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一次過程、二次過程について

経営者とエンジニアの属性をもつ私が、精神分析を独学で学ぶ中で難解だった言葉や概念を書いていきます。


精神分析を読む時に大切な概念が、快楽原則と現実原則という人間の行動原則の捉え方である。生まれて間もなくは快楽原則に包まれている。不快なことがあれば泣き、身体をバタバタさせ表現する。それによって「母」はミルクをあげたり、オムツを替えたりして、その不安を解消してあげる。その際の「母」は赤ちゃんにとって、他者ではなく環境であり、自分と同一化している。ここが一次過程。
発達が進むと、子供は他者を知り、現実世界を知る。現実(社会)に沿った行動を求められ、それを行う。おしっこはトイレでしないといけないし、赤信号は止まらないといけない。我慢が発生する。我慢を乗り越えて社会生活を行っていく。ここが二次過程。

精神的な問題によって、日常生活が困難になった場合、その原因を考えるための視点として快楽原則での対応を一次過程、現実原則での対応を二次過程と呼び、それぞれに応じた治療を考える。当初フロイトが扱ったのは主に二次過程での障害であるが、その後クラインなどが幼児の治療を中心に一次過程での障害も扱っている。
おそらく現代において心に悩みを持つ人で「一次過程はまったく問題がなく、二次過程だけが問題である」はほとんどないかと思われるので、臨床ではどちらに対してもアプローチすることになる。

最初に「一次過程、二次過程」と見た時に「何の過程?」と疑問を持ったが、精神分析においては「快楽原則と現実原則における」という修飾語はあまりに自明なため省かれるようだ。頻出語なので、ここで引っかかると進めない。「快楽原則と現実原則」はまさに原則なのである。

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