彼女たちのコズミック・イラ Phase23:お姫様

ヒルダとルナマリアによる、ヒルダの過去話です。もちろんオリジナル設定です。

そしてシャワーシーンでもありますので、2人とも終始全裸です。最後に恒例のセクハラシーンがありますが、健全な作品なのでフェードアウトします。

次回は今話後半で出てきたラッキースケベとヒルダさんの回。禁断ともいえるカップリングのお披露目となります。


アグネスにシャワーを浴びさせ快適な営倉へと放り込んだ後。ヒルダとルナマリアは揃って共同スペースでシャワーを浴びていた。

「んんぅぅぅ……はぁぁぁぁ……やっぱり、平穏な一日の締めに浴びるシャワーは気持ちいいねぇ……」
「そうですね。戦闘の後だと、疲れて汗を流すのも怠いことがありますし。」

溌剌とした様子で汗を流すヒルダに対し、平穏が続く中でも気怠さを醸し出すルナマリア。そうした彼女の様子にヒルダはいち早く気付き、衝立越しに再び声を上げる。

「なんだい、あまり元気がなさそうだね。坊主とは上手くいっているんだろ?」
「……そうでもないですよ。それは確かに……あんなに離ればなれになったのは久しぶりで、生きてたと分かった時は本当に嬉しくて、もうずっと離れたくないって思いましたけど……」

ファウンデーションとの戦いが終わり、互いの思いを確かめ合って関係が進展したかのように見えたシンとルナマリア。しかし、いざ平穏を取り戻すと、2人は再び以前のような拙い関係へと後退し、結局は相変わらずという状態に落ち着いてしまっていた。

「でも、いいんじゃないかね。お互いに大切だってことを確かめ合うことが出来たんだから。ホント、生きてて会うことが出来たんだからさ。」
「ヒルダさん……」

ヒルダの言葉を聞き、ルナマリアは自らの悩みが贅沢なものだと感じてしまう。ヒルダは先の戦いで、長年連れ添ってきた戦友を2人失っていた。年上の異性という存在であったものの、その信頼関係は揺るぎないものであり、彼女は彼らに全幅の信頼を置いて共に戦い抜いていたのであった。

「あの、マーズさんとヘルベルトさんとはいつ頃知り合ったんですか?」
「あいつらとは……私がザフト軍に入ってすぐからの付き合いだったよ。アカデミーを卒業した後の配属先にマーズもヘルベルトもいて、私はあいつらからお姫様みたいな扱いを受けていたよ。」
「お、お姫様?」

ヒルダがザフト軍へと入隊した頃は、現在よりも女性兵士の参加はさほど多くはなく、また彼女のように10代半ばで軍に身を置くような人物も少数であった。そうした経緯もあり、ヒルダは不本意なまま先達の軍人たちからは紅一点、姫という扱いを受けることとなっていた。

「それで……ヒルダさんはどうしたんですか?」
「決まってるだろ。力でねじ伏せて、分からせてやったんだよ。」
「う、うわぁ……」

それによってマーズ、ヘルベルトを含めた当時ヒルダが所属した部隊は、彼女を女だと軽んじることもなくなり、部隊を率いる女傑として立てるようになるのであった。

「まぁ、私も軍でしか生きることが出来ないような人間だったからね。ついてきてくれるあいつらを無碍に突き放したりもしなかったんだよ。」

そうして女の身で男を従えさせるヒルダであったが、そんな彼女も本物の“姫”と呼ばれる存在と出会うことにより人生が変わる。

「ラクス様と出会ったのは、そんなことがあってしばらくしてのことだった。初めて見た時から、可愛い人だなとは思っていた。でも、そんな自分の気持ちが、普通じゃないような気がしてきて……」

ラクス・クラインという一人の少女と出会ったことで、ヒルダは自らの人とは異なる感情に気付いてしまった。ザフトは比較的性差には寛容であったものの、彼女自身はそうした感情を抱くことに抵抗を感じたのであった。

「そんなことがあって、ラクスさんに協力することにしたんですか。」
「特に私を慕ってくれた、あの2人を引き連れてね。最近までクライン派と呼ばれていた組織の中でも、ラクス様へ私が抱く思いを知っているのはあいつらも含めてごく僅かだよ。」

ルナマリアはヒルダの言う『ごく僅か』の中に含まれていた。些か複雑な心境ではあったものの、ヒルダのラクスへの思い、そして散っていた戦友との関係に心地よさを感じるルナマリアであった。

「でもやっぱり……モビルスーツパイロット同士が恋愛なんてするものじゃないんでしょうか。」
「そんなのはあんたたちの勝手だろう。別に誰が誰を好きなろうが個人の自由なわけだし、わたしだってラクス様を好きになるのは自由だと思っているよ。」
「それは……!でも、想いが伝えることが出来ないって……辛くないですか?」

思いを通じ合わせてもすれ違うルナマリアとシンに対して、ヒルダは自らの思いをラクスへと伝えることなく、彼女をコンパス総裁として支えていた。その姿を間近で見ていたルナマリアは、ヒルダが自らの心を抑え付けるような姿勢に見えて不安に感じていた。

「まぁ……全く辛くないといえばウソになるね。でも、今のラクス様を……キラと一緒にいられるラクス様が幸せだったら、私はそれでいいと思っているよ。」
「うぅぅっ……と、尊い……!」

