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【⚠︎取扱注意の業界権力】アーティストは政治発言する資格なし?

いかなるプロフェッショナル領域をも素人は、越える資格がない。アーティストは創作のプロフェッショナルであり、政治のプロではない。このトピックでは、「自身の活動圏を犯されない方法」を、知ることができる。正義感に熱いアーティストの、ために書く。

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アーティスト情報局:太一監督
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 不可侵領域というルール 』

デリケートなテーマを、語らねばならない。ここ「アーティスト情報局」で扱われるのは自己啓発のための気の利いたパンチラインではなく、“事実に基づくアップデート情報”であることから、避けては通れない日もあるわけだ。

現代では建前上、“個人の発言”は認められることになっている。アーティストが政治を語ろうと、自由なはずだ。しかしそれは“ルール上”のこと。あらゆるルールに優先して最重要な「マナー」において、タブーは存在する。

不可侵領域を越えて声を投げる前にそこには、“専業のプロフェッショナルたちが存在している”ということを覚えておきたい。我々の私意が通用するのは、自身の属する業界のみ。他の世界に持ち込めばそれは、“攻撃”である。

そこで、日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際ニュース:ホアキン フェニックス、主演したDisney映画の「熊」を動物保護区に移すよう要請

ホアキン フェニックスは、PETA(動物愛護団体)からの情報により、フロリダの公園に保護されている「熊」が2003年に公開された自身のDisney映画「Brother Bear」で使用されたことを知った。そのため、熊がショービジネスから引退することを願い、熊の譲渡に協力するよう「手紙」を提出した。

1926年フロリダに設立されたこの牧場は、13頭の熊を飼育し、映画やテレビのプロジェクトに派遣している。そのうちの2頭の熊“ブルーノとバンビ”が、本件アニメ映画に登場するキャラクターのモチーフになっていた。

主人公のケナイの声を担当したオスカー俳優は、ブルーノとバンビを施設から出し、 "認定された聖域 "に移すための活動を開始した。

フェニックスは、そのスター性を活かして、牛を屠殺から救うために、ハリウッドの授賞式で肉を使ったメニューを廃止するよう働きかけたことでも有名。熱心な菜食主義者であり、動物活動家でもある。Bearadise Ranchのオーナー、モニカ ウェルド宛てて、手紙は送られた。


「 親愛なるモニカ―― あなたの巡回ショーで使われた熊のうち、バンビとブルーノの2頭が、ディズニー映画“ブラザー ベア”のモデルになったことを知りました。私は映画の主人公ケナイの声を担当しましたが、ケナイは、魔法のようにクマの目を通して世界を見ることができるように変身します。今、私はあなたにもクマの目を通して見ていただきたいのです。クマは、登ったり、掘ったり、採ったり、遊んだりするのが大好きな、好奇心旺盛な動物であることは皆さんもよくご存知でしょう。しかし、頭上でフープを引っ張ったり、見知らぬ大勢の人の前でバスケットボールを運んだりしていないときは、輸送用のケージに追いやられてしまうのです。どうか、いたずらな旅をやめて、あなたの施設にいるすべてのクマに、クマらしく生きるチャンスを与えてください。彼らにとって本当にベストなことをしたいのであれば、認定されたサンクチュアリに移すための手続きをお手伝いさせてください。――敬具 ホアキン フェニックス  - AUGUST 01, 2021 THE Hollywood REPORTER -

『 ニュースのよみかた: 』

アカデミー賞俳優ホアキン フェニックスは今日も変わらず絶好調だ、という記事。

そして彼は、手段を間違えなかったということだ。ルールに従いそして、「マナー」を護り、フェアな対話を申し込んでいる。逮捕されることもないだろう、今回は、まだ。

『 アーティストが語れる領域 』

実のところ、なにを語るかが問題なのではない。「誰が」「どこに対して語るか」には明確な“マナー”が発動するということだ。イメージし難いだろうかでは、ご自身が人生を賭している“貴方の業界”を、想像してみて欲しい。そこにある日、異星人が現れる。異星人は唐突に “指導” を展開した挙げ句に“感情的な人格否定”を繰り返し、仲間を扇動している。

あなたはどう反応するだろうか。
あなたは誰に、語っているだろうか。
わたしは、同じアーティストに語っている。己がいかに常識に疎いかを知っていることから、常に留意している。それでも、叱られることがある特定の人々から。

『 声を上げることに意義があった時代は、昭和まで 』

フェイク情報に踊り、未検証まま拡散し、論拠に弱い“思想”を「事実だ!」と叫び続ける世代がいる。残念ながらこれは個人領域ではない、“世代的傾向”だ。情報リテラシーに低く一次情報を持たずそして、愛に満ちた世代である。彼らの原動力は、“正義感”である。惜しくもそれが相手にとっての“敵意”になっていることには、気付いていない。

彼らは、既に社会がデジタルネイティブ世代によって動かされている事実を知らない。彼らの多くは既に“業界の第一線”にはおらず責任から解放されておりしかし意欲に溢れ、“業界侵犯”を繰り返す。群れで活動する無敵の彼らを、刺激するのは危険である。気にしなければいい彼らの声に、力は無い。

『 “スターパワー”の取り扱い 』

業界で成果が認められた“スター”には、力が宿る。言葉、文字、行動、表情など一挙手一投足すべてが、“メッセージ”と化す。国際的な成功者はその力を発揮する場面を厳選し、過剰なほどに加減を調整している。残念ながら例外も多い、“暴走ヒーロー”を観たことがあるだろう。パワーに溺れた者は、侵犯した業界のプロフェッショナルたちによって処分される。味方はいない。

多くのスターが、その業界地位と権力からなるパワーをコントロールできるのには、理由がある。彼らは無名時代から既に、「スターとして生きる」人生を選んできた。徹底的なシミュレーションができているのだ。

スターは、準備のできている者の中から選ばれる。

『 編集後記:』

まだ戦争は “正義と悪” が戦っているのだと信じられたほどに幼かった美しい夜にわたしは、若い神父さまを苛立たせてしまったことがある。愛に満ちた言葉を頂いた後の質問コーナーで、わたしはやらかした。

「では、天地創造が紀元前3,761年10月7日だということは神は恐竜ではなく、“化石”を創ったのですか?」などと。わたしの質問は純粋なものだったし、まさか神父さまが返答できないなどとは想像もしない。

その世界を“知らない”わたしには先ず、質問する資格がなかったのだ。以来、毎年地球を2周する取材旅に重要な学びとなっている。

絶滅するためにも繁栄すべく、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。

■ 太一(映画家):アーティスト業界情報局 × 日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、 監督がスタジオから発する生存の記