実験

基本的に僕は経験して学習することを大切にしている。「働きながら、社会を変える」を書いたときは児童養護施設に住み込みをしたし、「ルポ・児童相談所」を書いたときはいくつかの一時保護所に泊めてもらった。マイクロファイナンスの顧客の家に泊まったことも何度かある。

 

創業から6年が経ち、改めてマイクロファイナンスのあり方について考えたくなった。当面現地にはいけないので、次のことを試してみることにした。エンドの顧客たちの収支の感覚を少しでもイメージしやすくなるのが目的。

・まずは手元に2万円をリザーブとして用意

収入
サイコロを毎朝振る(このサービスを使うことにした)。振る時は誰か第三者と一緒に結果を見る。

サイコロの目に応じて収支が決まる。
1:0円
2:0円
3:1000円
4:2000円
5:3000円
6:4000円
1が2日連続:5000円を失う
2が2日連続:5000円を得る
(そうすると、月の平均収入は5万円。日本で貧困線に暮らす人の家賃&水道光熱通信費後の可処分所得はだいたいこれくらい)

更に、毎月のはじめにサイコロを6つまとめて振り、毎月の日時収入に次の数字をかける。
 乗数= 1 + (目の総数-21) x 0.05

なので、最悪だとある月の収入は予定額の0.25倍だけになってしまい、最高なら1.75倍になる。マイクロファイナンスの顧客の月別の収入は最大でこれくらいにバラける。
借入
お金を借りたいときはサイコロを振る。奇数であれば借りられる。3ヶ月かけて金利を10%つけて毎月同じ日、同じ時刻に返す。奇数が出なかったら10日待ち。

今すぐにほしい場合は、月利30%で借りることができる。この場合、返済はどのタイミングでも可能で、金利は日割りで計算する。

・毎日の収支と気づきを記録。実際にお金を貯められるかを観察。基本的に現金のみで生活。

・期間はとりあえずは1ヶ月だけど、多分数ヶ月やってみる。

・仕事の経費は(当然だけど)別。あと、これで健康を害したら本末転倒なので、そこはきちんとする。

マイクロファイナンスの顧客になる人たちの資金繰りの特徴は、その多くが少ないだけでなく、不安定なことにある。例えば農業であれば収入が得られるまでに数ヶ月がかかってしまう。そして、預金がとても少なく、多くの人にとって毎月の資金の出入りは預金の倍以上になる。

なんてことを、口ではよく説明してきたのだけど、自分が経験してみないとなんとも説得力がない。本当に経験したいのなら現地でそういう生活をするか、日本で日雇い労働に従事する他ないのだけど、経営者として今そういうことはできないので、こうすることになった。

もちろん、そんなことをやったところで、本当にお金がないことの苦しみや大変さは分からないのだけれど、それでもやらないよりはやったほうが洞察は多くなる。色々なことを思い出せることを期待している。

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