Takahashi J, Nihei T, Takagi Y, et al. Japanese Coronary Spasm Association. Prognostic impact of chronic nitrate therapy in patients with vasospastic angina: multicentre registry study of the Japanese coronary spasm association. Eur Heart J 2015; 36: 228-237. PMID: 25189599


したがって, ALDH2* 2遺伝子型の保因者は,ニトログリセリンに対する 反応性が低く,ニトログリセリン耐性になりやすく,活性酸素種の影響を受けやすい


Mizuno Y, Harada E, Kugimiya F, et al. East Asians Variant Mitochondrial Aldehyde Dehydrogenase 2 Genotype Exacerbates Nitrate Tolerance in Patients With Coronary Spastic Angina. Circ J 2020; 84: 479-486. PMID: 32009064


Morikawa Y, Mizuno Y, Harada E, et al. Nitrate tolerance as a possible cause of multidrug-resistant coronary artery spasm. Int Heart J 2010; 51: 211-213. PMID: 20558913


冠攣縮の発症頻度の人種差に関しては未だ十分な検討 が行われているわけではないが,西洋人と比較して東アジ ア人に多いと一般的に考えられている

Yasue H, Mizuno Y, Harada E. Coronary artery spasm ̶ Clinical features, pathogenesis and treatment. Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci 2019; 95: 53-66. PMID: 30745502


その理由はこ れまで不明であったが,東アジア人におけるALDH2* 2の 保因率の高さと喫煙率の高さで説明できる可能性がある. アルコールフラッシングがある場合,一般的に飲酒は控 えるべきであるが,冠攣縮性狭心症を疑う場合はなおさら である.一方で,アルコールフラッシングがない場合でも 飲酒量が多ければアセトアルデヒドは体内で増えてその影 響を受ける可能性が増すことから,冠攣縮性狭心症患者で は節酒は必要である.




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