ラクスの幸せを第一に考えるヒルダ。それが同性としてラクス・クラインという女性を愛してしまった、彼女のなりの心持ちなのであった。

「それになんといっても、私の周りにはラクス様ほどじゃないにしても、こんなにイイ女がいたりするんだからね。」
「えっ……あぁっ!ちょっ……ヒルダさん、また……!」

そう言いながらヒルダは衝立で遮られたシャワールームの個室を出て、ルナマリアの個室へと入ると、彼女の身体を後ろから抱き締めるのであった。

「もう……あまり過剰なスキンシップは、女同士でもセクハラだって言ったじゃないですか!?」
「あら、あんただったら私の思いを知って、少しは慰めてくれるのを手伝ってくれると思っていたのに……」
「な、慰めるなんて……!わ、わたしはそういうつもりでヒルダさんに聞いたわけじゃ……ひゃぁっ!?」

そうヒルダに声を上げようするルナマリアの双丘を、ヒルダは自らの乳房を彼女の背中に当てながら鷲掴みにする。年齢はルナマリアのほうが5歳ほど下であったものの、乳房の大きさに関しては同等かルナマリアのほうが豊満であるといえた。

「うーん……やっぱりこの揉み心地、わたしよりもあるね。これで坊主のこともしっかり誘えば、悩む必要なんてないだろうに。」
「んんぅっ!それが出来ていれば、あのバカのことで苦労なんてしませんから……あぁぁんっ!あいつってばホントに……私のことなんて……んんっ、あぁぁぁんっ!!!」

同性から乳房を揉みしだかれても、その気持ちよさは男からと同じどころかそれ以上のものになろうとする。そうしてヒルダの気が済むまで、ルナマリアは彼女から過剰なスキンシップを受け続けるのであった。

「はぁ……確かに言いすぎたかもしれないけど、あんなに怒ることだってないだろ。ヒルダ隊長とルナだって……」

アグネスを泣かしたことを咎められ、不満を口にしながら一人艦内を歩くシン。自身の至らなかった点を考えつつも、彼は彼女たちの怒る原因を理解出来ずにいた。

「ルナは……もう部屋に戻ったのかな。俺もさっさと戻って休むとするか……」

出撃をしていないにも関わらず、余計な疲れが蓄積した感覚となっていたシン。そうして女性専用の共有スペース入り口を通りかかった時、その中から聞き慣れた声が響いてくる。

『いやぁぁぁぁっ!!!ちょっ……本当にやめっ……きゃぁぁぁぁぁっ!』
「っ……!?ルナっ!!!!?」

自らの恋人であるルナマリアの悲鳴。シンは彼女の身に尋常ではないことが起きたのだと察知する。

「まさかアグネスのやつ……ルナに何かしようとしているんじゃ……!」

高慢さを捨てきっていなかったであろう、アグネス・ギーベンラートによる報復。シンが入ることが出来ない女性のみの空間は、そうした行為へと及ぶには絶好の場所でもあった。

「ルナぁっ!一体どうしたんだ!?」

勢いよく女性専用の共有スペースに突入するシン。そして、そのさらに奥にあるシャワールームへと足を踏み入れ、シンはルナマリアの悲鳴がした地点へと到達する。

「大丈夫かルナっ!?」
「えっ……!?シンっ!?」

次の瞬間、身構えていたシンはシャワーを浴びていたルナマリアと顔を合わせる。そして、一糸纏わぬ姿のルナマリアと、その傍らで同じく裸であったヒルダの姿が、彼の視界にはしっかりと映るのであった。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

そうして悲鳴を上げ、その場に蹲って裸体を隠したのはルナマリア、ではなくヒルダであった。一方のルナマリアはシンに裸を晒したまま、唖然とした表情で彼に向って声を上げる。

「あ、あんた……なんでこんなところに入ってきてんのよ……!?」
「そ、それは……近くを通ったらルナの悲鳴が聞こえて。もしかしたらアグネスに何かされているんじゃないかって……」
「アグネスならもう部屋に戻ったわよ!どうしてヒルダさんが一緒だって考えなかったよ!?」
「だって……ヒルダさんはその……なんというか、あまり女だって思えなかったし、いるとも思わなかったから……」
「くぅぅぅぅ……!?」

蹲って懸命に裸体を隠そうとするヒルダが、失礼極まりない言動を繰り返すシンの顔を睨みつける。しかし、その表情にいつもの凄味はなく、女としての恥じらいに支配された弱さが滲み出ていた。

「はぁ……でもよかった。ルナが無事で。すみませんでしたヒルダさん、俺の勘違いだったみたいで……」

この期に及んでシンは、ヒルダのことを女として意識、認識をしていないようであった。そうした態度に怒りを露わにするのはヒルダ本人ではなく、裸体を晒し続けている恋人のルナマリアなのであった。

「このっ……シンっ、あんたってやつはぁぁっ……!!!」

一切を隠そうとしないまま、拳に力を込めてシンへと近付くルナマリア。その様子に流石のシンも狼狽え始め、彼女に対して声を上げる。

「うわぁぁぁぁっ!!!ルナっ、見えてるっ、全部見えてるからぁっ!」
「このぉっ……バッカ野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」

ルナマリアの放った渾身の右ストレートが、シンの顔面へと叩き込まれる。その直撃を受けた彼の身体は宙に浮き、鼻から鮮血を流しながらシャワールームの壁へ叩き付けられる。

「る、ルナ……どう……して……」

強烈な一撃を食らって倒れ込み、意識が朦朧とし始めるシン。そんな彼が瞼を閉じる前に見たのは、怒気を放ち立ちはだかる全裸のルナマリアと、以前として蹲ったまま女らしい顔をしたヒルダの困惑した表情なのであった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?