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民生委員制度

民生委員とは

民生委員とは、民生委員法に基づき厚生労働大臣から委嘱され、社会奉仕の精神をもって 地域で暮らす障害者、高齢者、生活保護を受けている人、子育て世代、妊産婦、母子家庭、父子家庭などの生活課題を抱えた世帯に対し、住民の立場に立って相談に応じ援助を行う人です。

民生委員は児童委員も兼任しており、民生委員法に基づいた無給の非常勤の地方公務員です。任期は3年で、再任が可能です。

民生委員制度の歴史は、岡山県で誕生した「済世顧問制度」を源流とします。翌年には大阪府で「方面委員制度」が発足し、その後全国に普及しました。

民生委員の職務内容としては、①社会調査、②相談、③情報提供、④連絡通報、⑤調整、⑥生活支援、⑦行政への意見具申の7つがあります。現在、民生委員の高齢化などの理由から担い手不足が加速しており、地域福祉における喫緊の課題となっています。

済世顧問制度から方面委員制度へ

民生委員制度は1917年(大正6年)に岡山県知事笠井信一が創設した済世顧問制度、1918年(大正7年)に大阪府知事林市蔵小河滋次郎の協力で創設した方面委員制度を起源としています。済世顧問制度も方面委員制度も、ドイツの救貧委員制度であるエルバーフェルト制度が見本となっています。

方面委員から民生委員へ

1929年(昭和4年)に制定された救護法では方面委員と呼ばれ、1936年(昭和11年)の方面委員令で全国に普及し、1946年(昭和21年)の民生委員令の施行で民生委員に改称しました。旧生活保護法では補助機関として生活保護支給に関わっていましたが、1950年(昭和25年)の現生活保護法では、民生委員は福祉事務所や他の関係行政機関に協力する協力機関となり、現在に至っています。

民生委員の定義

民生委員は、民生委員法に「社会奉仕の精神をもって、常に住民の立場に立って相談に応じ、及び必要な援助を行うこと(法第1条)」と規定されており、特別区を含む市町村の区域に設置されています(法第3条)。

民生委員の位置づけ

民生委員法は1948年(昭和23年)に制定されました。その後、2000年(平成12年)の社会福祉事業法から社会福祉法への改正時に地域福祉の推進を図ることが明文化されたことを受け、民生委員法でも民生委員が名誉職から地域福祉推進の担い手と改変され、無給のボランティアであることが明記されました。

民生委員の任命

任命は、市町村が推薦する候補者から都道府県知事が推薦し、厚生労働大臣が委嘱します(法第5条)。都道府県知事の推薦によって選ばれるため、職務に関しては都道府県知事の指揮監督を受けます(法第14条)。

民生委員の任期

任期は3年で、全国一斉に改選されます。任期途中で入れ替わる場合は、前任者の残りの任期まで在任します(法第10条)。

民生委員の定数

民生委員の定数は、厚生労働大臣の定める基準を参酌して、道府県知事が市町村長の意見を聞いて定める(法第4条)ため、全国一律ではありません。

民生委員は児童委員を兼務

民生委員に選ばれた人は自動的に児童委員を兼務することになります。児童委員の根拠法は児童福祉法です。児童委員の職務内容は、地域の子どもたちを見守り、子育ての不安や妊娠中の心配ごとなどの相談や支援です。

民生委員の職務内容

民生委員の職務内容は、住民の生活状態の把握相談助言福祉サービス情報提供社会福祉事業者との連携福祉事務所など関係行政機関への協力です(法第14条)。民生委員の分野別の相談割合は、「高齢者に関すること」が半数以上の割合で、2割が「子どもに関すること」、1割弱が「障害者に関すること」であるが、これには兼務する児童委員としての職務も含まれます。


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