H29 問15 火力発電の計算問題

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火力発電のよく出てくる計算問題。
まずは既知の値を確認。
・定格出力P:600[MW]
・発電端効率η:42[%]
・重油の発熱量:44,000[kJ/kg]
他にも色々書いてるけど、(a)で使いそうなのはこの辺までかな。

(a)
効率=出力/入力・・・①

効率は何時間運転しようと変わらず
 η=42[%](=0.42)
となるので、1日運転したときに消費する燃料使用量をx[t]として上記の関係式を作り、xの値を求めればよい。

出力=600[MW]が与えられているが、[W]は1秒あたりの仕事量[J/s]を表すので、1日運転したときの出力(発電電力量)は
出力=600[MW]
  =600×10⁶[J/s]×3,600[s/h]×24[h/日]
  =51,840×10⁹[J/日]

入力は重油を燃焼して得られる熱量
入力=44,000[kJ/kg] × x[t/日]
  =44×10⁹[J/t] × x[t/日]
  =44x× 10⁹[J/日]

よって、それぞれを①式に代入すると
0.42=(51,840×10⁹)/(44x×10⁹)
44x=51,840/0.42
    x=51,840/(0.42×44)
       ≒ 2,805[t](5)

(b)
重油の化学成分は質量比で
  炭素C:85% 水素H:15%
(a)より1日の重油使用量は2,085[t]なので
 1日の重油使用量に含まれるCの量=2,805×0.85=2,384.25[t]
 1日の重油使用量に含まれるHの量=2,850×0.15=420.75[t]

重油の燃焼反応は、
  C + O₂ → CO₂
 2H₂ + O₂ → 2H₂O
水素、炭素、酸素の原子量は
 水素の原子量:1
 炭素の原子量:12
 酸素の原子量:16
なので、
 Cが1mol(12g)に対してO₂は1mol(32g)
 H₂が2mol(4g)に対してO₂は1mol(32g)
必要となる。
 炭素の燃焼に必要な酸素量:2,384.25[t] × 32/12=6,358[t]
 水素の燃焼に必要な酸素量:420.75[t] × 32/4=3,368[t]
よって、1日に使用する燃料を完全燃焼するのに必要な酸素量は
 6,358+3,368=9,726[t]
これを体積に換算すると、
  9,726[t] 
 =9,726×10⁶[g]× 1/32[mol/g]×22.4[L/mol] 
 ≒ 6,808×10⁶[L]
求めるのは空気の体積V[L]であり、空気中に占める酸素の割合は21[%]なので
 V=6,808 × 10⁶[L] × 100/21
  ≒ 32,419 × 10⁶[L] 
  ≒ 32.4 × 10⁶[㎥](3)

(b)問題は(1)が酸素の体積の値になっているので、そこまで出して一安心して回答してしまうと、まんまと引っかかってしまう。(求めるのは空気の体積)
計算過程が長めだけど、最後まで集中して解く必要がある。

本来であれば炭素と水素のmol数を出して計算する必要があると思うけれど、面倒なのでmol比と質量比のところはまとめて計算した。
このとき、原子の数と分子の数をちゃんと区別して、原子量とmol数がごちゃごちゃにならないように、慎重に計算すること。

単位合わせと桁数を間違えないように!

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