写鏡

「海辺のカフカ」の世界に入り込むと、現世の風景も変わって見えるのはちょっと入り込み過ぎかも知れませんね。

その本に登場する、「ナカタさん」と「星野さん」のコンビが好きで、全く自分に持っていないものを持っている面白い人と一緒に居ると、自分では気づけない何かに気づく事はあると思います。

そして、自分は相手に自分を映し、相手も同じことをする。脳科学の言葉で、「共同体思考」と反対の「個分離思考」という思考があり、共同体思考はざっくり言うと相手の良い部分を見る思考。
個分離思考は、自分が正しいから相手は間違っていると思うような思考の事。
…ざっくりなので、ちゃんとした意味はお調べになって頂けたらと思います。

共同体思考は、脳の働きを良くする思考だそうで、相手に興味を持ち、相手の良さを探す思考なので、ナカタさんと星野さんの関係からはそんな雰囲気を感じました。
歳の差とか、身分とか、相手の弱点だとか、お互いにそれを飲み込みあって旅を楽しんでる。
そういうのって、すごく良いなぁって。素敵だなって。

だから、ある意味ナカタさんと星野さんの話で僕の中でこの物語は完結したんですよね。
その方が、僕にとって面白いから。

個分離思考…。
自分が理解出来ない様な、性格の悪い人なんてゴロゴロ居ます。
なんせ、色には知り得ないほどの種類があるから。人だって知り得ないほど色々な人が居るでしょう。
自分と合わない相手には、「そういう人も居るよねー」で終わりで良いんじゃないかって。ナカタさんだったら、善悪とかの判断はしないで自分の中の正しさだけの基準を押し付ける事なく、求められても出来るか出来ないかだけの判断をするだろうと。
自分がしてあげた事に対する報酬に対しても、「遠慮なく頂きます。」と、ちゃんと礼儀を持って受け取っている姿が、"嫌われたくない"とかそういう損な考えはないんだなぁって感じましたね。

だから、ナカタさんと星野さんのような人柄を持っていたいなぁって。

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