仕事が忙しくても子どもとの時間を大切にする理由

僕は日本にいるときは、子どもと1日平均5時間くらい一緒に時間を過ごしている。平日は朝と眠るまでの夕方で、だいたい4時間。休日はほぼ一日中。子どもがいるので出張もだいぶ減らした。多いと胸を張れるレベルではないけど、スタートアップ経営者だと珍しいほうだと思う。

「そんなに忙しいのによくやるね。シッターを雇えばいいじゃない」という人が結構いるのだけれども、僕はかなり強い思想を持ってこのように時間を費やしている。



傍から見ると立派な人格者で、仕事も成功しているような人の子どもが荒れてしまうケースを、僕たちはそこそこ見かけていると思う。その理由について「甘やかしすぎたから」という人もいるけど、養育を見てきた僕からすると理由は違うところにあると思っている。

一番の理由は、親が子どもとの時間を大切にしていないからだと僕は思う。

人が生きていくのに一番大切なものの一つは自己肯定感で、それは誰かが自分を大切にしてくれていると実感することから生まれる。そうしたら、自分は社会に生きている意味があると感じることができる。そう感じられるから努力ができるし、人と健全な関係を長期的に築くことができる。

親と子どもが一緒に暮らしている家庭において、その自己肯定感の源泉は、子どもが「親が自分を大切にしている」と感じるかどうかに尽きる。なお、これは、親がどう思っているかではなく、子どもがどう感じるかのみによって決まる。

親がどんなに社会的な地位が高くて仕事が忙しくても、人格的に優れた人であっても、それは子どもの自己肯定感形成に効果はない。子どもにとっては、そんなことはどうでもいいことなのだ。むしろ「自分よりも仕事のほうが大切なんだな」、「そんな人格者の親が自分のことを大切にしてくれないのは、自分に問題があるのだろうか」と思ってしまいがちだ。そんなので自己肯定感を養うのは難しいだろう。

尊敬する児童養護施設の職員さんがよく、「養育の基本は自己犠牲にある」と話していたのだけれども、今となっては本当によく分かる。親が自己犠牲をしてこそ、子どもは自分は大切にされていると感じる。そして、子どもの心は育つ。お陰でこの2年で白髪がとても増えた。

うちは両親ともに忙しいはずなのに、親がかなりの時間を僕たち子どもに費やしていた。当時は当たり前と思っていたけれども、それはものすごいコミットメントだったと思う。そして、長所短所は全く違うけれども、うちの四兄弟はちゃんと育った。

自分の仕事のほうが子どもの未来よりも大切なら、仕事だけすればいいのかもしれない。だけど、子どもの未来が大切なら、子どもに対して尽くすことは大切なことだし、それはベビーシッターさんで替えられるものではないんだと思う。

注:なお、自己犠牲が大切とはいえ、自分が潰れてしまうほどの自己犠牲をすると心身を崩してしまってかえって悪影響なので、自分の心と身体に相談しながらやるべきだと思う。特に日本の場合、男性がサボりすぎている一方で、女性はすでに自己犠牲をしすぎている人が多いように思う。

注2:とはいえ、共働きの我が家では、どうしても夜に二人ともいられない日というのがあり、そういう日には母に助けてもらったり、ベビーシッターさんに助けてもらったりしています。なので、ベビーシッターをしてくれる人が不要と言っていることでは全くなく、このnoteの重点は、とはいえ親が全力を尽くすべきだということにあります。


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