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雲と泥。

太陽を目指した友人の話を聞いた
時を経て、話から話へと移り往く途中で聞いた
質素な語り出しも
豪奢な結末もない
凹凸のない出来事として。

地べたを這いつくばるだけの魂
器はいつも欠けていた。
天上を目指し上昇気流に乗ったところで
風の名を知る遊人に啄まれる命運
振れる賽子を持ち合わせていないため
責めて、花の種子を喰らう
穢れに恐れはないが
輪廻が終着する頃には
銀の礫になりたい
そういう純度の高いものになりたい。

流転を続け
挙げ句、始点に行き着く
形容すれば雲
常に視線を蓋する柔らかな閉塞
彼の友人は打ち捨てられた願望に拐かされ
あの閉塞を外界に捉え、歯のない顎で破ろうとした。
ようだ。

無機的に呪印は底知れぬ内部に潜在し
今日もまた、明日もまだ
此の身を、似通った彼の身を
泥の鎖で縛り付けている
不敬な製作物で自ずから縛り付けられている。

いつか眼に紫外線を既視した際には
その油断なき防衛網を掻い潜り
冷たい暗闇から
眩い暗闇へと

今はただ、羽を持つ夢を見るに微睡むばかりではあるが。

太陽を目指した友人の話を聞いた
墓標も碑銘もないその場所を
彼の果てた姿を視たものはない
いや、誰が視ることが出来ようか
風華となった彼の跡を
想像し、白昼夢のための依り代に。

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