第91回 日本ダービー 考察レポート

2024年 5月26日 東京競馬場 芝 2400m
第91回 日本ダービー(東京優駿) G1
15時40分 発走予定


日本ダービー 出馬表

1-1 サンライズアース     池添 謙一
1-2 レガレイラ              C.ルメール
2-3 ジューンテイク        岩田 望来
2-4 ビザンチンドリーム  西村 淳也
3-5 ダノンデサイル     横山 典弘
3-6 コスモキュランダ      M.デムーロ
4-7 ミスタージーティー   藤岡 佑介
4-8 アーバンシック         横山 武史
5-9 ダノンエアズロック    J.モレイラ
5-10 サンライズジパング  菅原 明良
6-11 シュガークン           武 豊
6-12 シックスペンス        川田 将雅
7-13 シンエンペラー        坂井 瑠星
7-14 ゴンバデカーブース  松山 弘平
7-15 ジャスティンミラノ  戸崎 圭太
8-16 メイショウタバル     浜中 俊 
8-17 ショウナンラプンタ  鮫島 克駿
8-18 エコロヴァルツ        岩田 康誠

前哨戦 結果

皐月賞・勝ち馬 ジャスティンミラノ

1着 ジャスティンミラノ 戸崎圭太 1:57.1
2着 コスモキュランダ J.モレイラ クビ
3着 ジャンダルマンタル 川田将雅 1/2
4着 アーバンシック 横山武史 1 1/2
5着 シンエンペラー 坂井瑠星 クビ

12.2 - 10.5 - 11.5 - 11.7 - 11.6 - 11.8 - 12.0 - 12.1 - 11.7 - 12.0 
4F 47.8 - 3F 35.8

JRA 皐月賞 ラップタイム

皐月賞 レース回顧

ハナを奪ったのは、前走の毎日杯を逃げ切り勝ちしてここに挑んだメイショウタバル。鞍上は浜中俊騎手
前半1000mの通過タイムが57.5秒、メイショウタバルの皐月賞走破タイムは1:59.3秒だから、後半1000mは1:01.8秒で駆け抜けたことになる。
実際問題として最後の1Fは脚も上がっていたし鞍上も追わなかったので、上がり3Fのタイムは38.0と掲示されているが、残り1Fまでは交わされても大きくバテることなく走れていたので、ペースは流れていたけど、皐月賞はものすごく速いペースだったと僕は思わない。

4角を回って直線に入るところで、ジャンダルマンタルが先頭に立つ。右手前で直線に入るが、残り300mあたりで左手前に替える。
これは、早仕掛けのように思えるが、前が垂れるなら一気に行くしかないという勝負どころだったようにも思える。
逆に後続集団にしてみれば、メイショウタバルが垂れて、ジャンダルマンタルが早めに交わそうと捕まえに行く。そのジャンダルマンタルを捕まえに行けたら勝機はある。というように考えて乗っていたのではないか?と想像する。

実際、4角でジャンダルマンタルが2番手の外に付ける時には、後ろにジャスティンミラノ、その後ろにシンエンペラー、その後ろにコスモキュランダ、その後ろにアーバンシックと連なっていた。

ジャンダルマンタルにしてみたら、抜け出した以上あとは後続が来ないのを祈るだけだし、ジャスティンミラノやシンエンペラー、コスモキュランダ、アーバンシックにしてみたら、あとは前の馬を捕らえるだけという展開。

その中で、ジャスティンミラノとシンエンペラー、コスモキュランダが併せ馬で伸びてきたが、真ん中のシンエンペラーは置いていかれる展開となり、ジャスティンミラノとコスモキュランダの2頭が併せ馬で追い込み、ゴール前でジャンダルマンタルを交わして、1-2 finishを決める。3着にジャンダルマンタル。
というのが皐月賞の大まかな僕なりの回顧。

