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【ゲームチェンジ】アーティストの作品ジャンルは変化している

自身の作風に固執するアーティストの立ち位置は停止しているが、時代は変わり続けている。このトピックでは、「時代を捉えた創作活動」を、知ることができる。セルフ ブランディングを勘違いして自らを“固定”した結果ただ置き去りにされているアーティストの、ために書く。

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アーティスト情報局:太一監督
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 “ムーヴメント”とは変化し続けている状態 』

「今年のトレンドは——」という告知を“嘘”だと想うアーティストは、“ムーヴメントの本質”を理解していない可能性がある。トレンドとは、意識的に働きかけている仕掛けのマイルストーンであり、情報弱者が殺到する“流行”とは異なる。ファッション業界、飲食業界が好むこの“仕掛け”が、時代に変化を与えている。変化し続ける時代の瞬間を捉えて“トレンド”などと呼称しているに過ぎず、その一連をこそ「ムーヴメント」という。

つまり、
注目される時代の一面は、誰かが仕掛けていることで、変化し続けている。変化し続けているからこそ注目を集め結果、仕掛けるに値するジャンルとなる。このループが、ムーヴメントである。

言い換えれば、このムーヴメントが起きていないジャンルは、消滅に向かっている。時代には、動き続けねば生きられない、という性質がありそれはまた時代の残像が証明している。

消えたくないなら、観客の注目を集めたいなら、ムーヴメントの起きているジャンルを精査し続けることだ当然、アーティストが現役でいる限りに最低でも日に3度のアップデートを生涯、続けることを条件に。

ムーヴメントに精通していなければ、ストイックな固執は選べない。

そこで、日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際ニュース:ハリウッドのドキュメンタリー映画ブームは行き過ぎか

昔々、観客にドキュメンタリーを見てくれと頼むのは、宿題をしてくれとか、ブロッコリーを食べてくれと言うようなものだった。

初期のドキュメンタリーは、重いテーマ(戦争に関する内容が多い)と、乾いたストレートな表現(ニュース映画のようなもの)だった。やがて、映画監督たちは、ドキュメンタリーのストーリーテリングに映画的なタッチとより多くのダイナミズムを導入し始め、ストリーミングの出現と、れに伴う資金の流入により、ドキュメンタリーの長編とシリーズは、プレミアムな脚本作品と同じように、どこにでもあり、一流のものとなった。このカテゴリーは、Netflix、Hulu、Amazon、YouTubeなどのビジネスモデルの基礎となっており、ベテランのフィルムメーカーにこれまで以上に多くの、そしてより幅広い作品を制作するための扉を開いている。

長編ドキュメンタリー アカデミー賞を受賞した監督したモーガン ネヴィル監督が語る。「ストリーミングがゲームチェンジャーになった。過去28年間ドキュメンタリーの資金調達をしてきた者としては、この8年間は昼夜の別なく過ごしてきましたよ」収入が大幅に増えたことで、多くのドキュメンタリー作家が革新を続けるために必要なセーフティネットを得ることができたといえる。

アカデミー賞に2度ノミネートされた業界歴20年のベテラン、リズ ガルバスが言う。「今、人々はドキュメンタリー映画制作を仕事にできることを知っています。業界全体が本当に成熟してきているのです」ジョー バーリンガー監督は言いう。「当時は、長編ドキュメンタリーをHBOやPBSに売らなければ、ドキュメンタリーは売れない時代でした」

ここ数年の間に、視聴者は脚本のあるドラマやコメディ、伝記映画などと同様に、ノンフィクションのコンテンツにも飢えていることが証明されており、ついにハリウッドがそれらの状況に対応した。数年前には、「これはドキュメンタリーの黄金時代か?」と話題になっていた。フィルムメーカーが技術を進化させるにつれて、ストーリーも進化し始めたのだ。

PBSのエグゼクティブプロデューサーであるMichael Kantor氏が言う。「“正直さ”への憧れが一つの原動力になっていると考えています。人々は真実を求めています。ここ数年で培われた、メディアへの不信感が要因です。大企業と提携していない独立系のプロデューサーが制作したドキュメンタリー映画が、権力に対して真実を語っているとみなされているのです」ジャーナリズムの厳しさが問われている。 - SEPTEMBER 02, 2021 VARIETY -

『 ニュースのよみかた: 』

ハリウッドまでも夢中にさせているドキュメンタリー映画のムーブメントは、ニュース的だったドキュメンタリーを“ストーリー化”されたことで発展。市場をストリーマーがゲームチェンジした結果だが、大きな資本が流入していることで“企業によるツール化”が懸念される、という記事。

実に当たり前ながら、理解されていない“ムーヴメント”の話だ。

『 “きれい事”は、嘘に同じ 』

「時代を追うならアーティストでは無い、時代を創る者だけがアーティストだ。」と公言していた雇われ監督は消えた。実にすてきなコピーだがそもそもに、間違いだ。

時代を追わずに頂点に立っている成功者をジャンル問わず、わたしは独りも知らない。知性派の寡黙な巨匠だと想われている著名監督たちが、ブランディングのためのメディア対応術を語らうパーティーを知っている。業界を創るのは数名の精鋭であるが、時代を創るのは、他ジャンルとのコラボレーションが導くシナジーの結果なのだ。

秘める創作は多くない、アーティストは作品を観客に届けたい生物である。

『 アーティストの作風とは 』

アーティストが個性を打ち出すべく“作風”を限定するためには、時代を捕まえていなければならない。“固執するアーティスト”には、時代を認めようとしない、という特徴が観られる。アーティスト同士の対立にある、主要要因だ。時代はそこにあり、常に変化を続けていることに疑いは無い。

アーティストが自身の作風に傾倒することは、美しい。他を排除するシンプルな環境は、意思の純度を高め、作品の核を彩る。

ただし、それが誰の目にも留まらないとあらば、創作活動の意味を失ってしまう。作品は、観客の注視を導いてこそ。ラスコー洞窟の壁に描くなら、スマホで拡散を忘れずに、と言うことだ。

虚飾はもう、通用しない。「正直」の時代だ。

『 編集後記:』

散歩が苦手だ。
心身の健康に良いのを理解していながら、その他の活動に優先して街を歩くことが難しい実のところ、参加する国際映画祭においても各国ホテルかラウンジで作業に明け暮れていることが多く、挨拶だけの各国パーティーを渡り歩くことにすら、戸惑いがある。

心地いいためだ。
この季節になるととくに、心が自由を求めて泳ぎ出す。人生のピークを過ぎてなお、困ったやつだ。

碧の空に黒の宇宙を想い白の星に準えて作業を刻み、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。

■ 太一(映画家):アーティスト業界情報局 × 日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、 監督がスタジオから発する生存の記