見出し画像

【プロの文脈】一億総クリエイター時代、アーティストの「新業界」

アーティストを支えてくれた“業界”は、もう無い。そこで、これから所属するその場所を知っておくことが重要だ。
このトピックでは、「芸術とブロックチェーンの相性」を、知ることができる。うまれ生きた証を作品として残したいアーティストの、ために書く。

--------------------------------------------------------------------------
アーティスト情報局:太一監督
×
日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
--------------------------------------------------------------------------

『 拝啓、サトシナカモト様 』

我々は100年後の教科書に載る瞬間を、生きている。

洞窟の壁面に消し炭をはしらせた太古から、人類の表現欲は変わらない。やがて技術差を価値化したパトロンによる下支えを経て作品は進化を続け、企業により買い支えられながら業界を形成して現代の“崩壊”を経ていま、「作品」と「アーティスト個人」へと帰結した。

気付いていないアーティストは、ここ「アーティスト情報局」を読み返していくといい。そこにあるのは自己啓発とは無縁の、実態だ。

作品とアーティスト、
この繊細で儚い二つの存在を保守するためには、企業が管理運営してきた“業界”に代わる器が必要となる。「ブロックチェーン」だ。

そこで、日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際ニュース:監督、脚本家、プロデューサーのローマン コッポラ氏がカンヌ国際映画祭で、“ブロックチェーンベースの映画製作プラットフォーム”をプロモーション

ローマン コッポラ氏は、ブロックチェーンに賭けている。
コッポラ監督は、ブロックチェーンベースの映画製作プラットフォーム「Decentralized Pictures」のプロモーションのためにカンヌを訪れている。このプロジェクトは、姉の“ソフィア コッポラ監督”の制作会社American Zoetropeの支援を受けている。

コッポラ氏は、父(フランシス フォード コッポラ監督)の名を挙げ、“ファミリー”の技術革新の実績を引き合いに出した。「私はあまり多くのことを達成してはいません。でも私は好奇心の赴くままに行動しますし、このプロジェクトもそうです」

このプラットフォームはブロックチェーンを使用しているため、すべての記録が残る。投票者のデータは透明性を持って記録され、それによって最も価値のあるプロジェクトが決定され、業界パートナーのネットワークを使った資金調達や支援に導かれるという。

American Zoetrope社の制作/買収担当副社長であるMichael Musante氏が語る。「ブロックチェーン基盤は、すべてを記録し、誰がプロジェクトを訪れたか、あるいは何らかの形でプロジェクトに関わったかを記録するため、映画制作者は自分のIPについて安心していられます」

「姉のソファ コッポラもそうですが、私がスポンサーになっていろいろなものを見るのは楽しいですよ」コッポラ氏は、
“真剣に”取り組んでいる。 - JULY 12, 2021 VARIETY -

『 ニュースのよみかた: 』

“コッポラ“映画”ファミリー”のひとりが映画用に、ブロックチェーン技術を応用したプラットフォームをローンチした。出逢いが楽しいから。という記事。

記者がコッポラ氏を馬鹿にしていることを隠さないところが、面白い。このプロジェクトの実態は、“マッチングサービス”。ブロックチェーンに紐付いたIP管理が秀逸であり、投げ銭も暗号通貨なので支援の経緯も明確だ。

この“コッポラ氏”は、巨大な映画ファミリー“コッポラ家”の中のひとり。ミュージックビデオ監督であり、まだ代表作はない。七光りをフル活用できるメンタルには、伸びしろがある。このプロジェクト自体には核たる指標がなく、ローンチ後の開放はさておき、明確な目標値が設定されていないことから業界人は誰も見向きをしていない。

ただし、

「“ブロックチェーン技術”と映画インフラの連携」という意味で、後年へのムーヴメントに先駆けた立派なアクションだ。NFTにはじまるIPとブロックチェーンの紐付けが実働化してからまだ半年だが、以後の主流になることには疑いがない当然、我々日本チームも、全力参戦する。

“サトシナカモト”に敬意を表し
My Best,
Taichi

『 作品とアーティストを紐付ける技術 』

“ブロックチェーン”の概念を理解していなくても、活用する日がくる。好むと好まざるとにも関わらずその日には、「進むアーティスト」と「枯れるアーティスト」に分別されることとなる。進むアーティストの、ために書く。

ネットも電話も、仕組みを知らない貴方と他人を、紐付けている。ブロックチェーンも同じだ。その為のプラットフォームは、世界の天才たちと、私たちが用意する。重要なのは、その“使途”と“意義”を理解しておくことだ。

著作権を以てしても、アーティストと作品は、紐付いていない。貴方は作品の創造主であるしかし、作品を発表した瞬間、その作品は既に貴方の手から離れており、貴方はもう作品の“全権利”を保有していない。詳細は、勝手に調べてもらうといい、無限にある。重要なのは、結果だ。

そのアーティストと作品の関係性を、永久に改変不能な状態で記録する技術、そのひとつが先の「ブロックチェーン技術」である。

『 作品は、売らない時代 』

アーティストは、作品を売って生きてきた。実のところ作者に残るのは、対価とコピーと想い出だけだ。だが、ブロックチェーンを介すれば、「作品」と「価値」を分離することも可能なのだ。

作品から切り出した“価値”を販売、対価を得ることができるようになる。価値は限定数を設定し、複数の人々に保有してもらうことも可能。購入者はそれを転売することでリスクヘッジできるしかも、作品は作者が保有管理しておくことすらも選択可能なのだ。どうだろう、全く新しい仕組みに、目が覚めるだろうか。

実は目新しくはない。
“馬主制度”の解像度を上げて、改変不能にしただけだ。

だが、革新的な意義もある。
もしも馬主の元に“馬”が搬送されたならきっと、生きない。巨匠の作品が、グロテスクな成金の私邸に掲げられているのを目にしたことはないだろうか。あれこそ、作品の死である。

作品は、作者の手元に残してこそ、価値を最大化できる。
ともに進もう、「新業界」を。選ぶのは、アーティスト自身。

『 編集後記:』

物理学の博士と共に、未来と過去を追っている。
SCRIPT(映画脚本)の開発中だ。宇宙を素数で解く天才の頭脳はまさに宇宙そのものであり、ついていくことすら早期に放棄する必要がある。わたしは、といえばさながら月夜に潜み宇宙を仰ぐパラボラアンテナのようで。感受性を最大値に設定し、フィルタリング機能を解除し、容量を全開放する。天才という宇宙から放たれる記号の断片に未来と過去を追い、現在を探している。今夜の会議も快晴であり、宇宙はどこまでも穏やかで。

無数の星のひとつになるために人生を燃やして、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。

■ 太一(映画家):アーティスト業界情報局 × 日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、 監督がスタジオから発する生存の記