見出し画像

柿事変(内輪話の上、長文)

柿の季節になってくると、秋山家ではひと騒動起こる。
それは父が、敷地内の木にたわわに実る柿を見て、いてもたってもいられなくなり、苦労しいしい各地に送りつけてしまうことから始まる。

えっと、この投稿は実家の近所の方とか親戚も読んでいるのですが、くれぐれも「柿のこと、妙子さんが面白く書いてたわよ。クスクス」などと話題にしたりせず、温かく無言で見守ってください。(怒られちゃうから 笑)

木になっている実が熟れてくると、父は焦り出してくる。
ひとりではどうにもしようがない量が、父めがけておちてくるからだ。
そこで父は、せっせと竿の先についた鋏を使ったり、脚立を運んで登ったりして、手当たり次第柿をもぐ。
そして箱につめて、送る。

のだけど、そこが父の面白いところで、取っているうちに色の感覚が麻痺してしまい、けっこう青い柿も入れて送りつけてしまう。

一度、弟嫁の実家やら妹夫の実家から

「青い柿が箱にいっぱい届きましたけれども、あれは、なんでしょう???」

と連絡が来たことがあり、特に妹が父に厳しく説教したのだけど、柿が色づいてくると父の柿もぎセンサーは反射的に発動し、機械的に送りつけてしまうのだ。

今年も来ました。おそるおそる箱を開けたら、青みを帯びた、まだ固い柿がぎっしり。

画像1

「受け取ったよ。ありがとう。でもけっこう青かったよ」
「いや、青くはない」
「青かったよ、目のせいかな」
「置いておけば甘くなるから」
「そっか」
「北(弟嫁実家)にも北陸(妹夫実家)にも送ってやったんだ」
「え!!!!!!(また妹が怒る)十分熟れたのを送ったの?」
「知らない」
「(でた、知らない)・・・・」
「まあ置いておけば甘くなるだろう」
「ちょっと皆に伝えておくね」

父は平然としていた。父にとっては父の敷地で取れた柿はすばらしく甘くておいしいのだ。

しかしスーパーで売っている濃い朱色の、ピカピカの、「糖度13 」などの柿からすると、
父の柿のサイズは半分、皮は厚く、種は大きく多く、種のまわりのぬるぬるは厚く、身はあっさりして、カルピスで言えば10倍希釈くらいの甘さなのだった。

この話を聞いた妹はまたもや激怒して、父と電話で激しくやり合ったそうだ。

父も怒って
「もういい。北陸に電話して美味しくないかどうか聞いてみるから」
と言って電話を切ってしまい、
また電話をかけてきて
「美味しいって言われたぞ」
と威張ったそうだが、どの世界に、送ってくれた人に対して
「あなた様の送ってくれたものは、美味しくありませんでした」
と言うおばあさんがいるでしょうか。
(嫁には言うかも知れないが)

以前、妹夫が直接聞いてみたら、
「ひとつ食べてみたけど、甘くなかったわ・・・」
と返事が来たそうだ。
「迷惑だよ!」
と妹は言う。
「お父さんが送りたいんだから送るんだ!それでいいじゃないか!」
と父は言う。

まあ、本当に迷惑なら、北陸のおばさんが自分で手紙でもなんでも工夫して断るのがよろしい、と私は思う。

それにしても父は一度スイッチが入ると、人のいうことは頑なに聞かない。

「もう25年こんなこと言って、ほんとやだ」

と妹が母親みたいなことを言ったので大笑いしてしまった。

お餅、梅、筍、落花生、柿。

相手の都合がどうでも、作ったものを送り続けることが、父の生存意義なのかも知れません。

10月7日にうちにぎっしり送られてきた柿は今どれも甘くなって、残り12個。

画像2

おとなりにおすそ分けする約束だったけど、今年のは、ちょっと、小さくて、皮が厚くて、あげにくいかなー。

毎日皮ごとかじっています。

食べてみたい奇特な方がいましたら、サロンでおすそ分けしましょう。

という訳で、続きはサロンで。サロンでお会いしましょうー!
https://www.iki-aoyama.com/
(2020年10月23日の記事)

言語化能力でなにかしら換金できたらと考えて投稿を公開しています。投げ銭のようにサポートいただけたら嬉しいです。