Nous chantons le ...

 不気味なイントロダクションに導かれたわれわれの新しい理想はつまり、どこまでいっても物事が互いに絡みあいながら上昇していく架空のマメの木を、われわれの小庭に植え込むことである。
 記憶の断層に沈みこんでいってしまったものたちへの恋慕を喚起させられるための小旅行。山陰本線を走り抜ける電車に乗った私が、それでも慄然と、あたらしい印象でびしょ濡れになったのは、名もない砂浜を蛇行する不思議な水の流れを目にしたときだ。

 始まりから終わり、そのすべてを一望できる川などこの世に存在しない、あるいはそれが曖昧な言い方であるならこう換言したい、一つの川の流れを隈なく把握できる人間はこの世に存在しない。
 あらかた無聊な考えは、この際すべて唾棄したまえ! これは私自身に差し向けた文言であるから、あなたについてはなにも言及していない。自閉的な活動が気に障る諸君は、ビオトープの思想をどう捉えるか?

 一つの文章に一つの意味をしか埋め込まない言語操作については、見えているあらゆるものを意欲的に数量化しようとするわれわれの特別急行列車に乗車した際に、さんざん繰り出してはくれないか? 

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