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Day5 競争の戦略読書会 2022/06/04

こんにちは、グロービス経営大学院、卒業ホヤホヤの原田です。
井手先生のクラスは「マーケティング・経営戦略基礎」を受講しただけですが、縁あって井手先生の「経営戦略」の受講生との読書会に参加しております。

Day5は【第12章 衰退業界の競争戦略】【第13章 グローバル業界の競争戦略】を読み進めました。

【第12章 衰退業界の競争戦略】

■ 「強力な地位を占めているほど、あるいは撤退する際の障壁が高いほど、将来の予測には楽観的色合いが濃くなる」(p. 336)というのは感覚としては分かるが、それはなぜ?
→ 現状維持バイアスがあるのではないか?(経路依存、慣性の法則と言ってもよい)
→ 強力な地位を占めている・撤退する際の障壁が高いほど、危機から遠くなるため、危機を過小評価してしまう、という側面がありそう。
→ 経営者が撤退したほうが良いと思った場合でも、ステークホルダー(主に株主)が同意しない、という問題点もありうる。

■「衰退期を早く見出し、撤退がうまくいった企業」(p.337)の具体例は?
→例①IBM:PC事業をLenovoに売却、モノ売り(ハード売り)→コト売り(ソフト売り)に大転換した。2004年にこの判断をしているのは、かなり先見の明があったのでは。
→例②HP:ハードウェアの割合をだいぶ減らし、ソフトウェアに転換した。
→例③富士フイルム:銀塩フィルムから撤退した。

■「人口の変化」(p.338)が先読みしづらいと書かれているのはなぜ?人口構成の変化なら、出生数/死亡数でトレンド予測ができると思うが…。マーケットの規模のこととも読めるが、それは次項目の「ニーズの変化」(p.339)で語られているし…。
→書かれた年代(1982年)故の意見かもしれない…?

■撤退の原因としての「ニーズの変化」(p.339)に関して。規制や法規が厳しくなることもここにあてはまるのか?(例:自動車エンジン業界は法規制が厳しくなることで衰退が加速している)
→ニーズの変化のトリガーとして法規制は効いてくると考えられる。PESTELでマクロ外部環境を分析することが、ここに紐づいてくる。

■「転用のきかない耐久資産」(p.339)は具体的にどういうもの?工場などは転用できると考えていいのか?
→工場の転用可否は作っているものの製品特性に左右される。
例えば、特殊なものを作っている場合、、作っている製品自体が不要になる場合、技術革新が早く装置の陳腐化が早い場合、など。

■「前工程の部門が打っている原材料が、代替製品の出現で時代遅れになった場合、後工程の部門は競争力を弱めたくないので、新しい原材料を供給してくれる社外のメーカーを何としても見つけようと懸命になるだろう。このように川下統合していることで、撤退の決定が早まることもある。その事業を抱えている戦略的な価値がなくなり、逆に会社全体にとっては戦略的な負担になってしまうからである。」(p.343)は、ここは「原材料の部門が撤退する」という意味ととらえていいか?その場合、「戦略的に川上、川下統合した場合でも、そのいずれかの競争力が失われた場合は、一緒に沈没しないために、競争力を失った事業を撤退する意思決定が通常よりも早く行われることがある」ということか?
→そのイメージでいい。共倒れするより、調達する材料・部材を差し替える、ということだろう。

■「経営者障壁」(p.346)は具体的になにか?撤退する意思決定をする障壁(免疫を高めること)を指している?
→「感情障壁」(p.344)が具体例になり、撤退の経験がないと撤退に対して抵抗がある、という状況のことを指すのではないか。とはいえ、業界によっては「失敗しても当たり前」という場合もあるので、一概に「撤退の経験がないから抵抗がある」とも言い切れない。
→転職も同様の障壁がありそう。転職をしたことがない人は、転職に対するハードルを高く感じるだろうが、一度経験すると以降はハードルが下がる。それに似ている。

■「簿価よりずっと安い値である起業家のグループに売却され、新しい企業の経営者は価格その他の戦略を決定、これはその会社には合理的であっても、生き残った企業には手痛い打撃を与えた。(中略)衰退業界の資産が処分されても、同じ業界に留まっている限りその後の競争は最初の企業所有者が事業を続けた場合よりも一層悪い事態になる。」(p.346-347)。カナダの工場の事例があるが、工場を購入した新しい経営者は「合理的に価格と戦略を決定」しているため、その会社にとっては大きな問題がなさそうに見えるが、この事例は「合理的に価格と戦略を決定」した事例なのか?それとも、ここで言う「一層悪い事態」というのは、購入した企業にとってではなく、周囲の企業にとって大変な事態になっている、ということか?
→購入した企業ではなく、周囲の企業にとって「一層悪い事態」になっている。カナダの事例で言えば、工場が売却され、新しい経営者がコストリーダーシップ戦略を取ったために、業界全体が価格競争に巻き込まれ、全体の収益性が下がる、という状態になったと推察される。

■p.354の5つのポイントは、図表12-2とは関わりが薄く見えるが、どう使ったらいいのか?
→5つのポイントからファクトを整理し、図表12-2のフレームワークを考える材料にするのでは。

【第12章 衰退業界の競争戦略】では、
「読めば読むほど人生のような…」
「栄枯盛衰を感じる・・」
というコメントもありました。

【第13章 グローバル業界の競争戦略】

■「余分の鉱石を他の企業へ売ることが出来ない」(p.365)の理由は?
→これは…なんでしょうか?業界内の慣習?

■「購買量が大きすぎると、交渉の有利さは消えてしまう」(p.365)のは、調達量を確保できないと困る(できないなら他へ行きますよ、と言えない)から?
→5Fでいう、「売り手の力が強い」というパターンに該当する。複数社から調達する場合でも、売り手から条件を付けられることも考えられ、交渉力が効かなくなりそう。
→稼働率の経済性とも考えることができる。売り手側の稼働率が100%を超えると追加投資が必要となり、価格が安くならない。

■「グローバル進出への障害」として営業担当者、特に医薬品が挙げられている(p.368)が、本当なのか?実際にMRの給与は高額だが、それが障壁になるほどなのか。
→あくまで障壁の要素の一つであり、絶対的な要素ではない、という理解でいいのでは。
→「流通網の確保」というイメージでとらえると、営業担当者を確保できないことは流通網を確保できないことにつながり、参入障壁になる可能性はある。
→営業員は規模の経済性を効かせるのが難しい、という要素もある。

【第13章 グローバル業界の競争戦略】では
「グローバル競争を語る時、商品特性の観点も欠かせない。本にはコスト低減のことを主に書いてあるが、グローバル展開での需要のVolatilityの平準化もリスク管理の視点として持っておきたい」
という感想もありました。

鈍器のような本もだんだん終わりが見えてきました。
「遠くまで行きたいならみんなで」という言葉もありますが、最後まで読み切るためには仲間の存在が大きいと実感しています。


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