見出し画像

「風が吹けば桶屋が儲かる」的なツエーゲン金沢の真剣な話

風が吹くと土ぼこりがたって目に入り盲人が増える。 盲人は三味線で生計を立てようとするから、三味線の胴を張る猫の皮の需要が増える。 猫が減るとねずみが増え、ねずみが桶をかじるから桶屋がもうかって喜ぶというのがそもそもの由来である。

「可能性の低い因果関係を無理矢理つなげたこじつけの理論」という見方も出来、昔の話であるが故にどのくらいの人が盲人になり、どのくらいの人が三味線で生計を立てようとするのかは確かめようも無い。

しかし、一見嘘だろうと思ってしまうこの話。何故か今の僕にはすんなりと頭に入る。

ツエーゲンを知らない方へのおさらい

ツエーゲン金沢は2021シーズン、第16節終了現在で14位である。柳下正明監督5年目の年となっている。初年度の2017シーズンは17位、2018シーズンは13位、2019シーズンは11位と徐々にではあるが着実に順位を上げてきた。J2に定着出来た事は地方クラブにとって大きな成果だった。

2020シーズンの最終順位は18位。少数精鋭(開幕時、登録選手25名で22クラブ最小人数、13人が20歳以下)と言えば聞こえは良いかも知れないが、新型コロナウイルスの影響で過密スケジュールになった事も鑑みる必要はあるだろう。

今年はイレギュラーだった去年、一桁順位まであと一歩だった一昨年を踏まえて実績と経験のある選手を補強。

まずは2人の出戻り組。湘南で経験値を積み、絶対的守護神・白井からレギュラーの座を奪い獲った後藤(完全移籍)。各年代の代表にも選ばれ2018シーズンの金沢のディフェンスリーダー庄司(レンタル)。

もう一人のレンタルは、大宮で出場機会に恵まれなかったが攻撃のセンス抜群で金沢との対戦時にゴールを決めていた嶋田慎太郎が加入。そして完全移籍はG大阪から松田陸、横浜FCから瀬沼、愛媛から丹羽、そして富山から地元出身の大谷を獲得。

昨年7人のレンタル選手に支えられていた事を考えると、13ゴールの加藤陸次樹と10ゴールのルカオがいなくなった事を差し引いても、今年こそは柳下体制の集大成と思わせる補強。開幕前からサポーターの期待は大きかった。

開幕ダッシュは近年稀に見る好スタートだった。開幕節の長崎には2-1と敗れたものの2~6節で4勝1分0敗の勝ち点13を叩き出し一時は3位に。

しかし、6節の町田戦はシュート2本で枠内シュート0と完全にシャットアウトされたにも関わらず、オウンゴールで勝利を拾うというラッキーな試合だった。ポポビッチ監督に金沢攻略のお手本を披露されてしまった金沢は、7節以降急下降を始める。

8節の新潟戦や、9節の秋田戦、12節水戸戦と良いところも見えてはいたが7節以降であげた勝ち点はわずかに6点。直近10試合で無得点試合が6試合。こちらも近年稀にみるスランプだ。

ここからが本題 問題点

と、ここまでが今シーズンのざっくりとした経緯だ。

もう一つ、知らない人の為が多いと思うので私の紹介をしておこう。私はタギリストという名前でツエーゲン金沢の戦術分析を行っていて、分析を始めて3年目に入った。名前の由来はプロレスが大好きで中邑真輔選手の「滾るぜ!」という台詞と、自分がギターをやっていた事をかけたダブルミーニング。

また「RED TAG」 というツエーゲン金沢応援集団の代表もしている。分析をするのもRED TAG を創ったのも、ツエーゲンがどうすれば強くなるのか、それを考える場所を作りそれを少しづつ大きくしていく事、それを今のうちからしていく事で、「金沢サポは日本のどこのサポーターにも負けない、クラブを支える存在」となって欲しい、RED TAG がその一助になれればと思って活動している。

しかし、その為には大きな問題が立ちふさがっている。誤解を全く恐れず言うが

①目標が設定されていない事 ②金沢人特有の問題 ③そもそもサッカーの見方を知らない

と、大きく3つに分けられる。

①目標が設定されていない事

コロナ禍で目標を大きく修正、または目標自体を公にしていないクラブも少なくない。ツエーゲンも公式HPには具体的目標は見当たらないが、去年はプレーオフ、今年は一桁順位という話をゼネラルマネージャーがどこかでしていた記憶しかない。ちなみに目標をHP上で確認できるクラブの例をあげておきますので時間がありましたらご覧ください。

