【PART-TIMER】
タイムカードを切って、俺は自由になる。
《Tie-King》
電子音声。名も知らぬ王との結びつき。
取り囲む自立兵器群から放たれた銃弾が静止し、止まった時の中で俺の拳が時計回りに致命打を放つ。
《Shoot-King》
カードを戻す。
鉄屑と化す包囲網を外から眺めながら、体を捉える時の重さに顔を顰めた。
【パートタイマー】…時を分かつ異能を持つ【ワーカー】にとって、これは容易い仕事になる筈だった。
廃墟に二重に響く電子音声。
「御用件をお伺いします」
止まった時の中で他者に語りかけられたのは初めてだ。なぜ俺以外の【ワーカー】がここに?
「ワタクシ…コウイウモノデス!」
放たれるカード状の投擲武器!間違いない、【シャイン(輝き)】の名で知られる上級異能者…!
「てめぇ、話が違ぇぞ」
なんとか生き延びた俺は【ハケン】相手にくだ(正当なクレーム)を巻きながら、己を傷つけた武器を眺めていた。
奴め、得物に名前書く奴があるか。
【続く】
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