見直して思うこと

血統的に、シンエンペラーがキレ味で負けたことは否めないと感じる。ただ、ジャスティンミラノやコスモキュランダ、アーバンシックやレガレイラやエコロヴァルツなどは位置取りの違いで差がついたけど、もし勝ち馬の位置を取れていたら、結果は変わったようにも思う。
逆に、ジャンダルマンタルは早め先頭の流れで、潰れてもおかしくないところをよく粘った。
実際問題その後に、NHKマイルカップで勝ちG1・2勝となった訳で、来シーズンはジャンダルマンタルの父であるパレスマリスの種付け料がいくらになるのか?というところにしか注目材料が無いくらい強い。

皐月賞回顧・まとめ

簡単にまとめていえば、皐月賞の流れ自体は速かったかもしれないけど、滅茶苦茶に速い流れか?と言えばそうではなかった。
そのなかで、前が垂れると分かったからこそ早めに仕掛けて行ったジャンダルマンタルは3着に負けたけど、いちばん強い内容の競馬をしたし、4角でジャンダルマンタルの後ろには、勝ち馬のジャスティンミラノやコスモキュランダ、シンエンペラーにアーバンシックという掲示板に絡む馬がいたということ。
シンエンペラーやアーバンシックについては、ジャンダルマンタルをマークしていたのかは分からないが、勝ち馬と同じラインに乗っているのならば、せめて交わして欲しかったというのが本音だが、交わせなかったということはそれだけジャンダルマンタルが強いということでもあると思う。

その他の前哨戦

スプリングステークス シックスペンス

スプリングステークスからの挑戦となる、シックスペンスは3戦3勝、未だ無敗だ。
正直に言えば、普通に走れば皐月賞はこの馬が勝っていたようにも思う。タイムは出ていないけれど、もし普通に追走出来ていたらこの馬の切れ味はスゴいものがある。

12.7 - 12.2 - 12.6 - 12.7 - 12.9 - 12.6 - 12.0 - 10.9 - 10.8
4F 46.3 - 3F 33.7

JRA スプリングステークス ラップタイム

歩様の乱れから、皐月賞を回避してダービーへとなった訳だが、能力は高いものを持っていると思う。ダノンベルーガみたいな気が個人的にしている。要警戒だろう。

京成杯 ダノンデサイル

皐月賞を除外となった、ダノンデサイルが勝った京成杯。2着は皐月賞4着のアーバンシックだから、レベルが高いのかもしれないが、個人的にはこのレースを見てあまり良くは見えなかった。もちろん勝ち馬を貶す訳でもないし、ダービーでは除外明けになることを気にしているとかそういう訳ではないのだけれど、何故だかあまり気が進まない。

青葉賞 シュガークン

シュガークンが勝った青葉賞。2着のショウナンラプンタもダービーへの切符を掴んだ。
青葉賞組からはダービー勝ち馬が出ていないけれど、頑張ってほしいという気持ちもあるけれど、現実的に考えて1月に2回の長距離輸送競馬というのはしんどいだろうし、体調を整えるので精一杯なのではないか?という見方をする。

ただそのなかで、シュガークンはレースの組み立てが上手で、しんどくなったら自分で手前を替えて頑張ることが出来る馬。青葉賞の時にも直線に入ってからは右手前で走り、残り130mあたりで左手前に替えて凌ぎきった。
そういう意味で言えば、二の足を使えそう。昔のダービーで言えば、アポロソニックの粘り腰みたいな形。勝つにはどうか?だけど、ヒモなら十分ありそうに思えます。
ショウナンラプンタに関しては、ホープフルステークスの際に膨らんだことがちょっと分からない。右回りで外に膨らむなら、左回りの方が良さそうに思えるし、膨らむのが馬具(ハミ)等で解消されれば、浮上しても良さそうに思える。穴候補として入れておきたい存在か。

京都新聞杯 ジューンテイク

京都新聞杯を勝ったのはジューンテイク。
だが、最初の直線で何かあったレースという印象と、最後の直線で内を突いて伸びたが、レースのメンバー的には、正直大したこと無いと思っているので軽視したい。

