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黒田杏子俳句鑑賞2 句集「八月」より



  ふるさとはいまもふるさと曼珠沙華         黒田杏子

                       (P160)

2023.9.23  一言主神社周辺にて

先生は東京にお生まれになりました。栃木県に疎開もされました。この句に詠まれたふるさとは、いったいどちらなんでしょう?

たぶん東京でもあり栃木でもありするのでしょう。いや、きっとそれだけにとどまらず、先生が縁あって足跡を残され、ふるさとと思う土地の全てをイメージしてもよいかもしれません。
またご両親の慈愛を、ふるさととして思い浮かべることもできます。

が、それだけではなく、俳句を志した若き日の熱い思いのことでもあると。土の中から出ずる曼珠沙華の花のような炎です。その炎は現実の目には見えなくても、確かに消えることなくいまも静かに燃え続けている。その光景をもう一人の先生が、中空から見つめておられる世界です。

秋の季語である曼珠沙華は地下茎で広く繋がっていますが、茎一本で花咲かせます。そのような曼珠沙華の姿に、俳句先達(芭蕉さんなど)を慕い歩みを続けられる先生の決意、あるいは志の高さを感じます。あらためて曼珠沙華を観に行こうと思いました。

2023.10.23


はじめに)
2023年10月、黒田先生の最終句集「八月」から一句選んで鑑賞しようとする試みを始めました。おそれおおいことですが、先生は許して下さるでしょう。たぶん。

最初に一句選のルールといいますか、考え方を整理しておきたいと思います。今後変更しまくるかもですが、まずは、心構えですね。

[心構え五則]
一 一句はその日、(不遜にも)先生から呼びかけられていると感じた作品を選ぶ(ランダムです。したがって、作品の季語と本投稿時の季節が一致しないことがある)。
二 鑑賞する、ということはできの悪い弟子(自分)にはできませんから、先生の句を鏡として自らを映すような文章になると思います。たぶん。
三 投稿頻度は週一ぐらい。文字数は400字以内。(とりあえずスタートします)
四 過去撮影を含む自分で撮った写真を一枚貼り付ける。このnoteが見つけてもらいやすいように、あるいは見栄えするように。(マッチングにおいて先生に叱られるかもですが)
五 真面目にやる、急がば回れ、志を高く(先生の教え三訓)
以上

2023.10.16