さざなみのような世界 1

登場人物
高木 さやか  私立津田沼東高校に通う高校2年生。この作品の主人公
高木 みのり  さやかの双子。

斉藤 詩織  さやかと同じ部活に入ってる同級生。おしとやかで、他人思い。

坂倉 菜央 さやかと詩織の後輩。

時山 仁  書道部の庶務。

倉田 英治 書道部の顧問。英語科教師
鴻巣 貞治 津田沼東高校の校長。年老いているが鋭い観察力の持ち主

第1章 雲の広がり
一限のチャイムが鳴り響く中、さやかは教室へと駆け込んだ。ちょうど山月記の授業中だった。
「高木さやかさん,今日は何があったのかな?電車に乗り遅れて走って学校まで来たのかな?」とその授業の担当者である、及川佳子が少し笑いながら、さやかにいうと、さやかは、それに応じるように、
「そうです!今日は,百合ヶ丘から新百合ヶ丘まで走ってきました!」というと、クラス中笑いに満たされた。及川も笑いながら、「そうかい、でも次は気をつけるんだよ。体を動かすのがいくら好きだからといって,授業に遅れてまで、その欲求を満たそうとするのは本末転倒だと思うが。とりあえず席に座りなさい。」というが早いか、さやかは席にすばやく座った。隣の席の美月は、「今日も命拾いしたわね。気をつけなさいよー」とさやかに声をかけ、さりげなく今やってる部分を彼女に教えた。
「さて、運動好きのさやか嬢が席にお座りになったので、授業を再開するとしよう。今日は李徴という人物について話していたのだったな。確認だが,李徴はの特徴として、どういう部分が挙げられるかな。本文中の言葉から一つ挙げるとするならば,仁美くん、なにかな」
と問うと、仁美は、「 博学才穎です!」と大きな声で答えると、「そうだな。博学才穎だ。他にはなんとあるかわかるかな」とクラスに問うと、お調子者の男子生徒が,「いばりんぼう!」というので、またクラスが笑いに満ち溢れた.
「確かにいばりんぼうのような感じは見受けられるが,これは、私には、威張っているのではないように見えるが,ここに関しては読み進めながら考えていこう。本文中の言葉でもう一つ言うならば、性狷介、つまり,気が短い性格であると言うことが挙げられる。...」と授業が進んでいった。さやかは、授業を聞きながら,今朝の出来事を思い返していた。
「では、これで授業を終わりにしよう。日直さん号令を」と言う声が聞こえてきて,慌てて、さやかも立ち上がり挨拶をした。


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