【中学受験】人気の「渋渋」受験に必要なこと

いわゆる有名中には、2つの種類があります。1つは「偏差値は高いけど、授業は受験にあまり関係のないことをやっている学校」。この種の学校では、学校以外の予備校や単科塾に通うことになります。もう1つは「学校の授業や教材が大学受験に即した内容になっている学校」。この種の学校では、学校の授業とテストさえ頑張っていれば、受験が近づいて慌てることも少ないため、生徒の授業へのコミットもしっかりしていて学校での活動にも身が入る傾向があります。

渋渋は、東大をはじめとする難関校受験で大きな実績を上げるいっぽう、生徒が「バンドをやりたい」と言ったら校長が構内に防音スタジオを作ってくれるような「勉強バカのみを量産しない」柔軟な進学校です。また、画家の内田すずめさんなど、多彩な才能も輩出しています。そんな渋渋の中学受験はどんな入試問題なのか?ざっと概観してみます。

【算数】

いわゆる事前のトレーニングでものをいう「標準的な問題」が5割〜6割、将来東大や医学部を突破できるくらいに考える力がないと解けない「高度な問題」が5割〜4割といったところでしょうか。特にこの「標準的な問題」で落としすぎると致命傷になります。対策としては、「四科のまとめ算数」(四谷大塚)はもちろん全て解けるようになっておくことが必須ですし、ステップアップ演習(東京出版)などは、夏休みまでに全て終えるくらいの心構えと早めの準備が必要です。

【国語】

小説文と論説タイプの文の大問2つからなっています。小説文は保坂和志や堀江敏幸など最近の作家のものが多く、この点、文豪の作品が多く出る姉妹校の渋幕とは対照的です。また、論説タイプの問題は、「外国語を学ぶ本当の理由とは?」とか「権力と暴力はどう違うか」といった興味深いテーマが出題され、著者も内田樹氏や國分 功一郎氏など、現代を代表する気鋭の思想家の文章が用いられています。対策としては「読解の応用」(さなる出版)は5年のうちに終えておき、6年の早い段階で「読解の完成」(さなる出版)などを終えておきたいところです。

【社会】

まず公民に関しては「司法試験の問題?」と思われるほど、憲法に関する深い知識が問われます。また、歴史に関しては年代に関する細かい知識があったほうが有利です。そして、環境問題や都市計画、国の経済動向などを題材にした「思考力系の問題」にも多くのボリュームが割かれます。対策としては、「コアプラス社会」(代々木ゼミナール)や「出る順・歴史年代」(旺文社)、「白地図まとめノート200」(増進堂・受験研究社)、「社会これだけは!シリーズ」(地理・公民・歴史の全3冊。森上教育研究所)などは5年か6年の早い段階でマスターしたいところです。また、渋渋特有の思考力系の問題に関しては、中高一貫公立向けの受験指導で定評のある早稲田進学会の問題集(朝日新聞出版)の社会系資料分析問題や、「社会の記述が面白いほどとける本」(中経出版)などが有用です。

【理科】

理科は「しょっぱな」から高度な思考力系の問題が出題されますが、それを解くにはしっかりとした基礎・標準的な知識が求められます。まず、5年の間に「メモリーチェック理科」(みくに出版)や「特進クラスの理科(人気校編)」(文英堂)、「教養のための理科(受験編)」(啓明舎)などは最低限マスターしておきたいところです。そして、6年になってからは「特進クラスの理科(難関校編)」(文英堂)に取り組みたいところです。

【通っている塾で有利・不利はあるか】

渋渋受験で多くの合格実績をあげている大手では、やはり専用の教材が準備されていたり、塾内模試があったり、何より同じ志を持つ受験生が集まってくるのでやはり有利でしょう。ただし、各駅に校舎を持つ、いわゆるチェーンの「コンビニ塾」の中には、「渋渋対策」をうたっておきながら単に生徒を自習室に閉じ込めて渋渋の過去問をやるだけ(間違いは自分で解決してね)といった塾もあるようです。6年になってあたふたせずに、5年の段階でしっかりとした力を身につけたいところです。


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