21.07.15_TAGOE活動記
手を動かす
暑い。梅雨があけて、夏が来た感じがする。この暑くて、汗にまみれ、肌にヒリヒリと太陽光線が沁みる季節に、「文字」をやる。この乖離性を活かしていこう。しかし暑い、やる気ができない。今日やるプランを考えなければと思うけど、浮かんでこない。というよりも、文字というテーマの広大さ、深淵さ、にどう捉えていこうか、漠然とした状態では見つからない。しかしそうだからこそ、身体でそれを捉えていくことが重要で、それは僕だけでなくて、みんなと一緒に手を動かしていけば良い。設定を上手くしようとか、個性が出やすい環境を作ろうとか、文字を扱う面白さが際立つ状況をどう作るかとか、あまり考えずに、みんなに委ねていけば良い。もう第三期でまもなく1年になるのだし、徐々に作品を作ることとは?展覧会とは?ということが、それが単に好き勝手自分が思ったことをやるというだけじゃなくて、何をすれば良いのか、なんとなくみんなが理解しているような空気がある。
海の家、HAPPY GO LUCKYが明日から開店ということで、ひなこさんは今日はおやすみ。16時半ぴったりにみんな来る。そういえば今まで、あんまり遅れたことがない。時間できっちり動いているあたりが現代の子どもなのかなぁ。さて、前述の逡巡があって、文字でどんな作品を作るか、手を動かしながら今日は考えてみよう!ということで、スタート。シンプルな状況としてA4のコピー紙と筆記用具だけを用意してみる。最初はそれで、自分の名前を感じで書いたりするけど、それだけではすぐに身体的な感覚を満足させることができなくなる、何か面白いメディアがないのか、道具箱の中や、画材などが入っている段ボールを漁る。展示のために買っておいたひっつき虫を粘土代わりに丸め始めて、それで漢字の形を作り出す。そこに鉛筆のキャップでスタンプを押して、アクリルペンキで色を塗る。その一連の作業の連鎖、必然の連なりがとても美しいと感じた。考えるよりも前に手を動かすとはこのことで、アサキは特にそれが顕著だと思う。でもアサキはそれが端から見ていて分かりやすいのであって、実はこのことはそれぞれに固有のモード(性格)を持っていると思う。例えばキホは、まずは人の行いを真似ることが始める。けれど、それをやっているうちにオリジナル性、キホが理想としている世界の要素がじわじわと現れてくる。気分、友だ、という言葉をひっつき虫粘土で作ったヒマリに、なんでその言葉なの?と感心しながら聞くと、んーなんとなく?と。気分の文字がすこぶる良いと感じた。
サツキは、今回とにかく、しんにょうで行くらしい。しんにょうを集めると。しんにょうがたくさん登場してくる物語を作るとか、ひっつき虫でしんにょうを作り、それに緑と青の色を塗って、地球しんにょうとか。アイディアの掘り進め方が早いし、ある種それを自覚的にやっているところに才能を感じる。ルアンはお城を作って、その中に漢字を住まわせるらしい。そのお城を紙で作りはじめたのだけど、マスキングテープの装飾のピッチを定規で測りつつ、正確に作業しているところに、これまたルアンの隠れたこだわり(才能)があるのだろう。コウノスケは、苗字の関という字をひたすら書いている。では、展覧会の時に関という字を門代わりに大きく作るのはどうだろう?と提案すると、良いね!と。後半は、ビルの近くにある漢字を見に出かけては戻ってきてそれを書くという修行を繰り返していた。サクタはスロースターターの雰囲気で、ぼそぼそ喋りながら周りの行為に意見をいいながら、ずっとひっつき虫を練り練りしている。「サクタはどうする?」と何回が聞いても、んー?という感じで反応が薄い。けど、その小さな物体を練っている姿に、何か感じるものがあった。うまく言葉で言い表せないが、陶工のような、、雰囲気があった。このことは、作ったものにやはり現れていて、朔太という字を普通に作っていたけど、実はそのディティールに、母性的なものの影響が出ているような気がしていた。たぶん彼にとっては、お母さんとの関係が特別なのだろうか。それか、持って生まれた性質か。と、今日はずいぶんと進んだ。アサキは太陽という漢字を使って物語を、紙芝居形式で作り上げてしまった。これはそのまま展示するべきだろう。僕も、どういった探究をしようか、手を動かそうか。
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神奈川県逗子市の小学生&映像作家の山根晋によるアーティストコレクティブ TAGOE(たごえ)です。2020年の夏より活動をはじめ、毎期ごと…
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