総合馬術日本代表の解散危機について


総合馬術日本代表「初老ジャパン」について

パリオリンピックの総合馬術競技で銅メダルを獲得し、日本の馬術界においては92年振りのメダル獲得となった通称「初老ジャパン」が、存続の危機に瀕しているというニュースが流れてきた。

これに対する世間の印象は恐らく「JRAがカネを出せよ」だと思うのだが、明らかに偏った目線での発言だと僕は思っている。その理由と、僕がどう思うか?また、こうすれば良いのではないか?という改善点が今回の記事におけるテーマだ。

馬術でオリンピック選手になるには

僕は今月初めにこの記事を書いて公開した。

この中で触れているが、馬術で日本代表がメダルを取ったからといって競技人口が増えるか?と言ったらそうではないと結論付けている。
まず、カネがかかるスポーツであること。
自分だけが上手くても、馬が良くないとどうにもならないこと。
そしてヨーロッパに滞在しなければならないこと。この他にも諸々理由はあると思うが、馬術で日本代表になるならば、日本で上手くてもダメな訳だ。ヨーロッパにベースを移して転戦しなくてはいけない。
日本国内で馬術日本代表選考会なんて行われていないことをどれほどの人が知っているか?まず、そこの認識が持てていない人が多すぎる現実があると思っている。

JRAの狙い

僕はこの報道を見て、仕方のないことだと思った。

総合馬術で言えば、予選会で中国代表が失格にならなければ繰り上がりで日本が2枠の代表枠にも入れなかったという現実がある。
また、他にも理由があるので解説する。

競馬が開催出来るか?

なぜJRAがカネを持っていると思われているか?と言えば、競馬が安定して開催されているからだと思う。ただ、競馬を支える厩務員の成り手不足にどれほどの人が気付いているだろうか?
僕はこれまで、この問題に触れてきた。

だが、実際問題として厩務員の志望者は増えない。このままだと2030年には定員割れを起こす可能性があるとの報道もある。
そうなったらなったで対処するのではなく、なる前に対処をする。
10年、20年の長い目で見れば、オリンピックに出場出来る選手へバックアップを惜しまず環境を整えてあげることも出来るかもしれないが、10年以内に短期的な目標として馬の仕事をしたいと思う人をどれだけ増やせるか?が課題なのだから、メダリストでJRA職員という肩書きを最大限利用して国内で啓発活動を行うことが安定した競馬開催に繋がるだろうと僕は考えている。
国内で啓発活動を行うことは、海外にベースを置けない。要するに、オリンピック選手にはなれないことを意味することになるが、それもJRA職員の運命でもあると僕は思っている。

マスコミに取り上げて貰うため?

もし、この報道が世間を動かして戸本選手がそのままヨーロッパに滞在となったら。
それはJRA側からしてみれば、世間の評価を変えることが出来る。やるじゃんと。
これを狙いにするかもしれない。

まとめ

長期的な目標で人手不足を解消出来る時代は来ない。どの業界も人手不足が叫ばれていて、その中で激務として知られる馬の業界にはなかなか人が入ってこない。収入は高いかも知れないが、賞金次第で安定した給与体系ではない。
その他諸々で、馬の仕事をしたいと思う人がいない現状があり、この先もしかしたら競馬は回らないかもしれない。その点から言えばメダリストの肩書きを使えるのは大きくて高校・大学の馬術部に啓発活動を行ってJRAに就職してもらう。それがダメなら厩務員になって貰うための活動に取り組まなければいけない。長期的な目標ではなく、短期的な目標。安定した競馬開催が実は薄氷の上で成り立っているのだから。



宜しければサポートお願いします。