京都サンガ https://www.sanga-fc.jp/club/policy.php

ジュビロ磐田 https://www.jubilo-iwata.co.jp/club/slogan.php

町田ゼルビア(動画内) https://www.zelvia.co.jp/club/strengthening-policy/

FC琉球 http://fcryukyu.com/club/

ギラヴァンツ北九州 https://www.giravanz.jp/club/vision.html#gsc.tab=0

全J2クラブを調べた訳では無いので、他に具体的な目標を掲げているクラブがあれば教えて下さい。

世間一般の会社なら会社の理念があり、それに沿った目標が設定されている訳です。サッカークラブも同じ事。理念が会社の方針を決め、社長から平社員までに方針が浸透してこそ、その目標に向かって進める。逆に理念が浸透していない、理念に沿った計画が出来ていないと会社としてのまとまりに欠け、「社長はああ言っているけど、そんなの出来る訳ねえし」という風になる。目標は高くあるべきだが、理念に沿った現実的な計画も必要になる。もちろん、計画や目標は経過によって見直しされ更新するべきもの。

ちなみにRED TAGの理念と目標もリンクしておきます。

目標を設定→計画を立てる→実行→検証→再び目標を設定

この繰り返しを行う事で会社は成長していく。しかし、僕が知り得る限りでツエーゲン金沢でそれが行われた形跡はない。もちろんスポンサーや行政には説明しているとは思うが、私達一般人に見える形にはなっていない。会社の事をおおやけにしなくてもいいのでは?と思われるかもしれないが、サッカークラブにおいてはそういう訳にはいかない。地域社会と共に生きているからだ。

この目標が設定されていない事が、現段階で危機感があまり漂っていない原因の一つであると考えている。「まだ降格圏に達していない」「柳下監督に任せていれば大丈夫」という考えを否定するつもりはないが、そんな意見が大勢を占めるようならクラブは強くならない。クラブが目標を掲げないままになるからだ。

クラブが掲げる理念「挑戦を、この街の伝統に」 

ここに具体的な目標は記されていない。我々から見ると運営・企画はよくやっていると思う。今年だけでもツエーゲンZやツッパリナイトなど、他のクラブでは思いつかない事をしている。少し前まで、新幹線も走っていなかった地方都市からここにしかないイベントを発信している。まさに「挑戦」と呼べるものだろう。ただ、コロナ禍とはいえツエーゲンZを開催した山口戦の入場者数は2470人。今日現在、今シーズン開催したホームゲームで3番目の入りにしかなっていない。

警戒心が強く、周りを気にする県民性ゆえに人が集まるところに行ったり、行った事が知られると困るという気持ちもわからんではないが、強いチーム(もしくは挑戦する姿勢が見えるチーム)であればおのずと客は増える。2015年に一時的に首位に立った時に比べると平均入場者数は概算で半分ほどになっている。そこで②の問題にも触れておこう。

②金沢人特有の問題

それは先ほども少し触れたが、周りを気にしすぎる金沢人の難しさだろう。ツエーゲンはおひとり様観戦の割合が多い。それを少しでも解消したいというのもRED TAGの目的の一つでもあるのだが、コロナ禍でそれに拍車が掛かっている。

サポ同士が熱く語るという姿はほとんど見なくなったし、SNSがあまり盛んだとは言えない金沢においてTwitter上での呟きがまさに「つぶやく」だけで終わる。いいねやリツイートも履歴が残るのを嫌ってあまりしないような感じさえ受ける。私のような暴論者にはいいね・リツイートされないのは当たり前の事だが、そうでない人の意見であっても「自分は同じ意見だと思われたくない」という思いが働くようだ。

もちろん日本人には少なからず「事なかれ主義」的な風潮があるが、金沢人(ここでいう金沢人は金沢に住んで数年経過した人を含む)は気にしすぎである。その事自体がツエーゲンが盛り上がらない一つの要因である事にほとんどの人が気がついていない。

ツエーゲンというコンテンツは金沢においてはまだ確固たる地位を築けていない。条例やなんやらで他のクラブのように街に入れば旗がたなびいている事も無いし、地上波での放送も年1回(今年はすでに2回という快挙、ここにもクラブの挑戦が?)。会社でも話題にものぼらず、ツエーゲンの話をしようものならシラーッとした空気が流れるという事も、金沢のツエサポ社会人なら誰しも経験した事があるだろう。まるでパソコンが社会に浸透する前に「パソコンおたく」と言われて嫌われていたような時代を思い起こさせる。

しかし、パソコンは必要なものとして社会に普及したが、サッカーが金沢に必要なものかと言われれば「NO」だろう。「パソコンおたく」が「パソコンユーザー」になったのと同じように「ツエーゲンおたく」が「ツエーゲンサポーター」として市民権を得るのは格段に高いハードルだ。

最近、こんなツイートを見た

「批判して強くなるくらいなら赤いところは強くなってる」

文章は合っているかわからないが、こんなような意味だったと思う。赤いところというのは浦和レッズの事だと思われる。もし、僕の捉え方が間違っていたら想像力の無い奴だと思ってもらって構わない。

