サンクスホース事業について

今回の記事は、Thanks Horse Project(サンクスホースプロジェクト)から、現在は名前をThanks Horse Platform(サンクスホースプラットフォーム)についての記事。

そもそもThanks Horse Platformとは何ぞや?となるので、吉備中央町議会の会議録より説明を引用する。

平成28年度から実施しておりますサンクスホースプラットフォーム事業については、引退したサラブレット、競走馬のことですけれども、サラブレットをリトレーニングすることでセカンドキャリアの支援を行いながら、馬の殺処分減少を目指すものとなっております。
また、馬との触れ合いを中心としたセラピーリゾート事業を実施し、社会教育の推進及び社会福祉の増進、地域振興並びにスポーツの振興に寄与することを目的とした事業でございます。
町が掲げている癒やしをテーマとしたメンタルヘルス構想に合致するものであり、併せて町の認知度向上、交流人口の増加、それらに伴う地域振興などから、人口減少や地域経済の衰退など自治体が抱える問題解決に期待ができるとの判断から、寄附金の使い道をより具体的にプロジェクト化し、そのプロジェクトに共感した方から寄附を募る仕組みであります、ふるさと納税によるガバメントクラウドファンディングを実施しているところでございます。

令和4年9月15日 吉備中央町議会 会議録より

こう答えたのは、吉備中央町の協働推進課長なのだが、僕からしてみればこの説明ですら怪しいものだと思っている。
「サラブレットをリトレーニングすることでセカンドキャリアの支援を行いながら、馬の殺処分減少を目指すものとなっております。」とあるけれど、馬は「殺処分されるか?」という話。それは僕が常々「違う」と言い続けていることなのだけど、この記事内では触れないことにする。今回の記事において、本題はそこじゃないからだ。

サンクスホースプラットフォーム事業は、ガバメントクラウドファンディング(ふるさと納税)で町が得た寄付金を、運営団体のNPO法人、サラブリトレーニング・ジャパンに交付する形となっている。
これが適切に行われているならば、何も問題にはならないだろう。議会で論争にもならないはずだ。だが、何かしらの問題があるから議会で論争になっている。

現在(令和3年度終了時点)で、口座に4000万円以上の資金がある。そして、交付された寄付金は一定の条件付きで返還するものと事業協定書に書かれているそうだ。
だが、吉備中央町はサンクスホースプラットフォームに交付金返還の要請をしていない。

議会で語られた理由としては

今、リトレーニングとかいろいろしております。寄附が、今言われたように余っている状況ではございますが。ただ、それは余っていると言うよりは、今逆にこう事業を抑えて、寄附金が集まらなくても、今預かっている馬を処分とか、手放せては困りますので、1年、2年、寄附金がもし0円でも事業を継続させるためにということで預かっているお金ではございます。
ただ、今後寄附が多く増えていければ、今リトレーニングの内容も寄附金に合ったリトレーニングの内容をしておりますので、寄附金が集まればリトレーニングの内容をもっと高度化であったり、効率化であったり、馬の数を増やしてというようなことも考えられると思います。そういったことが良好に全て進んだ上でも寄附金が余るようでしたら、返還の請求もするということも考えられるかなというふうに考えております。

吉備中央町議会 協同推進課長の発言

とあるけれど、なんだか釈然としない。
もちろん馬は生き物だから、突然の病気でカネが出ていくこともあるだろう。寄付金もどれだけ集まるかは読めないし、ふるさと納税は時期によってバラつきがあるから、安定のために資金をプールしておく必要があるのは承知している。
ただ、それならば吉備中央町とサンクスホースプロジェクトの事業が始まる前に、ちゃんと打ち合わせをして、隙のない事業協定書を作るべきだったと思う。

以前、サラブレッドのリトレーニングについて触れたことがあったと思うけれど、リトレーニングされたサラブレッドにどれだけの価値があるか?
現役時代に活躍してオープンクラスで走っていたとしても、オークションにかけられると100万円以下というのが実状となっている。
今、サラブリトレーニングがリトレーニング馬のオークションをやっても最低価格50万円から始めて入札がない馬は多い。

最低価格の50万円が高いのか?安いのか?は一旦置いておくが、今の状況でサラブレッドを1頭、肉屋に売るとなったらいくらで売れるか?詳しくは分からないが、30万~35万くらいだと個人的に思っている。
肉屋が買うのを防ぐべくして、最低価格を50万円と設定しているのだとすれば、これは下げられないラインだろう。
ただそれでも、現実的に全ての馬が売れるか?と言えばそうじゃない。売却率の統計を取った訳ではないが、体感だと約5割はオークションで買い手が付かない。

個人的意見を言ってしまえば、乗馬の需要が増えていないのに、リトレーニングされた馬を売ろうとしたとて、買い手は限られる。
だから、買い手が付かない。
だからこれは、最初から寄付金頼みの取り組みであって、ハッキリ言ってしまえば、無駄金だと思っています。

また、サラブリトレーニングが事務所を構えていた場所は町の普通財産だったそうだ。
サラブリトレーニングが事務所を構えるにあたり土地を借りる際、町と契約を結んでいたか?と言えばそうではなく、岡山乗馬クラブが町から借りた土地をサラブリトレーニングに貸していた。いわゆる又貸し。
これは町と岡山乗馬クラブの土地賃貸借契約書によれば、禁止とされていたそうだ。許可を得ていたら問題にはならなかったようだが、許可を得ていなかった。
しかも、サラブリトレーニングの理事には町長の名前がある。そして岡山乗馬倶楽部の代表がサラブリトレーニングの代表を当時は兼ねていた。
サラブリトレーニングが支払った金額は64万8000円、岡山乗馬クラブが町から借りている金額は年間35万円。
約30万円の差額は一体どこに消えたのか?
もっと言えば、リトレーニング事業を岡山乗馬クラブも行う訳であり、理事に岡山乗馬クラブの代表と町長がいれば、リトレーニング費用を水増し請求して、自分たちの財布に入れることも想像できてしまうのが現状だ。

この件について追及している議員の方が言っているけど、町長という町のトップが、町から補助金を受ける団体の理事に就いていていいのか?
そして、町との約束を守れていない乗馬クラブから土地を借りて、必要以上にカネを払い、そのカネは何に消えるのか?しかも代表は両方とも同じ。これは問題でしょう。

また、現在サラブリトレーニング・ジャパンや一般財団法人ホースコミュニティの代表は元調教師としてもお馴染みの角居勝彦氏だが、Xを見ていると、目を疑いたくなるような光景を目にしてしまった。あえてその呟きは引用しない。各々で調べて貰うしかないけれど、それで僕が思うのは、角居勝彦氏に対して取材をした関係者は大勢いると思います。その人たちの1人でもいい。実状に気付いたか?と。
もし、そのことを知っていて取材したならば肯定していると見なしますよ。

だとしたら、引退競走馬に関する記事なんて書かない方がマシだ。本の帯に名前が出ていたけど、やってること知ってたらそんなこと言えるの?と思った。

馬業界には詐欺師が多い。
そしてそれに騙される詐欺師もいる。

動物を使って「いい人」っぽく見せているから、逆に面倒だよね。気を付けないと。


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