「うたの日」より自選三十首

うたの日」に2,018年8月31日までに投稿した、計563首から30首選びました。初投稿は2017年2月14日、約1年半、ほぼ毎日投稿を続けてきていたようです。(お正月だけはさぼったので、毎日ではない)

暦では誰も知らない記念日に祖父は今年も花束送り
引越しを手伝う父は最後まで何も言わずに鼻だけすする
喧嘩しても大好きだから仕方ないフランスパンで殴りに行こう
振り返る過去にはいつも君が居る止まない雨は紫陽花のせい
初恋も時間が経てば忘れると思っていたのに君がまだ居る
ワレワレハウチュウジンダと大人でも言いたくなる程暑くなる風
僕は今日絶滅しますさようなら化石になってまた会いましょう
今はもう君が聞けないFMに送り続けた思い出の曲
月の無い夜はどうにもツキが無くチェーン外れた自転車を押す
小麦粉を買ったはいいが使わずに君と別れてもう四年経つ
元カノが「やっぱ君とは合わないね」そう言う君の笑顔が好きだ
あの人は射手座だったなぼんやりと今日の運勢一位を見てる
浴槽の栓を抜いたらあの人の出汁が流れて勿体無いな
昼時のお客のいないラーメン屋狂ったリズムの招き猫の手
掃除機に吸われた指の感覚が忘れられずに掃除機を買う
風呂上がり首にタオルを巻いたならスーパーマンの出勤時間
休み明け黒髪だったあの子すら金髪にする真夏の日差し
星たちが流れる夜を駆け抜ける私を乗せた寝台列車
旅立ちを決意した朝薄暗い街を包んだ霧を吸い込む
一秒後の未来すらもわからない ただ、君とまた会う事はない
あっさりと別れ話に返事する微かに残る紅茶の香り
記憶からすっかり君が消えた頃 踏切の向こうに君が居た
シャワーすら僕を裏切る冷たさはまるで最後の君の眼差し
田中って隣りの組の中田にさ告ったらしい平穏な昼
口付けで今日もあなたは生きてると36.5℃に溶ける
ストローの先っぽを噛む僕が居た証拠を残し店を去ってく
引き出しにしまったはずの爪切りは切りたい時に無くなっている
昔から鈍感なのは変わらない今日もリュックの口が開いてる
ブリーフを必死に隠し着替えするプール終わりに塩素が香る
優しさも与え過ぎれば毒となる花壇で枯れるひまわりの束

30首絞るのも意外と大変だったというのが、素直な感想。
そして、やっぱり未練っぽい、女々しい感じの作風が多い。僕自身もそして作中主体も、そういう感じで生きてるんでしょうね。
過去を振り返りのは面白いですね。

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