NHKマイルカップ

ジャンダルマンタルが勝ったNHKマイルカップから、ゴンバデカーブースが参戦する。
正直に言えば、この馬は面白そうだ。
NHKマイルカップでは右手前より外にヨレて、左手前に替えてからの方が前との差を詰めたので、もしかすると右回りの競馬場が合うのかも知れないけれど。ちょっと良さそうに思う自分がいる。間隔は詰まっているだけに、当日の気配次第。

プリンシパルステークス ダノンエアズロック

プリンシパルステークスを勝って優先出走権を掴み取ったのはダノンエアズロック。個人的にこの馬は、セレクトセールの前から注目していて、お台が1億円からだったように記憶している。というのは関係ない前置き。
抜け出してからは強く追わず、いかにも叩きというレース。
アイビーステークスでは、レガレイラを完封したが、そのときはモレイラ騎手が上手く乗ったことや小頭数だったことも影響した。
この馬の弱点は、揉まれる競馬をしていないこと。勝ちに拘ってきたからこそ、そうなったとも言えるし、弥生賞は結局負けの理由を骨折にも出来た。買うなら外枠でスンナリ行けた時か。

前哨戦 まとめ

スプリングステークスからの過程は気になるものの、シックスペンスは押さえておきたい存在だ。他にも注目馬はいるけれど、枠順公開前の段階ではなんとも言えない。
個人的に、改めて前哨戦を見返して思ったのは、シュガークンが成長してくればかなり良くなりそう。ってことと、ゴンバデカーブースの末脚は悪くなさそうだという2点。青葉賞は、たぶん手前を替えてなかったらショウナンラプンタに交わされていたと思うし、ゴンバデカーブースの脚は良かったと思うので。
あとは、枠と展開が大事になってくる。と、まとめたい。この文章を書いている段階は枠順抽選前なので…

Photo パドック

僕は予想をする上でphotoパドックを重要視している。走る馬は惹き付けられる魅力があるというのが持論。photoパドックを見ての個人的な印象は、シンエンペラーとダノンエアズロックは繋ぎが立っているように見えるので、馬場状態が悪くなればチャンスが一気に増す予感がしている。
逆に、シュガークンは蹄が平べったい(平蹄ひらづめ)に見えるので、馬場状態は良い方が競馬しやすそうに思える。
状態的にこれが良く見えた、というのは後述するとして、シンエンペラーは前駆が発達しているけれど後駆にまだ発達の余地が残されている印象。もちろんこれで走ってきているし、筋肉量が増えることはいいことなのか?と言ったらそうでもないと思うけれど、なんだか「アンバランス」な印象を受ける。前駆がこれだけ発達しているなら、後ろはもっと筋肉が付いていてもいいのに、写真を見るとそうじゃない。だから、評価を下げます。
もちろん外国の血統で父馬や母馬を僕は見ていないからこそ、もしかしたら父馬もこうだったから問題ないのかもしれない。でも、僕はアンバランスだと思ったし、それを嫌いたい。
もちろん光の当たり具合などによって、よく見えたり見えなかったりするのが写真だし、それだけで全てが分かるわけでもないから、絶対こうですと偉そうにモノは言えないけれど、僕はそう思っている。

天気予報

予報を見てみると、雨は降らないようだ。
良馬場での開催が予想される。もちろん芝の生育で多少の散水は行うだろう。

追い切り情報

皐月賞の時とダービーの追い切りではシンエンペラーの馬装が違う。チークピースを着けている。本番で使用するのかは分からないけれど、皐月賞の勝負どころで離された理由を僕はスピードが足りていないからと思っているけれど、集中力を欠くところがあって反応しきれないズブい面があるのかもしれない。それは本人に聞いてみないと分からないけど。
追い切りを見てよく思ったのはショウナンラプンタ。ダイナミックなフォームだった。
単走で追いきっているからミスタージーティーがハナに行きそうな気もするけど果たしてどうか。それはフタを開けてみないと分からない。

