馥郁ってなに

 三田誠広みたいですね。彩度の低い冬空に満ちる感傷的なものの正体を知りたくないですか? そりゃもちろん、感傷的なものが生き延びることの難しい、この時代の空気感を嗅ぎ取らないではいられないですよ。それでも確かに今日の空を泳いでいくものたちの、せめて横顔でも拝見したいのです。

 泉岳寺から品川、落合から中野、室見から姪浜。地上へ出ていく瞬間の、時間軸から浮かび上がるような感覚。僕は今、吉祥寺に向けて、JR中央線に乗っています。冬の夕暮れ空、目に飛び込んでくる低空の西陽も淡くて弱い。車窓の武蔵野。枯れたギターの音で、おどおどしながら歌いたい。コーラスかけたオーバードライブをe-bowで響かせる、そんなのが似合うフォークがいいね。

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