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人魚の話〜学文路苅萱堂(かむろかるかやどう)

トム・ハンクス若き日の映画『スプラッシュ』は、ニューヨークを舞台に青年と人魚の恋を描いたファンタジーなラブストーリーで、若き日の私もキュンとなったのだったかも知れない。(ちなみに「スプラッシュ」は「はねる」という意味。)

人魚は英語で「マーメイド」。このカタカナ言葉の響きや映画の記憶からなのか、人魚に持つイメージは、なんか甘ーいチョコレートかスイーツを抱えた海の乙女、または美しい女性の権現様のように思えて、まだ見ぬ遠い存在なのに好感というか、スキという感情を持っている。

そんな人魚のお寺に、偶然にも遭遇しましたのでご紹介します。

場所は、和歌山県橋本市の延命山西光寺。高野山の麓にある真言宗のお寺です。

一般には「学文路(かむろ)苅萱(かるかや)堂」といった方が有名かも知れません。

このお寺が有名であるのは、人魚のせいではなく、高野山の女人禁制から生まれた非話「石童丸物語」ってのがあるんですね。高野聖、浄瑠璃、琵琶歌などによって全国に広められた歴史あるみたいです。よく知りませんけど。

よくは知らんかったけれど、このような伝承に俄然興味が湧く質なので、一度訪ねてみたく、西光寺・苅萱堂まで登ってきたのでした。

お堂の前に、目当ての石童丸の解説板がありました。しっかり読みましたよ。

その解説板には書かれてませんでしたのに、ふと気づくと、というか、目の前のお堂に「人魚のお堂」という大きな札が否が応でも見えたのでした。

なんや、これ?

実は、このお寺には「人魚のミイラ」が秘宝としてあるらしいのです。

なんでも千数百年前に滋賀県の蒲生川で捕らえられたと伝えられ、不老長寿や無病息災の信仰対象になっているということです。石童丸物語とは関係なさそうです。

では、なぜ高野山の麓のお寺に人魚のミイラが伝わっているのでしょう?

(お堂には入りませんでした。ちょっと…なので。)

偶然とはいえ、これまでほのぼのとスキだった人魚に接近したので、この際全国ほかにもあるのかなと、人魚ゆかりのお寺をネット検索してみました。

結果、滋賀県の観音正寺(西国32番札所)がヒットしました。「日本で唯一、聖徳太子が人魚のために開基したお寺」ということです。でも、観音正寺には人魚のミイラはないようです。

ほか、博多の龍宮寺もヒットしました。ここには人魚のミイラのお骨があるようです。

また、岡山県浅口市のお寺にも人魚の骨があって、これについては、某大学がCT検査で調べたところ造形物と判明したらしいです。←しらべんでもええのにね。

結論として、人魚のミイラはあまりないですね。やっぱり、学文路苅萱堂・西光寺は凄い。

こうして西光寺の参拝を終えたわけですが、あれからお堂に掲げられていた人魚の絵馬?が目に焼き付いて、またキュンとなってきたような気がしているのであります。



2023.5.3