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息子の戦場

年末、 残務整理を 終えて ようやく帰宅した 息子と話した。

どうやら また一つ、 責任ある立場に 就いたらしかった。

競合会社との 顧客争いで、 しかもこの不景気で、 師走は 本格的な戦争で、 生きた心地がしなかったと 息子は言っていた。

正月は 2日間だけ休んだら、 また 競合会社との 戦争 のため 出勤だそうである。

息子は時に 4時に起き、 始発で会社に行くこともある。

そんな日でも 帰宅が10時頃になることもある。

当たり前だが このご時世 なので、 有給などとっていられず、 ごくごくたまに、 と言っても 年に1回あればいいが、 箱根の温泉に一泊したとか 写真を LINE してくるだけで、 働きづめだ。

年末の電話で 息子とひとしきり、 国の政策の悪口を言い、 どんどん 世知辛くなっていくなあと この国 大丈夫かと話した。

世界中 戦争だらけだけれども、 競合会社との 顧客争いで 部下に指示を 出す 立場にいる息子は、

「 いやもうほんと、 自分の会社の戦争だけで手一杯、 戦略 練るので精一杯!! だって 毎日 ほんと 戦争だもの!!」

そう言って嘆いていた。

それでもあいつは負けていなかった。

競合会社の 資本は 息子の会社よりも大きい。

負けてなるかと、 絶対に負けられないと、 いつの間にこんなにタフになったんだろうと 思うぐらい、 息子の声は やる気と精気に満ちていた。

「 休み取れた日、 占い師っていう人に ちょっと鑑てもらったら、 このまま行ったら 40歳で死ぬって言われたんだよねー。 でもまあいいや、 俺は母さん さえ 長生きしてくれれば ありがたいんだ! まあ そんな感じ!! あんたは長生きしてくれよ!!」

息子に言われた。

なんだか息子は、 例え本当に40歳で死んでも、 今の働き方をやめる気はないらしかった。

息子は、 今まさに 戦場にいて、 自分の戦いを 最後まで生きるつもりである。

あっぱれと思った。

それならば 骨を拾ってやろうじゃないか!!

大した漢に なったもんだ。

息子が誇らしく、 こいつが私の息子なんだ と 思うと、 なんだか胸が熱くなる。

存分に戦え!!

母さんは母さんの戦いをする。

息子から檄を飛ばされたような、 そのくらい あいつの声は まさに生きていて、ああ、 あいつは私を越えたなと、 それが 何よりも嬉しかった。

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