調教診断

チューリップ賞1週前追い切り診断

3/8日(土) チューリップ賞(GIII)  阪神 芝1600m

本日公開した弥生賞1週前追い切り診断に続き、こちらは2歳女王レシステンシアが出走するチューリップ賞出走メンバーを題材に、気になる状態面についてジャッジしていきたい。

既に各馬の調教診断を終えた段階ではあるが、阪神JFでレシステンシアが後続につけた5馬身という着差は、今回相当詰まると見ている。

その根拠は、阪神JF2着馬マルターズディオサと同レース3着のクラヴァシュドールがそれだけ充実した1週前追い切りを消化していたことにある。

また、今回レシステンシアが行った栗東・坂路の追い切り内容を見て、彼女の「弱点」を明確にキャッチアップできた点は、桜花賞後にNHKマイルC、オークスどちらに進むのか定かでないものの、意義のあるレポートを読者の皆様にお届けできたのではないかと勝手ながら手応えを感じている。

本記事で執筆した対象馬を事前に明示すると、

・ウーマンズハート(牝3)
・クラヴァシュドール(牝3)
・ショウリュウハル(牝3)
・マルターズディオサ(牝3)
・レシステンシア(牝3)

以上5頭を対象としており、文末にはこの5頭の状態面を踏まえた評価を◎→〇→▲→注→△の順で記載している。

当週の追い切り内容をこの後控える段階ではあるが、現時点で手応えを実感した◎本命馬に是非ともご注目いただければ本望である。

ウーマンズハート(牝3)
2/26(水)栗東/CW やや重
85.1→67.5→52.6→38.3→11.6
馬場の7分どころを通っての3頭併せの真ん中
・鞍上の藤岡康騎手の手の位置がやや宙に浮いているように、口を割るほどではないものの、やや掛かり加減で疾走していることは確か。
・右手前から左手前の切り替えは至ってスムーズも、そこから段階的にギアを上げているように、右手前で生じた推進力が若干鈍っているあたりは課題。
・手綱を譲ってからは、待ってましたと言わんばかりに脚勢を強めていたが、実戦で道中溜めを作れるかという視点でみると、今回の折り合い加減をみるにいささか怪しいと言わざるを得ない。

クラヴァシュドール(牝3)
2/27(木)栗東/CW 重
82.8→66.4→51.1→36.9→11.8
木曜追いで馬場が重い分の時計の補正は必要(水曜追いの馬に比べて)
馬場の9分どころを2頭の併せ馬で外側から進出(他厩舎の馬がさらに外に1頭いる兼ね合いで3頭併せに映るのはご愛敬)
・コーナーワーク含め一糸乱れずフォームで、手前替えも至ってスムーズ。
・L1で助手が重心を落とし、これがいわゆるゴーサイン。手綱も馬のクビの上下運動にあわせて軽く促している程度で、馬なりと強めのちょうど間をとったかのような内容。
・トモがパンとしてこれば、もう一段重心が沈んだフォームで走れるはずだが、頭の位置がやや高い位置に固定されている点は今後の課題(成長待ち)。
・それでも重馬場のWコースを9分どころで周回しての4F51.1は牝馬であることを考えると相当に負荷をかけた内容で、当週はサラっと調整してくること間違いない。つまりは陣営の狙い通りの内容できているということ。

ショウリュウハル(牝3)
2/27(木)栗東/CW 重
86.2→69.6→53.7→39.3→12.1
・こちらも木曜追い馬場の9分どころを単走で伸び伸び走らせているが重心の位置が高く、体幹の弱さを瞬時に判別できるほど幼さの残るフォーム。
・鞍上の重心も終始高い位置にキープされており、手綱も絞りつつの中でそれなりの時計にまとめている点は評価できる。
・ただし、チューリップ賞の1週前追い切りとしての負荷レベルを考慮すると、単走でこの内容はどう考えても負荷が足りない
・察するに飼い葉食いがそれほど良くないなど、現状の体質からすると、強い負荷をかけられないのではないか。

マルターズディオサ(牝3)
2/26(水)美浦/南W 重
62.6→51.1→37.7→12.6
・弥生賞に出走予定のワーケア含む豪華3頭併せのど真ん中、馬場の9分どころから進出。
・鞍上が長手綱でコンタクトをとっている様からも、操縦性の高さが伺える。併せた状態でもハミを噛む仕草すらなく、無駄な動きをしないクレバーな馬であることが分かる。
・手前替えも至ってスムーズ。スピードに乗ったまま瞬時に手前を切り替えており、ギアを下げることなく騎乗者の重心と僅かな手綱の操作でゴーサインにすぐさま反応できている。
・併せたワーケアを待つ余裕すら感じさせる内容で、阪神JF2着は決してフロックではないと確信できるレベルの充実度を披露してみせた。

レシステンシア(牝3)
2/26(水)栗東/坂路 やや重
53.2→38.0→24.3→11.8
・登板時からL2地点まで左手前で走っているが、その際の後肢の動きに注目いただきたい。本来真後ろに蹴り上げるべきところを、やや左方向に力が流れている分、前方からみてフォームが歪んで見える。
・そこからL1地点まで騎乗者のサインによって右手前に切り替えたものの、みるからに窮屈そうなフォームで案の定ゴール手前で馬自らの意思で左手前に戻している。
・詰まるところ、利き脚は左手前で今回は右回りコースのため問題ないとしても、左回りコースではパフォーマンスを落とす可能性を孕んでいる点は覚えておいて損はないはずだ。
・全体時計の推移からも分かるとおり加速ラップでまとめあげ、かつ助手も比較的長手綱できちんと折り合えて疾走させていることから、ハミ受けなどには何ら問題は感じさせず、至って順調に調整メニューを消化してきた感が伺える。
・とはいえ、単走で極端に負荷をかけた内容ではない。今週もう1本あるとことを踏まえても、桜花賞を見据えた余裕残しの仕上げであることは覚悟しておく必要がある。

チューリップ賞の評価順は以上。

大方、個々の記述内容を通じて、優劣の度合いは想像いただけているかもしれないが、改めて印順で記載すると、

◎マルターズディオサ
〇レシステンシア
▲クラヴァシュドール
注ウーマンズハート
△ショウリュウハル

この並びが、3/2(月)現在の評価となる。

弥生賞1週前追い切り診断で触れたとおり、ワーケアの潜在能力を高く評価しているからこそ、そのワーケア相手に終始優勢の脚勢で併入に持ち込んだ彼女の競走馬としての資質に感銘を受けた。

今週は馬なり調整で感触を確かめる程度だろうが、繊細なことで知られる牝馬なだけに、過度にテンションが上がっていないか等、当週公開予定の「追い切り診断」でも余念のない情報をお届けする所存だ。

最後に、コロナウイルス然り、気温の上げ下げ然り、何かと体調の変化に敏感にならざるを得ないこの時期。
皆様、体調崩されないよう、バランスのとれた食生活を心掛けてお過ごしください。

最後までお付き合いいただきこの場をお借りして感謝申し上げます

いつもありがとうございます。感謝。