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サンプリング

何度かお伝えしているので認識されている方もいらっしゃるかもしれないが、私はもう40半ばである。
若い頃最先端で聴いていた音楽ももう20年前のクラシックとなり、それらがサンプリングされるようになって久しい。
タコス好きは大体音楽好きなので説明は不要だと思うが、サンプリングとは元々ある楽曲の一部を切り取って再構築し、新たな楽曲を作り出すことである。ちなみに、ほぼそのまま使う事を「まんま使い」などと言う。
さて、音楽の世界ではヒップホップの台頭により昔からよく使われてきたサンプリングだが、飲食界ではもっと昔からサンプリングというか、まんま使い的な丸パクリが当たり前に行われていたと思う。
私が若かりしバイト時代には世の中の居酒屋でマグロアボカドなるメニューが大フィーバーした。大元はワイハのポキでは無いかと思う。それが、確かグローバルダイニングが大々的に打ち出し、程なくして街場のどこの居酒屋やダイニングでもオススメメニューとして黒板に書かれ続けたのだった。
居酒屋メニューは往々にしてこの傾向が強く、どこかがバズらせたメニューは3ヶ月も絶たないうちにパクリにパクられ、1年後には消えるか定番メニュー化され落ち着く。
この商習慣に対して、私は凄く違和感を覚えている。折角開発したメニューが、流行るや否やがっつりパクられる。しかも玉石混交なので、クセ強なアレンジでパクられたりする。いや、それならまだ熱意があって良いかも知れない。最悪なのは、流行ってるからと凄く浅くパクって、そのメニューに風評被害を及ぼされる事だろう。
これは逆にこちらも気をつけなくてはいけなくて、インスピレーションが湧いたときに、果たしてこの思い付きの源泉はどこだろうか?と自分の中で深く掘り下げる必要がある。大抵は、どこかで食べたり見聞きした何かが源泉なはずだ。
それが何かを理解しているか否かで、アウトプットされる製品には大きく差が出るはずだし、加えるべき自身の色も明確化出来るはずである。
ヒップホップのサンプリングは先人達へのリスペクトがあり、数秒間を切り取り再構築することでサンプリングソースとは別の楽曲を生み出し、新たなファンを獲得する。そのファンのうち一部がサンプリングソースに興味を持ち、また新たなファンを獲得したり、新たな音楽が生み出させる。そうやって全てを飲み込むことでヒップホップは短期間でチャートを独占するまでのリスナーを獲得してきた。
飲食も同様にリスペクトを持ってサンプリングすれば、オリジナルにも良い影響を与える事が出来るだろうし、新たな世界を切り開けるはずである。
タコファントムはトルティーヤというビートにどんなグルーヴィなウワモノを乗せる事が出来るだろうか。最高にイカしたグルーヴにライムを絞ればそれはもはやヒップホップだ。ヘイトすら愛で包み込んで、ペロリといって頂きたい。

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