水遣り
夏は庭木に水遣りをする。
日が高くなってからだと煮えてしまうと夫は言うがほんとかしらと思う。
葉っぱに付いた水滴がレンズになって太陽の光を集めるから萎えてしまうという話は聞いたことがある。
濡らした程度ではすぐに乾くから一箇所三十くらい数える。
ある夏などは水道代が電気代を上回った。
松の枝にシャワー水栓にしたホースを引っ掛けて半日忘れていたからだ。
松は乾燥させるとハダニが出るので水をたっぷりやらねばならないと教わった。
この松も、もう四十年近くうちの庭で生きている。
年二回剪定にきてくださる庭師は夫の同級生だ。
ぼうっとしたりあれこれ取り止めのないことを考えながら水を遣る。
ホースリールの調子が悪く水漏れして服を濡らしてしまう。
なあに、終わる頃には乾いているさ…
太陽の動きに合わせて木の陰に移動する。
ひんやりした風がすうっとうなじを通り抜ける。
来週はもうお盆だとおもう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?