週末レビュー(2022-02-06)

あっという間に如月。

週の出来事と雑感

今週も慌ただしかった。外部ミーティング多数。

オミクロン蔓延時の生活設計
オミクロンについては、もう国の検査キャパを超えたようなので、そろそろ感染者数は推定する他なくなっている。東京の陽性率は40%近くなっているので、実際に公表されている感染者数をx倍してウィルス保有者を推定しないといけない。

仮に、毎日2万人の陽性者が出ている裏側に、5万人の隠れ陽性者がいるとすれば、10日のウィルス保有期間をかけると、50万人が無症状&無陽性診断の状態で東京の街をうろついている計算になる。200人に一人の割合でいるわけなので、街を歩いていればほぼ確実に陽性者にすれ違うことになる。

よって、移動は自転車が大半。難しいときはタクシー。他は使用しない。

ランチミーティングはこの期間にも入っていて、今週は3件。クイックの抗原検査キットを持っていって、確認→食事、としている。異常なまでに感染対策をしていた親戚が感染したので、感染確率をゼロにすることはできないけれども、重要なのは確率を落とすことだ。

その点で本当に悩ましいのが、全日本マスター柔術選手権。もしこのまま順調に強くなれば、白帯でこの大会に出られるのは今年が最後だと思うので練習をちゃんとしてから大会に出たい。しかし、練習になかなか出ることができない。柔術練習一回あたりの推定感染確率が高すぎる。この時期で仕事に支障をきたすわけにはいかないし、子どもの重症化率も高いのでそのリスクも取れない。

柔術の練習が出来ないのはフラストレーション。そして、全日本マスター選手権が開始される頃は、感染のピークを過ぎているのだろう。パーソナルレッスンだけを週に2回やっていくか。悩ましい。

ノートのとり方
ノートのとり方についてちょっと研究をしていたのだけれども、ようやく決着した。

ノートの用途は二種類で、記録と思考に分かれる。記録において一番重要なのは後からの検索性なので、統一的な場所に規則的にまとめ続けることにする。結果として使うことにしたのはAppleのnoteアプリ。一番単純ながら、オフライン機能も含めて一番すぐれている(エバーノートは立ち上がりが遅かったり、なぜか僕のMacでは途中で消えたりするのでやめにした)。

一方で、思考用のノートは、手を動かして書き、そのときの思考の足跡に将来の自分が創発されるのが重要。昔書いたものを見ることで、過去の自分と対話することができる。検索性はさほど重要でない。そこで、6つの思考テーマカテゴリ別にノートを分けて書くことにした。使ったのは、デザインフィルの新書サイズMDノートx6。これなら持ち運んでもかさばらない。五常創業時からずっと使っているMDペーパーは、日本で手に入る紙の中で、価格と品質のバランスが最高によい。友人がやっている会社というのはさておいても(もともとはそのことを知らずに使っていた)、僕はこのMDペーパーのノートをずっと愛用している。

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トレイルラン
ちょっと精神的に疲れ気味だったので、「これは長い距離を走るしかない」と思い、久しぶりに高尾山口へ。詳しくは「ランニング思考」を読んでほしいのだけれども、僕は心が疲れたら長距離を走ることにしている。

高尾山口から高尾山経由で陣馬山まで走る。つけていたアップルウォッチのGPSがちょっと壊れているっぽいのだけれども(そろそろGarminのちゃんとした時計買うかな、遭難対策にもなるし)、往復で28km強、累計高低差は1600m前後。

昔と違って時間を気にせずに走るわけにもいかず、早めに家に戻ってこないといけなかったので急いで走り、自己ベストの04:04:21。家を8時半に出て、10時から走りはじめ、14時過ぎに高尾山口に戻り、14時10分の電車に乗って、帰宅は15時半。いつもは走ったあとに駅併設の温泉に入るのだけれども、今回はスキップ。7時半に家を出ていたら、14時半には戻れるのか。これならできるな。

いつもはこの行程で一歩も歩かないことを墨守してきたのだけれども、今回は後半で2%くらい歩いてしまった。理由は二つで、1年ぶりに走ったのでさすがに脚力は落ちていたこと、下り坂で飛ばしたこと(よってタイムとしては自己ベストだった)。下りで飛ばすと太ももの前の部分に相当な負担がかかる。おかげで今日は筋肉痛で、階段を降りると痛い。

久しぶりのトレイルランは最高だった。高尾の場合、景信山あたりまでは人が大勢いてあまり楽しくないのだけれども、景信山を過ぎてから陣馬山までの道のりは人が少ない。景信山まではイヤホンをつけてEconomistのオーディオブックを聴きながら進み、景信山を過ぎてからはイヤホンを外して、山の音を聴きながら走る。これを求めていたんだな、僕は。控えめに言って最高の経験だった。

僕は走ることから多くを学んだのだけれども、長い距離を負荷をかけて走ると、全行程の半分にたどり着く前にしんどくなってくる。そこから、足の痛みや疲労を脳が信号として受け取りつつも、心の平静には影響を与えないで走る訓練が始まる。筋力は落ちてくるので走りはじめの頃のようには走れないのだけれども、心は平静に保ち、ベストを尽くす。

