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【国際映画界】企画より、人間を選ぶアーティストに業界地位あり

功績を求め急ぐアーティストは、間違いを犯す。目先の企画が輝いて観えるのは、周囲を暗転している証明に過ぎない。このトピックでは、「成果の大きい企画の獲得方法」を、知ることができる。限りあるチャンスに飛びついて傷を負っているアーティストの、ために書く。

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アーティスト情報局:太一監督
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 企画は人間が創っている 』

すべては、誰かのイマジネーションから始まっている。
当然のことながらに無視されがちな“ぬるい”視点でありつつ実に、国際的な成功者たちが強烈に重要視している起点でもある。

「企画書を読み込むくらいなら、目の前の“開発者”を観察するといい。」とは、ハリウッドの映画スタジオ“ライオンズゲート”出身映画プロデュ-サーにして国際弁護士の言葉だ。実に含蓄在り。

もう一方で、
たとえそれが突飛な発案であっても実現した瞬間、企画は「作品」としての実態を得て信ずるに値する“事実”へと昇華する。

“企画”に依存せず開発者の人間性を信じ、進むと決めたらその先で、突飛に観える企画も構わず徹底的な熱量で具現化して事実とする。疑いようのない真でありとてしかし、実に“きれいごと臭”がある。

そこで、日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際ニュース:40年ぶりの復帰「ABBA」、最新技術によりその姿は当時のまま

40年の歳月を経て再び集まったパフォーマーたちのグループを思い浮かべるのは難しいが、ABBAの復帰の発表は半端なものではない。

約40年ぶりの新曲2曲、11月5日に発売されるアルバムのニュース、そして来年5月にロンドンの特設アリーナでは、まったく画期的なバーチャルコンサートになると公表。その姿は、映画監督ジョージ ルーカスのVFXスタジオ「ILM.」(インダストリアル ライト&マジック)が制作に参加している。4人のメンバーはアバター(公式名称が「ABBAtars」でなければ、そうすべきでしょう)として登場する。

「重要なのは、この2つの新曲が、70歳を超えたメンバーの年齢に合っていることです。この2曲はABBAの名曲で、新しいスタイルを取り入れようとはせず、かといって過去のダンス系サウンドを復活させようともしていません。私たちは、他の人たちと競争しているわけではありません」とメンバーのアンデルソンは笑う。「私たちは、現代で通用する曲の成分を理解していないので、真似することはできません。」

ショーについては、ILMのアーティストと技術者が5週間かけて、22曲のセットリストを演奏するバンドメンバーを綿密に撮影、デジタル技術を使ってメンバーたちを若返らせた。

ILMのベン モリスが言う。「彼らは160台のカメラとほぼ同数の天才デジタルアーティストの前でステージに立ちました。4人がABBAのふりをしているのではなく、実際にABBAなのです。このコンセプトは、現在のABBAが全盛期1979年のABBAを演じるというものです」

ウルヴァウスが説明する。「このアルバムのために初めてスタジオにはいると、すべてが昨日のようによみがえってきました。見渡すと、メンバーの目があり、私たちの間には同じような感覚、温かさ、友情、絆がありました。」 - SEPTEMBER 02, 2021 VARIETY -

『 ニュースのよみかた: 』

往年のスターたちをVFX技術で再生、アバター化でバーチャルコンサートを可能に、という記事。

ABBA、ここまで嫌われないスターは珍しい。70代の現在も現役で仲も善く、なんて美しいのだろう。つい、トピックを書く手を止めて想いに飛ぶ。本件はロンドンを起点として現在、熱狂的なムーヴメントを引き起こしている。日本では取り上げられることの少ないこの企画ではあるが、「ABBA Voyage」でググるといい。度肝を抜かれることだろう。これぞ、担当者を信じた先にある突飛な企画が、“事実”として誕生した瞬間である。

デジタルキャラクターとして実在のスターを制作し、パフォーマンス キャプチャー技術を使ってアニメーション化するというVFXは、基本的な映画技術になりつつある。NETFLIXの「アイリッシュマン」(マーティン スコセッシ監督)でも多用されていること、ご存じだろう。

親愛なる演者たちに“生涯現役”をプレゼントできることは、喜びでもあるなにしろ技術者たちは“4Kだ8Kだ”と肉眼を越える高画質化を実現した結果、地上の全スターたちから嫌われているのだから、“選べる権利”を提供できることは、善いことだ。

『 ブラックリスト 』

多くのアーティストは“実現しないまま”の企画に翻弄された経験を持つ、いや全員だろう。それは、「業界経験の浅さ」と「功績を求め急いだ」ことの弊害だ。そこを揶揄するほど非情ではないがキャリア10年以上で創作活動が“副業”ではないのだとしたならその人は、無能だ。ただちに改めねば、その人を愛する大勢の美しさを曇らせるリスクとなる。

「実現しないままの企画」は、悪くない。むしろ称賛に値する場合もある。その企画をさておいて別の仕事を進めているならただの“放置”であるが、検証と更新を続けているならそれは、“熟成”だといえる。

ハリウッド映画界には、“ブラックリスト:The Black List”という仕組みがある。映画化されていない脚本を対象とした評価および製作のマッチング プロジェクトであり、その中には「予算潤沢」や「AAAスター出演契約済み」または「成功作の続編」なども含まれることがある。「実現しないままの企画」には、巨大な魅力を熟成させ続けているものもある。

『 目先の生活に群がる“アーティスト”の闇 』

アーティストの生活は一般的に、楽ではないはずだ。それは世界各国同様であり、生活に追われて企画を放置せざるを得ない場合も多いことは理解できる。生きる上でその判断は当然間違いではないのだがその前段階として、「アーティスト」という選択を間違えている。

アーティストとは“職業”ではなく生き方でありつまり、その生き方を選ぶ時点ではすなわち、そう生きられる自信であることが条件なのだ。生活に追われて創作活動に集中できない状況とは残念ながら、「アーティストに不適格」である。

限界まで生活コストを下げ、趣味と交流を捨てて資産を持たず、健康維持に努めてさえいれば必ず、アーティスト生活に不都合はない。わたしは各国で大勢の“実現者”を知っている。

生活に困窮して企画開発に集中できない人物は、“護るもの”が多いだけだ。企画完成までの数年間に1日も働かなくて住む財力を得るか、無収入で暮らせる生活水準を手に入れることが最優先だ。

なお余力に合わせて、企画開発期間を急いではいけない。企画は生き物であり、あなたの生活実態とは関係がない。

『 編集後記:』

ベーキングパウダーに嫌われている。
勘違いだと想ったが、ドライイーストと重曹ではパンもケーキも”がんづき”も一切失敗しないレベルにありそうなれば、嫌われている以外に理由がみつからない。種類を変えて再挑戦している辺りにわたしの疑い深さが出ているが、気にしない嫌われているだけなのだから。

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二次発酵の果てにも熟成を試みつつ、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。

■ 太一(映画家):アーティスト業界情報局 × 日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、 監督がスタジオから発する生存の記