ルーシィ・リヴィングストンの日常③
承前
モナーブルグの商業地区を東西に貫く通称「職人通り」を東へ。ニラ茶葉を店頭で値切る主婦の後ろを剣を佩いた隻眼の戦士が通り過ぎて、隣の鍛冶屋のドアを叩く。若いカップルがガラス工房の商品ディスプレイを覗きながら囁きあい、ボロ布で顔を隠した三人組が衣摺れも微かに薄暗い路地へと消える。街灯に手綱を繋がれた鞍を背負ったトカゲが主人の戻りを待ちかねてあくびをすると、そのまどろみを破るように、大きな犬の頭を持った馬が満載の荷車を引いて砂埃と騒音を巻き上げていく。
わたしは街に用事が