第三十一条から第三十三条 供給命令等

 第30条は削除されていて、第31条は電気の供給命令等について定めた規定である。

 供給命令を発動する目的は「その発生理由にかかわらず、電気の安定供給を確保すること」であることから、「電気の安定供給の確保に支障が生じ、又は支障が生ずるおそれがある場合」に供給命令を発動できることとされている。

 第32条は、第25条(特定送配電事業者に対する協議の求め)の準用について。

 供給命令等は、電気の供給等事実上の行為 を行うのに必要最小限の事項を明示して発動されるが、その対価等の細かい事項については当事者間の協議によって定めることとされているので、当事者は、命令の内容とされていない事項であって、命令の実施に当たって必要な細目的事項について協議する必要がある。

 その際、相手方が協議を忌避する場合や協議がなかなか成立しない場合に、その内容に精通した経済産業大臣に裁定を申請できる旨を規定した第25条(特定送配電事業者に対する協議の求め)の第2項から第5項までを、第32条にも準用することとしている。

 第33条は、第32条で裁定された金額について不服を申し立てる手続等について定めるもの。詳細は省略。

以下、法の原文

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 第五款 災害等への対応
(供給命令等) 
第三十一条 
 経済産業大臣は、電気の安定供給の確保に支障が生じ、又は生ずるおそれがある場合において公共の利益を確保するため特に必要があり、かつ、適切であると認めるときは電気事業者に対し、次に掲げる事項を命ずることができる。ただし、第一号に掲げる事項は送電事業者に対して、第二号に掲げる事項は小売電気事業者、発電事業者及び特定卸供給事業者に対して、第三号に掲げる事項は送電 事業者、発電事業者及び特定卸供給事業者に対しては、命ずることができない。 

一 小売電気事業者、一般送配電事業者、配電事業者又は特定送配電事業者に電気を供給すること。 

二 小売電気事業者、一般送配電事業者、配電事業者又は特定送配電事業者に振替供給を行うこと。 

三 電気事業者から電気の供給を受けること。 

四 電気事業者に電気工作物を貸し渡し、若しくは電気事業者から電気工作物を借り受け、又は電気事業者と電気工作物を共用すること。 

五 前各号に掲げるもののほか、広域的運営による電気の安定供給の確保を図るために必要な措置をとること。

2 経済産業大臣は、前項に規定する措置を講じてもなお電気の安定供給を確保することが困難であると認められる場合において公共の利益を確保するため特に必要があり、かつ、適切であると認めるときは、特定自家用電気工作物設置者に対し、小売電気事業者に電気を供給することその他の電気の安定供給を確保するために必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

3 経済産業大臣は、前項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた者が、正当な理由がなく、その勧告に従わなかつたときは、その旨を公表することができる。

4 経済産業大臣は、第一項又は第二項の措置を講じたときは、直ちに、その措置の内容を推進機関に通知するものとする。 

5 第一項の規定による命令又は第二項の規定による勧告があつた場合において、当事者が支払い、又は受領すべき金額その他命令又は勧告の実施に関し必要な細目は、当事者間の協議により定める。 

第三十二条 
 第二十五条第二項から第五項までの規定は、前条第五項の協議に準用する。 

第三十三条 
 前条において準用する第二十五条第二項の裁定のうち当事者が支払い、又は受領すべき金額について不服のある者は、その裁定の通知を受けた日から六月以内に、訴えをもつてその金額の増減を請求することができる。 

2 前項の訴えにおいては、他の当事者を被告とする。 

3 前条において準用する第二十五条第二項の裁定についての審査請求においては、当事者が支払い、又は受領すべき金額についての不服をその裁定についての不服の理由とすることができない。 
 

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