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【ネタバレ】宮崎駿(2023)『君たちはどう生きるか』感想

みた。内容に関する記述があるよ。🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓🐓

このタイトルであの内容だとは思わないだろ!!!

あと↑の眼鏡かけた実直そうな少年、まったく出てこなかった。何だったんだ。完全にかく乱させられている。

最初の火事の場面の表現はすごかった。シンエヴァのラストといい、アニメの表現てまだまだ進化を続けてるんだな~と感動。

中盤まではふーんという感じ。父とナツコの戦前の教科書に出てきそうな夫婦の感じにだいぶウっとなる。あういうガハハ系の父親像、ジブリでありがちだな(千と千尋の父親とか)。

塔の世界に入ってから、自分がジブリ映画に求めているものが全部ある感じした。ファンタジックで不思議な世界、奇妙な登場人物たち、ヘンテコで夢みたいな法則…。

アオサギ別にカヘッとか笑わないじゃん!Twitterのあれはなんなん?

キリコさんかっこよすぎて惚れる。おばあちゃんの若い頃があんなんだったとすると本当にイイぜ。

ワラワラは絶対ぬいぐるみ化されるでしょ。あざとすぎる(かわいい)。

そしてインコたちが好きすぎる。俺もインコみたいにせまっくるしい巣穴の中でぎゅうぎゅうになって暮らしたい。ジブリの映画っていつも巣穴みたいな空間が出てきて(ハウルとか)、それを見てると自分の閉所嗜好症みたいなのがぎゅんぎゅん充足されて気持ち良くなれる気がする。狭いところが大好きだから…。インコの暮らしを120分間くらい見たかった。あと大叔父のところに大王に付き従っていった二匹の緑インコが、場所のあまりの美しさに涙を流してるの泣ける。

インコたち、君主制ぽいよね(大王いるし)。でも大王を送る場面はアメリカとかの選挙思い出した。プラカードとか。

東京出身のマヒトが、強い情愛を持つ母親と離れ離れになり、田舎に来て疎外されるということで貴種流離譚になっている。マヒトは異界に冒険をして元の世界に戻ってくるヒーローズジャーニーの類型。

千と千尋のことがあるからまたヨモツヘグイかなと思ったけど、別にそんなこと無かったな。古墳の入り口にそっくりな石の門の向こう側が死者の世界であって、塔の世界そのものは死の世界ではないみたい。

話の流れとしては冥府下りっぽいんだけど、探すのが妻ではなく母、しかも血のつながりの無い出産を控えた母。父親は全く魔術的に無力な存在として描かれている。しかも塔の世界では死んだ実母が若い姿で現れるのでかなり神話構造が変形されている。

そしてあの映画の大叔父を宮崎駿と重ねるなという方が無理だろう。創造主は石に魅せられて塔の世界(=作品世界、芸術)を作ったが老いで疲れ果て、世界は壊れかけている。誰か自分の後継者(アニメーション監督)が現れてくれないかと待ち続けたが、結局誰も自分の後を継ぐことはなく、自分の作品世界は崩壊していく…みたいなメタファーに読んでしまう。マヒト(=鑑賞者)は後継者になることを拒んだけど、その世界のことを完全に忘れることはない(石を持ち帰ったから)。どう生きるかは君たち次第ってところか…。

全体的にものすごく分かりやすく作られた映画だった。神話的な構造やメタファーもあからさまで、登場人物の内面もわかりやすい。普通は芸術家の晩年の作品て難解で晦渋になりがちなのに、ここにきて急に今から始める宮崎駿入門作品みたいなのを作ったのはある意味ですごい。ただ一方でそれは今までの作品のセルフオマージュになっているということでもあり、実際もののけ姫とか千と千尋みたいなえぐみは無かった。風景とかの背景画が(魔女の宅急便とかに比べると)かなり薄らぼんやりしていて、アニメーションも可愛いけど良い意味での気持ち悪さはあんまりない感じがした。

でも映画館で観られてよかった。思い返せば自分がジブリをちゃんとスクリーンで見たのって、小学生の頃に近所の公民館でやってた魔女の宅急便の小規模上映くらいだった。

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