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2050年カーボンニュートラルに向けて

 ”2050年にカーボンニュートラルだ!”とはいうが、シンプルな考え方はCO2の排出を減らし、同時に排出されたCO2を回収し、トータルでCO2排出をゼロにしよう!というわけである。
 CO2の排出を完全にゼロにすることは生物が生きて、活動している限り、ほとんど不可能なので回収することは必要不可欠になる。これを実現するためには、CO2回収のCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)やCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)の技術を確立することが必要となる。

 ただ、ここでは、CO2回収の話ではなく、CO2排出量の削減について論点を絞って論じたい。


CO2排出量

2019年のデータによれば、世界中で排出されているCO2量は、約335億トン/年と報告されている。このうちの約20%程度が輸送部門になり、輸送部門の大半(約70%)が自動車関係で、航空機関係が約10%、船舶関係が約10%である。
とはいうものの、民間航空機から排出されるCO2量は10億トン/年以上と報告され、この数字は日本のCO2排出量が約11.5億トン/年程度と報告されているので、民間航空機からも結構なCO2が排出されていることがわかる。

航空機のCO2排出量の削減

 上述の通り、結構なCO2を民間航空機も毎年排出している。そのため航空業界もCO2排出量の規制が厳格化されてきている。そこで、燃料を化石燃料よりもの、著しく温室効果ガスの排出量を低減できるSAF(Sustainable Aviation Fuel)が本格的に検討がなされてきている。しかしながら、生産量が市場に対して1%以下と供給の問題など本格的な実用化のためにはクリアしなければならない課題はまだあるのが現状だと思われる。
 さて、主な民間航空機エンジンは、ターボファンエンジン構造になっている。ターボファンエンジンにおいて、圧縮された空気は燃焼室で気化燃料と混合し、点火プラグで着火され、燃え上がり、この燃焼ガスの力を使ってタービン翼を回転させ、排気していく。この時の排気ガスの力で推進力を得る。民間航空機エンジンにおいて、燃費よく運航させようと思うと、熱効率を如何に効率的に得るかが重要となってくる。基本的には燃焼温度を高くすれば熱効率は良くなるが、耐久出来る材料はなく、冷却されているのが実態である。熱効率を良くするために高温にしたいが、耐熱性に優れた材料がないために、冷却し熱効率を低くしてしまっている。
 従い、現状の材料よりも数百℃耐熱性に優れた材料に置き換えることで大きなCO2削減効果が得られることが計算されている。ここで注目されているのが新しいセラミックス材料である。
 このように、航空機のCO2排出量削減のために、再生可能代替燃料のみならず、新しい材料適用、エンジン設計の開発など様々な観点から航空機全体のCO2排出量の削減がチャレンジされている。

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