H23 問16 三相変圧器の短絡電流と短絡故障

この問題、百分率インピーダンスが出てこないので、前回までの公式で解ける問題では無かった。
何をどうして良いか分からないので、ネット検索したら、「日本エネルギー管理センター」と言うところで分かりやすく解説した動画を見つけて、とりあえず解き方は理解できたので整理しておく。

(a)
三相短絡電流を求めるには、当該回路の電圧とインピーダンスが分かれば良い。
三相のままでは考えられないので、1相分の等価回路に換算して考える。

まずは電圧。
短絡が発生しているのは二次側なので、二次側の電圧は22[kV]たけど、1相分の等価回路で考えるので√3で割る。
ということで、二次側の電圧V₂は

 V₂ = 22/√3[kV]

次にインピーダンス。
出てきてるのは「変圧器のインピーダンス」と「二次側の線路のピンピーダンス」で、それ以外は無視してよいと書いてるので、それだけ考える。

「変圧器のインピーダンス」は、一次側から見た値が分かっているのが、今回は二次側で考えることにしているので換算する必要がある。

インピーダンス(抵抗とリアクタンス)を一次側から二次側に換算する場合は、「巻き数」の二乗で割ればよい。
「巻き数」とは変圧器の一次電圧と二次電圧の比のこと。巻き数をnとすると、

 n = 66/22 = 3

なので、短絡点から見た変圧器の抵抗R₂ᴛとリアクタンスX₂ᴛはそれぞれ、

 R₂ᴛ=0.018/3²=0.002[Ω]
 X₂ᴛ=8.73/3²=0.97[Ω]

「二次側の線路のインピーダンス」は1km(1000m)あたりの値と、短絡地点までの長さ(500m)が分かっているので、線路の抵抗をR₂s、リアクタンスをX₂sとすると、

 R₂s=0.2×500/1000=0.1[Ω]
 X₂s=0.48×500/1000=0.24[Ω]

よって、短絡点から見た全インピーダンスは、抵抗をらR、リアクタンスをXとすると、

 R=R₂ᴛ+R₂s
  =0.002+0.1=0.102[Ω]

 X=X₂ᴛ+X₂s
  =0.97+0.24=1.21[Ω]

インピーダンスの大きさをZとすると、

 Z=√(R²+X²)
  =√(0.102²+1.21²)

※これは理論でやった知識なので説明省略

ようやく電圧VとインピーダンスZが求まった。
これで短絡電流Iを求める。

 I = V/Z
     =(22/√3)/√(0.102²+1.21²)
  ≒ 10.46 [kA]
※電圧を[kV]のまま計算しているので、電流も[kA]となる。

よって、正解は一番近い(5)

(b)
短絡が発生すると、短絡点での電圧が0になる。
この時の変圧器の電圧を求めるには、変圧器から短絡点の間の線路インピーダンスによる電圧降下がわかればよい。

線路の電圧降下については改めてやるけれどそんなに難しくない。ようは電流にインピーダンスを掛け合わせればよい。

(a)で短絡電流Iは求めた。
線路インピーダンスもわかっているので、
電圧降下を Vᴀとすると、

 Vᴀ = I × Z
   =10.46 × √(0.1₂+0924²)
   ≒ 2.7196[kV]

ただしこれは1相分の電圧であり、求められているのは母線の線間電圧なので、√3倍する必要かある。

 √3Vᴀ=√3 × 2.7196
    ≒ 4.71 [kV]

よって、正解は(2)となる。

んー、正直これは難しい。
解き方が分かれば計算自体はそれほど難しくないけど、解き方はいきなりは思いつかない。

「日本エネルギー管理センター」の講師の人も、難しい問題と言ってたくらいなので、全く同じパターンの問題が出た時に思い出せればいいくらいかな。まぁ出来ない人が大半だと思うので捨ててもいい問題。

短絡電流はこのくらいにして、次は今回も少し出てきた電圧降下に進むことにする。

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