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サッカーの守備側のハンド(2024年夏)

サッカーの守備側が手や腕で触った場合にハンドの反則になるかどうかの基準について、まとめてみます。職業柄、条文をもとにして考察します。

条文

競技規則には、次のように書かれています。(日本サッカー協会

競技者が次のことを行った場合、反則となる。
◦ 例えば手や腕をボールの方向に動かし、意図的に手や腕でボールに触れる。
◦ 手や腕で体を不自然に大きくして、手や腕でボールに触れる。手や腕の位置が、その状況における競技者の体の動きによるものではなく、また、競技者の体の動きから正当ではないと判断された場合、競技者は、不自然に体を大きくしたとみなされる。競技者の手や腕がそのような位置にあったならば、手や腕にボールが当たりハンドの反則で罰せられるリスクがある。

サッカー競技規則日本語訳 2023/24 第12条(100頁)

念のため、サッカー競技規則の元締めであるIFABのサイトに置かれた英語の競技規則には、次のように書かれています。日本サッカー協会は、これを日本語訳して、使っています。係り受けなどについて、英語版を見たほうがよいことがあります。

It is an offence if a player:
• deliberately touches the ball with their hand/arm, for example moving the hand/arm towards the ball
• touches the ball with their hand/arm when it has made their body unnaturally bigger. A player is considered to have made their body unnaturally bigger when the position of their hand/arm is not a consequence of, or justifiable by, the player’s body movement for that specific situation. By having their hand/arm in such a position, the player takes a risk of their hand/arm being hit by the ball and being penalised

IFAB, Laws of the Game 24/25 Law 12 (p.106)

上記に続いて、(攻撃側の)手や腕に当たってから(攻撃側にとっての)相手チームのゴールに入った場合の特例(基本的には全てハンドの反則)が書かれていますが、守備側のハンドには関係がないので省略します。

2023/24と2024/25との間には、この点について改正はない模様です。(ハンドと判定された場合に出るカードの色などについては改正がある模様です。)

整理

上記から、次のことが分かります。

ハンドとなる場合には、次の2種類がある。

  1. 意図的に触った場合

  2. 不自然に体を大きくした場合

「2」に関する中黒(上記の条文の)の第2文以下は、第1文の説明を競技規則の中に書き込んでいるものです。

ルールに関して精力的な発信をしているESPNのDale Johnsonさんによれば、UEFAの基準であるとして次のようなことが言われているようです。その内容をUEFAの1次資料で確認することができないのですが(多分)、仮にこれがUEFAの基準であるとすると、これは、上記の「2」に関する更に具体的なガイドラインが示されたもの、と位置付けることができそうです。

So UEFA says that a defender in a standing position when the ball hits their arm at or close to their side, in position vertically, and/or with the arm behind the line of the body, it should not be punished.

Dale Johnson, "VAR Review: Why Germany didn't get a penalty for Cucurella's "handball""

これによれば、腕が胴体に近い(at or close to their side)ということがなくとも、腕が下を向いていたり(in position vertically)、腕が胴体より後ろにある(behind the line of the body)ならば、「不自然に体を大きくした」とは言えない(「2」の観点からはハンドとならない)と判断されやすい、ということになりそうです。

以上で述べたのは、「2」に関する基準です。これ以外に、「1」があり得ます。すなわち、腕が真下を向いていても、それが意図的にそうなっていたのであるなら、ハンドの反則となります。

冒頭の写真は、とても整ったうどんです。


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