エエやん！アニメ『ODD TAXI』⚠︎ネタバレ含

2021年の作品ですが、久々に「感想を残したい」と思える良作でしたので、冷めないうちに簡単に書き残そうと思います。
勢い優先で書きますので見苦しい点も散見されるかと思いますがご容赦ください。

『ODD TAXI』のココがよかった！

• ①動物がモチーフなのがイイ
  個タクのドライバー小戸川と、その周りの人間模様を描いていく本作。これら全てを擬人化させた動物で描いているのがイイ。
  作品のヴィジュアル的にも目をひくし、シリアスな展開にもどこかコミカルな雰囲気が出て、疲れない。
  しかもこの擬人化は、後述する巧みなミスリードによって描かれているので、単に『しまじろう』的な作品ではないな、、と思って観ていた勘のいい視聴者なら物語後半で「答え合わせ」ができるはず。

• ②様々な乗客とオムニバス形式的な見せ方がイイ
  1つ1つを見れば、個タクのドライバーと乗客のヘンテコな会話なんだけど、徐々にその点と点が繋がっていき、歴としたサスペンスミステリーになっていく。モチーフの動物も個性的なので、次はどんな動物（乗客）が乗ってくるのだろうとワクワクさせられる。
  

• ③主人公小戸川のキャラ設定がイイ
  転生してきたオタク青年でも、元魔王でも、なぜかモテモテ両親海外出張系少年でもない、独身中年一人暮らし個タク運転手（しかもセイウチ）ってのが絶妙でイイ。
  
  どことなく生への執着が薄く、暗い陰を感じさせる生き方をしている部分と、気だるげな喋り方がこのキャラクターのイメージにピッタリ。花江イイ仕事してるじゃん。
  
  脱線しますが声優でいくと、脇を固めるキャラクター達に芸人など本職外のアクターを起用しているのも本作の特徴で、印象深い。
  

• ④作品全体のイメージ作り、ユルさとこだわりの絶妙な力加減がイイ
  「夜の大都会を走る70年代旧車個タク運転手のサスペンスミステリー」これだけで刺さる人には刺さると思うんですよ。これを動物たちで演るっていうセンスの良さ。
  
  加えてSNSでの「バズり」やネトゲへの課金などの執着が生み出す現代の病理も物語を動かすキーとして漏れなく絡んでくる。
  キャラクターやモチーフを立たせすぎてストーリーが薄味になることなく、このキャラ、このモチーフ、この世界観でなければ成立しない物語にしっかりとなっているんです。
  
  サックスがシブみを効かす、スカートとPUNPEEの主題歌もイイ。夜の都心をダルそうに流すタクシーの映像がダブるだなコレが。本作の世界観の形成に欠かせない曲に仕上がってます。DLしました。笑

• ⑤みんなが動物だった理由と大団円がイイ
  小戸川の主治医剛力の「俺が何に見える？」という問いと小戸川の「ゴリラ」の回答、剛力の「合ってる」という呆れ気味のやりとり。序盤ではこれが見たままのやりとりのように聞こえるようにできています。ところがこれはあくまで視聴者が小戸川の眼を通して世界を見ているからであり、最終盤でこの秘密が明かされた時も、このやりとりに矛盾が生じないようにできているのです。（剛力先生がまるでゴリラのようにガタイのいい人間であったことによって）この時、見たままを話した小戸川の発言は冗談として回収されます。
  そしてそう見えていた理由も、小戸川の過去と共に明かされ、この作品が動物たちによって描かれなければならなかったことが物語の内部から理由付けられるのです。
  （人間が猫なのに、黒猫も黒猫な理由ですね。）
  
  この組み立て方が作品もストーリーもどちらも際立たせていて、私の一番好きなポイントです。
  
  後日談は劇場版を通してしか観ることができませんが、どこかで諦めながらも最後まで自分のやり方を曲げなかった小戸川にちゃんと光が差したようで、ホッとしました。
  この読後感は、ヘタな考察なしに気持ちよく味わいたいと思います。
  
  いやー、面白かった！
  『ODD TAXI』おすすめです。
  
  多田