メリークリスマスおじさんへ


六月の中頃のことです。


アルバイトをしているとき(接客業)、店におじさんが入ってきました。ここまでは普通です。ここまでが普通でない店だとすると、女性限定のサロンなどでしょうか、かなり私のアルバイトの業種が絞られてしまいます。まあ、おじさんが入ってくるのは普通の店なので、一切絞られることなく、私のアルバイトの業種は広がったままです。


おじさんが店に入るなり私の方を向いて「面白いこと言おか!」と言ってきました。入店するなりそんなことを言える方はかなり稀なのではないでしょうか。今考えるとかなりおかしな返答ですが、私は「面白いこと」が好きなので、ワクワクしてしまって、「いいんですか!ありがとうございます!」と答えました。おじさんは「メリークリスマス!」と言いました。


悔し~~~~~~~~~~~~!!!!!悔しくないですか????????そんなに軽々しく”面白い”という言葉を使われたこと が。六月に、メリークリスマス。はい……そうですか……。確かにクリスマス前からもクリスマス後からも最も遠いですが。だからといって「面白いこと言おか」のヤバすぎるフリに耐えられるわけないでしょ。そのセリフ、法で禁じてほしい。


しかも、私は店員という客に失礼があってはならない、いわゆる下の立場の人間。下の立場の人間こと私ができることって愛想笑いをすることだけなんですよね。愛想笑いをするとおじさんは「お!笑っとる!面白いやろ!」と言ってきました。このようなことはあってはならないことです。抵抗のできない人間に笑う以外の選択肢を奪い、あまつさえ自分のことを本当に面白い人間だと思い込むのは。


ただこれは、おじさんだけが悪いわけではありません。社会です。このようなおじさんを許容してきた社会が悪いのです。そしてその社会の一員に、愛想笑いをした私も含まれています。これまでも、周囲からの愛想笑い、世辞の「おもしろ~い」に囲まれ、生きてきたのでしょう。本当に嫌ならばきちんと伝えなければいけません。伝えずに勝手にずっとイライラしているのは時間の無駄です。


私は、今回のメリークリスマスおじさんの件で深く反省し、次回このようなことがあれば「それ!!面白くないです!!フリに見合っていません!!!」と言おうと思います。愛想笑いや面白くないことに面白いと言わない。誠実に生きていきたい。そのためにクビになったとしても……(客に「面白くないです!!」と言ってクビになるのは面白いため)



カッコいい剣とか買いたいです