仕事も基本的に同じことだと思っている。大変なときも、心の平静を保ち、粛々とベストを尽くす。コントロールできるものだけに気を配り、そうでないものに心を左右させない。

いい時間だった。

読んだ本・観たもの

中村佳穂、''うたのげんざいち 2022''
Rating: 5.0
友だちに誘われて参加した。コンサート系だったので、感染はしなさそうな会場。中村佳穂のことは全く知らなかったのだけれども、素晴らしかった。このライブで感じたのは、和歌が日本のジャズアーティストに与えている影響。音階の微妙な外しが、全体として統一感を保ちながら行えるのって、日本古典音楽の影響なのかなと思ったりする。あくまで個人的な感想だけれども、アメリカやヨーロッパで育ったアーティストだとこういう音階の外しにはなかなかならない。

敢えていえば矢野顕子系。音楽の系統としては好きで、今回は弾き語りだったこともあり、より自由な音楽だった。やっぱりライブはいい。去年はフジロックも無かったので生音から離れていたけれども、今年は参加したい。

Netflix、''The Playbook''
Rating: 4.3
Alex Fergusonの本が良かったのでこちらも見てみた。いくつか印象に残るものがあったけれども、チーム競技のコーチの話は刺さる。特に記憶に残ったのはDoc RiversとJose Mourinho。Doc Riversの点差の埋め方の発想はFergusonと同じだったし、Mourinhoの「自分はスーパースターにフリーキックを教えることはできない。だけど、チームのために彼がやるべきことは教えることができる」という話はそうだな、と思った。エンジニアに仕事をお願いする経営者にも同じことが言える気がする。

Guy Nattiv、''Skin''
Rating: 4.7
秀逸な短編映画。内容は数多くあるアメリカの人種問題に関する話なのだけれども、それを、白人と黒人両方にエンパシーを感じられるよう、両方の家族の描写をきちんと行いつつ、伏線の引き方も含めてよく出来ていた。

Clint Eastwood、''A Perfect World''
Rating: 4.7
レビューを書いた気がするのだけれども、どうやら書いていなかったので書いている(見たのはおそらく3週間くらいまえ)。知り合いの映画好きが勧めている映画だったので見てみた次第。

内容としては典型的な映画らしい映画だし、ストーリーは陳腐といえば陳腐なのだけれども、描写がとても美しかった。レオンとかと近いものがある。

David Fincher、''The Social Network''
Rating: 4.3
だいぶ遅れて見たけれども、Facebookが誕生時からEvilだったんだなという感想を抱く映画だった。僕は社会生活上しょうがないのでMessengerだけを使っているのだけれども、Facebookの友人数をゼロにし続けようと改めて思う映画だった。もちろん人は変わりえるので、今のマーク・ザッカーバーグはいい人なのかもしれないけれども、少なくとも現在も僕にとっては「FacebookはEvilである」という仮説は揺るぎない。

David Kadavy、''Digital Zettelkasten''
Rating: 4.0
ノートのとり方を考えるために読んだ本。他によい本が見つからなかった。もともとZettelkastenは、ノートを紙切れに書き、そこから残すもの・消すものを選別し、残すものについても清書&分類して保存するというもの。デジタル化が進んだ現在においては、紙とデジタルの利点を考えながら両方使うのがベストなのだけれども、本書を読んで今週のレビューで書いた通りのノートのとり方に変えた。

Jonah Berger、''Catalyst''
Rating: 4.7
これもある人が勧めていた本。人を説得するための方法論を体系立てているもの。頭文字にしてREDUCEで:
・Response:人は押されると反発したがる生き物なので、相手がこちらにと
 って望ましい意思決定をできるように進めるべき
・Endowment:人は現状や今持っているものを維持するバイアスを持って
 いるので、それがいかに高くつくかを示すのが重要
・Distance:ある人が何らかの信念を持っている場合、その人の信念と大き
 く離れた主張をすると相手の信念がかえって強くなってしまう(反ワクチ
 ンなどもそれ)。なので、相手が許容できるところから徐々に話をしない
 といけない。
・Uncertainty:一度行ったことのあるそこそこ良いホテルvs行ったことの
 ないホテルだと、行ったことのあるホテルが勝ってしまう。人は不確実性
 に高いプレミアムをつける。だから初回割引、フリーミアムなどが有効。
・Corroborating Evidence:ある程度好意的に思うようになったあとでも、
 さらにその主張を支持する証拠があるとさらに良い。たとえば一定期間に
 異なる信頼できるソースから、肯定的な意見を聞くと、説得されやすくな
 る。

時間が無い人は本書の最初と最後だけを読めばそれでも終わる。ただ、本そのものも書き口が軽くて読みやすい。営業を長くやっている人であれば、本能的に備わっていると思うことだけれども、改めて言語化されているのは良かった気がする。


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