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【オンライン立ち飲み】のりしなさんと「アレとソレ」の話

4月23日(木)、proshiroutでは「TACHINOMI余市ととなりの席の○○さん」のインスタライブを行いました。第7回目は、湘南で美容室を経営するのりしなさんとの対談です。その模様をレポートします。

メモ

4月4日に始まったこの企画、週1回くらいのペースでやっていくのかな、と想像していたんだけれども、ついに週に2、3回、ということになってきた。そりゃTORUは、気持ち良く飲んで酔っ払っていればいいよな。一方、こっちは必死にメモを取らなきゃいけないのだ。こちらも飲みながらではあるが。
しかし、酩酊しながらとったメモは、翌日になって改めてみてみると、どうにも意味不明だ。今回で言うと、macのメモ帳に、下のような単語が書いてある。
グラボブ オールウェーブ
第二種電気工事士
青おにぎり
鈴虫寺の和尚
・・和尚?いつ和尚の話になったんだろう。そんな、ねずみとか水あめとかが出てきそうなむかし話をしていたんだっけ・・。
ひとまずレポートを続けます。

乾杯

余市の提灯の前で待つTORUのところに、今日のゲストが登場した。明るいブリーチの短髪の男性である。前髪は眉上で、おでこに自然に落ち、襟足は長め。濃い目のスタンドカラーのシャツを着ている。お洒落な黒縁眼鏡の奥で、いたずらっぽくて人懐っこい、好奇心を含んだ目が輝いている。
のりしなさんは現在、神奈川県の辻堂にて、奥さんと2人で、「髪と日常」というちょっと不思議な名前の美容室を営んでおり、今日はそこから参加をしてくれた。
ただ・・、これは美容室なのだろうか。のりしなさん側の背景には、美容室たるグッズが見当たらない。綺麗なドライフラワーと、日本酒の一升瓶が3本並び、その奥には提灯がある。提灯・・。筆者の身近に、恒常的に提灯を持つような一般人が、もう一人いるとは思わなかった。壁には、これは掛け軸なんだろうか、書が飾ってある。その文字は、「すべてはタイミング」。

TORUはコロナビール、一方のりしなさんは、富山の「羽根屋」という日本酒で乾杯だ。
「のりしなといいます、これは本名です。出身は島根県で、いまは入り口にのれんのかかった美容室をやってます」提灯のみならず、どうやらのれんもあるらしい。今回は、インスタライブというか、そもそもオンラインで飲むのが、初めてということ。
理容室・美容室は、休業要請の対象の施設ではないけれど、「僕の店は、いまはお客さんが座る席を減らして縮小営業をしているところです。いろいろ考えたんですけど、絶対髪を切らないといけない人はいるわけで」

日常

美容室って、だいたい横文字の名前がついているものだと思うだけど、そこにきて「髪と日常」である。

ーこの店名の由来は?
のりしなさんは、以前、30歳になる前にいろいろと経験をしておきたい、という思いから、思い立って京都に2年ほど移住をしたことがあった。なんと、美容師ではなく、日本酒の酒造に弟子入りをしたらしい。「日常」というのは、その京都在住中、さまざまな日本の生活に触れたときに出てきた発想だ。
「髪を切るのって、まさに日常ですよね、もちろん、都会の有名で高価な美容室に行くっていうのも、非日常的な特別感はありますけれど、僕はそうはしたくなくて、髪を切ることを日常にしたかったんです」

ーこの場所を選んだのは?
「今の場所で美容室をやることになったきっかけは、本当にたまたまなんです。嫁の実家から徒歩で5分くらいのところなんですよ。辻堂。結婚して始めて訪れたんですけど、すごくいいところで。まさに、『すべてはタイミング』です。」のりしなさんが既婚者だとわかって、いまだに結婚の予定がないTORUの目つきが一瞬だけ変わった・・。

そもそも、2人が繋がったのは、TORUの会社の先輩のhiroshixさんが、共通の知り合いだったということだ。「僕、もともと立ち飲みが大好きなんです。美容室を自分で始めたときも、店内を立ち飲みの感じにしたくて。だからのれんをかけてるんですよね、いまでも、「やってる〜?」って感じでお客さんが入ってくることありますよ」そんなことをhiroshixさんと話しているときに、「余市」っている企画があるよ、って教えてもらったことがきっかけということ。
そのhiroshixさんがまさにライブを視聴しているようだ。会話が的確に進んでいくワードを、次々にコメントする。それを読みながら、TORUとのりしなさんの話は、さらに盛り上がっていく。どうも、hiroshixさんが、対談全体を上手にコントロールをしている。あぶない、proshirout。hiroshixに乗っ取られるぞ。

セクシー

「僕は、短くすると、つんつん立っちゃうので似合わないんですよね、完全に直毛で。そして今は美容室に行けないから、伸び放題ですよ」と、これまでずっとキャップがトレードマークだったTORUが、おもむろに帽子を取った。・・思った以上に前髪が長い。鼻どころか、下唇くらいまで、重く艶っぽい黒髪がしなだれている。コメント欄は、「セクシー」「セクシー」と好評だったが、筆者にはホラン千秋かIKKOさんに見えた。

美容師になるためには、国家試験が必要だ。「でも僕、実は国試は1度落ちてるんですよ、スーパー劣等生で。ふつうは、専門を出たら、合格率は90%なんですけど」と言う。「のりしなさんのカットは上手なんです」というコメントが多かったので、実は劣等生なんかじゃなくて謙遜しているのか、もしくは血のにじむ努力を重ねたのであろうか。
「僕、尊敬する職業が、美容師なんですよ」と語り始めるホラン、いやTORU。実は愛知にいたときの交際相手が美容師だった。彼女は、朝は早くから出勤して後輩のカット練習に付き合う。営業中はずっと立ったままで、お客さんと会話をしながらもちろんてきぱきと手を動かす。営業終了後も、今度は自分の練習をしていていた。大変な仕事だ。
「しかも、情報が集まるハブの役割ですよね。担当の美容師さんって、『そういえば、他のお客さんがこんなこと言ってましたよ』みたいなことを教えてくれるじゃないですか。僕が立ち飲みをして、目指しているのも、そういうことなんです」

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店内

二次会では、まずのりしなさんが美容室の中を紹介してくれた。
築33年の物件。入り口の引き戸には、先ほどから話に出ていた、可愛いイラストが書かれたのれんがつるされている。正面の受付けカウンターは、のりしなさんが自ら古材屋で材料を買ってきて自作をしたものだった。先ほどから、ここに日本酒を置いてライブ配信をしてくれていたようだ。
その手前には、待合のための椅子が並んでいるが、そのスペースは「街のお下がり図書館」になっていて、お客さんが持ってきてくれたいろんな本が手に取れる。
店内にはちらほらと綺麗なドライフラワーが吊るされ、壁には、普通の家にあるような、換気扇がそのまま取り付けられている。カットするスペースには、座り心地のよさそうな椅子が2脚。夫婦で営む美容室なので2脚でいいのだ。大きな木枠の鏡を立てかけている古材でできた飾り棚も自作。

美容室って、近未来的に無機質な環境になりがちだ。しかし、「髪と日常」は、のりしなさんの人柄を反映した、地域の人たちの「日常」に寄りそう、あたたかくてほっとするスペースだった。

リンク

https://www.instagram.com/proshirout/
https://www.facebook.com/proshirout/

文責:TSUYOSHI HIRATSUKA
proshiroutの幽霊部員。美容室ではしゃべらない派なので、いつも雑誌を読むふりをするが、目が悪くて見えていない。

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