しかし、浦和レッズは強かったのだ。タイトルを沢山獲ってきたのだ。近年のリーグの順位は振るわないかも知れないが、ツエーゲンの遥か先にいるのだ。強い時を経て今があるのだ。ツエーゲンがJ1経験があって強かった事があればそのツイートも間違ってはいないだろうが、批判を悪口とでも勘違いしているとしか思えない。

ちなみに僕やRED TAGのメンバーは印象などで批判をしたりは絶対にしない。その試合のデータや過去のデータ、もしくは他のチームとの比較や事象を引っ張り出したりしながら分析を行い、見解を出している。僕がそれを教えたのではなく、責任を持って応援し支えたいが為の行動だ。

批判をしているのに支えるとはどういう事なんだと言う人も多いだろう。批判ばかり目立つだろうが、良いプレーは讃える事もしている。とにかくツエーゲンの話をいつも真剣にし続けなければいけないのだ。それをポツンポツンとあちらこちらでやっているだけでは何のムーブメントも起きない。ツエーゲンについて語る事で横の繋がりが生まれ、考えの違いを尊重出来る。そんな繋がりができればこれほど頼もしいものは無い。

実際、私はタギリストと名乗って活動してから想像も出来ない経験をいくつもした。今回の話とあまり関係無いので具体的な話は控えるが、ただ一人で観に行っていた頃とは比べ物にならないほど楽しさも悔しさも倍増している。その繋がりを広げる事が支える事に繋がると信じている。

③そもそもサッカーの見方を知らない

雑談の中でこんな話が出た。石川県民はツエーゲンの試合より星稜の試合のほうが関心がある、という事だった。

星稜高校サッカー部は言うまでも無く全国でも有名な強豪校。本田圭佑や鈴木大輔など多数のプロ選手を輩出している。野球部も何度も甲子園に出場しているし、確かに認知度ではツエーゲンより星稜のほうが上かもしれない。その為かスポーツには関心があるが、それが保護者的見方だと感じてしまう事が多々ある。

応援のスタイルは自由だし、自分の息子のように選手を見ている方もいると思う。頑張っているから応援する。頑張っているから信じる。それはそれでいいのだが、金沢にはそんなスタンスの人が多すぎる。

頑張っているのは多分どこの選手でも同じ。それを言っては元も子もないのは分かってはいるが、保護者的目線だと「先生にお任せしているから口出ししない」というような応援になっているように見えるのだ。言いたい事は言えばいい。悪口でなければ。

選手が頑張っているのは間違いない。しかし、残留争いを頑張っているのと昇格争いを頑張っているのとでは、全く頑張っている意味が異なる。だからクラブが目標を示す事が必要だし、目標に向かっているのかを我々が毎試合見る必要があるし、それを色々な人と話をしながら盛り上げていく必要がある。それが確信を持って信じられる事に繋がるし、信じられなくなったらどうすれば信じられるようになるのかを考えることが出来る。ただ信じる事だけをしていて結果が出ないと、信じる言い訳を探して信じる事を止められないという悪循環が起きる。

ちなみにサッカーの見方を知りたいがいまさら聞けないという方にはZerofagiさんのYOUTUBEチャンネル動画をおすすめします。

さて、最初の話に戻る

「風が吹けば桶屋が儲かる」が何故ツエーゲンと繋がるかに話を戻す。

とにかく熱くツエーゲンについて語る事を続けろ

という事なのだ

ポツポツと単発的に話していてもボヤはすぐに消える

誰かの意見に乗っかっても良いし、僕の意見を否定してもいい

ただ見えないところでそれをしても話は広がらないし

無関心のように反応しないのも良くない

YESかNOがわかれば自ずと何故?が知りたくなる。

何故かを話すと共感が生まれる

それを続ける事でクラブ愛が育まれる

愛は全てを許すだろうか?いや

こうして欲しいという希望も生まれるはずだ

強さを求めるもの

楽しさを求めるもの

温かさを求めるもの

色んな人が居ていい

地元クラブには色んな可能性がある

色んな可能性を求め色んな人が関わってこそ

おらが町の誇れるクラブなのだ

それこそがお互いを成長させるのだ

自分には大したことは出来ないなどど

思わないで欲しい

まだまだツエーゲンの歴史は始まったばかり

選手やクラブだけに頑張らせない

歴史をみんなで一緒に作ろう

可能性の火を消すな

最後に

皆さんがツエーゲンを通して見る夢ってなんですか?僕の夢は、あちらこちらでツエーゲンの話をしているのを聴きに夜の街に出て、「あの頃は良かったぞ」と知らない若者に自慢話をする事です。

皆さんの夢も聞かせて下さい。そこから話が広がるかもね。






ツエーゲン金沢応援集団「RED TAG」運営費用としてありがたく使わせていただきます