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「君たちはどう生きるか」の楽しみ方

「君たちはどう生きるか」を上映日の翌日くらいに見てきた。事前に情報無しに映画を見るのはすごく久しぶりだ。妻も見たいと言ったので、せっかくだから家族の共通話題になればいいかなぁと思って、息子2人も誘って鑑賞した。家族全員で同じ映画を見るなんて初めてで、もしかしてこれが最後かもしれない。これも「事前情報無し」の力か。

以下ネタバレを含みます。

まずは、アニメーションに驚いた。特に最初の火事のシーンの表現は圧倒された。で落ち着くと、ユングが想起された。で、鳥系のメタファフィジカルな表現は村上春樹を想起した。ちょっと皮肉っぽくて、どこか可笑しい。
同じような感想を持った人はいないかぁと探したけど、ここの人くらいしかいなかった。ちょっと前にユングと村上春樹を読んでいたのが影響しただけかもしれない。

私が一番印象的だったシーンは「森に入っていく夏子を、主人公が家の中から、見て、その場ではそのままにしてしまう」ところだった。誰がどう見ても、森に入っていく時点で止めたほうがいいのだが、それができずなんとなくスルーしてしまう。あの感じが夢の中みたいで、大変良かった。正常な意識の中で、夢の中の感じを正しく認識する、って普通はできません。書くとややこしいな。

あと、最後の塔の積み木の部分で、息子(弟)が円柱の積み木を柱としてではなく、横にして使っているのに憤慨していた。彼は道具の正しい使い方にはうるさいのだ。
私も不安定な積み木の描写は認識していたが、その中の構成は気にならなかった。人によって気になる細部が違う。
細部で言うと、息子(兄)が最初のおばあさんが妖怪っぽい、とかアオサギがおじさんに変身するのがとても気持ち悪いと言っていた。

息子たちが指摘したポイントは物語上大切なところで、それぞれの個人に確かな印象を与えているアニメーションの力がすごいなと思った。

最初に、ユングのアーキタイプの話をしたけど、物語として登場人物の役割がしっかりしていて、それを物語として信じることができるアニメーション表現が細部まで出来ているというのがすごい。映像の教材になるのような作品でした。何回も見て謎解きするのが楽しそう。


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