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桜文(1)

舞台「桜文」
劇場:PARCO劇場



最初は、

「久保ちゃん舞台やるんだ。行ってみよかな〜。」

くらいの気持ちでいたのに観劇してみたら本当に本当にいい舞台で。

これはレポートしておかなければ。


時代は明治後期、舞台は吉原(よしわら)。
遊女(ゆうじょ)という、男に対して性的な接待をする職業の人達が中心のお話。

この時代ならではの、金持ちが偉いとか、自分の立場のためにとんでもない事を我慢しないといけないとか、そういう時代背景があるからこそ面白い作品だったのかなと。

だから観劇前に時代背景を勉強していってよかった。ほんとにそれがあったからこそめちゃくちゃ楽しめた。



久保ちゃん演じる花魁の桜雅(おうが)が本当に素晴らしかった。
きっと遊女は所作や言葉遣いの厳しい指導をされるものなんだろうけど、完璧な気品を持った絶対的頂点感が登場シーンから感じられた。
桜雅の最初の登場シーンはセリフが一切なかったけど目線や首の動きだけですごく神経を使ってるのがわかった。

セリフも時代にあった女性の独特な言葉遣いがあったけど、
(「私」=「わっち」、「はい」=「あい」など)
何回も何回も読んで練習したんだろうな。
違和感は全然なかった。

心優しいお姉ちゃんのような存在の花魁として振袖新造や禿に慕われる姿も、
だんだん好きになる霧野に対しての態度が少しずつ変わっていく様子も、
最後に裏切られて心が無になってしまう姿も、
とても素晴らしかった。

特に、遊女になる前の雅沙子は仙太と楽しくやり取りする姿や父親をバカにされて怒る姿をみせるので、喜怒哀楽が表現出来る純粋な女の子だったということをお芝居から感じることができて、それと桜雅の完璧で落ち着いた気品ある姿と比べることで、躾のシーンはなかったけど、雅沙子が大変な辛い思いをして花魁になっていったんだと感じることが出来た。
ここの感情(性格?)の切り替えは本当に大変なんじゃないかな。


アフタートークで共演者の人たちのお話を聞いたけど、
久保ちゃんは人物の心情の理解が早くてお芝居への落とし込みも早くて成長も早くて、、と皆が言ってた。
久保ちゃんは日頃からどんなことにも意味があると信じていて、それがなんなのかちゃんと考えることができる人なんだと思う。
だからお芝居も細かいところまで深く考えて考えて作っていけるんだろうな。

女優久保史緒里、すごい。



脚本と演出も本当に最高だった。

結局桜雅は恋心を寄せる霧野に裏切られたと思って精神を崩壊させてしまうんだけど、それがなんと辛いことか。。


違うんだ!!まさちゃん!!!霧野は騙されてる!!!!違うんだよ!!!!!



心の中できっと皆叫んでたよ。

辛すぎて、やるせなさすぎて、なんか呆然としてしまったけど、
最後に遊女の京子が誰もいない代書屋に置かれていた『桜文』を読んで泣きながら隣の男に「私の事好き?!?」って言ってるのを見て、気づいたら自分も泣いてた。
辛いよ。辛すぎる。


セットの動きも多くてすごく見入ってしまった。
小劇場と違って奥行きがあるから、よりリアルというか、物語をイメージしやすくて見てて楽しかった。
小劇場は小劇場で人物のセリフから頭の中で情景をイメージするのが楽しいんだけどね。
それぞれの良さだよね。


演出でめちゃくちゃ印象的だったのが、西条さんが霧野の部屋で桜雅の手紙を読んだ時、雨が降っていて、その雨が西条さんの心の声に変わったところ。
(印象的だったのになんて言葉だったか忘れた)
(「何故だ」だったか?違う気がするけどなんだったかな。思い出したい。もどかしい。)

霧野の職業が小説家だったり、桜雅と霧野が手紙でやり取りしてることから、
「言葉」が大事になってくる作品ならではの演出だと思う。

実はこの「言葉」が大事になってくるところも、久保ちゃんが主演するのにピッタリな舞台だったなって思った。
久保ちゃんは言葉を大事にする人だから。




他にも沢山痺れる演出はあって、
2幕は特に鳥肌立ちっぱなしだったな。

しかも迫力から来る鳥肌というよりは、物語の内容が凄すぎてというか圧巻すぎてというか、そういう感じ。(語彙力)
ミュージカルは音楽の迫力で鳥肌が立ったり、2ヶ月前に観劇したきいちゃんが出演した蒲田行進曲銀ちゃんでは役者さんの声量やお芝居の迫力から鳥肌が立ったりしたけど、
この感覚は舞台観てきて初めてだったかもしれない。





この作品の登場人物で推しを1人決めるとしたら「与平」かな。「葵」と迷うけど。

与平は親に売られてしまった雅沙子の家族の代わりのような温かさがあって、ほっとする感じがいい。
かなり重い病気っぽい感じだったけど結局どうなったんだろうか。助かってるといいな。

葵は自分の恋心に真っ直ぐなのが好き。
例えご法度であっても桜雅にも西条さんにもハッキリ自分の気持ちを伝える葵に心を打たれた。。
あんな西条みたいなゴミクズ野郎じゃなくてもっといい人見つけて幸せになってて欲しい。
君嘘の椿とちょっとだけ重なるところがあった。






とりあえず当日すぐに思い出せる印象的なところはこんな感じ。
途中何言ってるか自分でも分からない所あったけどこれが今の限界値かな。
でも無理に綺麗にかっこよく表現しようとは思ってないので。気にしない。
感じたことをできるだけそのまま記録に残すことが大事。

あとから付け足せるみたいだから思い出した時にまた付け足そうと思ってる。


いやぁ本当にいい舞台だった。

「夜は短し歩けよ乙女」の時も久保ちゃんのお芝居にやられたけど、やっぱり久保ちゃんの舞台はいいね。最高だ。


結局金曜日にリピートで観劇に行くことにした。

この素晴らしい舞台はこの期間にしか観ることが出来ないのに、後悔したくない。


ということで、2回目を観劇するにあたっての考察を書いておく。


代書屋のお婆さんは桜雅なんじゃないかということ。
これは観た人みんな思ったかもしれないけど。

理由①
お婆さんは目にボロボロの布を被せていて、目が見えないようだと最初に京子が言っていた。
これが、最後に自分の目を簪で潰した桜雅と重なる。

理由②
お婆さんは代書をするときに、「こっちへおいで」とその人を呼び寄せ、顔を目の前に近づける。
これが、人の中身を判断する時に目を見て判断すると良いと仙太に教えられてそれを信じている雅沙子(桜雅)と重なる。

理由③
最初のシーンで老人霧野が、天紅の文を見てとてつもない興味を示した。
これは、桜雅から貰った天紅の文の匂いを覚えていたから。


他にも手がかりがあるかもしれないからよく見てみよう。



それと、これは考察ではないけど、老人霧野が序盤に若返ったのは何故なんだろう?
理由があるなら知りたい。
2回目をちゃんと観れば考察できるかな?

あぁーー楽しみ過ぎる。。

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