展開

メイショウタバルが出走取消で、逃げたい馬が明確じゃなくなった今年の日本ダービー。さて果たして、ペースメイクをするのはなにか?と考えたときに、先週のオークスを思い出す。

競った形で逃げていたショウナンマヌエラとヴィントシュティレ。正直、僕はヴィントシュティレが海外競馬で言うところのラビット役だったのではないかと思う。
それで、自分達のグループに優位なレース展開を作って、1~4着を独占したという仮定の話をする。(厳密に言えばライトバックは個人馬主所有馬だが、生産のレイクヴィラファームはノーザンファームによる支援を受けているので無関係とは言えない。)

正直に言えば、勝って欲しい馬がいるとするならそれはレガレイラかアーバンシックのスワーヴリチャード産駒か、シンエンペラーのような外国血統(育成や中間の調整もノーザンファームで行ったため)、くらいだと思うが、前者の方を僕は取りたい。
そうなってくると、前に行けという指示を出すとするなら、矢作厩舎のミスタージーティーか、ビザンチンドリームとかサンライズアースではないかと予想する。
シュガークンは番手に控えるはずだ。という予想。

オークスほどのペースではないと思うが、1000m通過が1分を切るか切らないかくらいで行くのではないかと思ってる。問題は後ろが前をどれだけの距離を取って追走するか、突っつくか。それが読めないので、逃げ馬だけ読んでも仕方ないなと割り切る。なるようにしかならんです。

結論

◎ レガレイラ

この馬に対する期待は大きいと思っている。実際に、前走では位置取りが悪かっただけだと考えてしまえばいいし、ホープフルステークスで見せた脚を府中でもう一度。と期待しての本命。別にルメールさんが乗るからとかそんなのじゃないよ…うん。photoパドックでよく見えたのがこれだったという理由もある。

○ アーバンシック

今年のダービーは、スワーヴリチャード産駒の1-2-finishとなったら、社台スタリオンステーションの値付けがスゲー!となるだろう…と考えてのアーバンシックを対抗に。
まともなレースさえ出来ればチャンスは十分あるでしょう。

▲ ダノンエアズロック

正直、この評価は無しだろうともう一人の自分が問いかけている。喉にも何かある馬だし、ローテ短いし、というのは分かっちゃいるけど辞められなかった。
血統的に距離が持たない。モーリス産駒だしダメだろと分かっちゃいる。でも、なぜかこの位置にしてしまう。それが僕の悪い癖。

△~☆ 

3頭上げる。まず、コスモキュランダ
レースへの経験値が豊富でどんな競馬でもこなせそう。という安心感がある。

そして、ジャスティンミラノ
皐月賞の勝ち馬だけど、正直言えば買い目から外したかった。でも来たときに腹が立つので入れたという人間味溢れる理由。
馬の出来は分かりません。たぶんいいんじゃないですか。

最後は、ショウナンラプンタ
この馬を僕の本命にしようかと悩んだ。
ただ、それはやり過ぎだなと思って控える。
追い切りの動きもダイナミックだし、青葉賞も負けたけど内容的にはいい競馬をしていた。本番でさらなる前進を見込む。

最後に

今回、厩務員3労組はストライキを行うことが発表されたけれど、その影響を避けるためにシックスペンスは当日輸送や前日輸送ではなく、前々日である今日の午後に輸送を行い東京競馬場へ向かった。ストの影響を回避するためだとしているけど、今まで競馬場に長くいた経験がない馬だと思うので、その辺りの影響を懸念してあえて印を回さなかった。

ストライキを行うなとは言わないし、新賃金・旧賃金の2体系が存在しているというのもまたおかしな話だと思うし、それを提案したのが過去の厩務員会だとしても認めたのは調教師会なので、何を言っても議論は平行線にしか終わらないように思う。
調教師がいわゆる「パワハラ」をして厩舎を辞めていくように持っていく事案もあるだろう。調教師が正しいとも思えないし、厩務員側も間違えているところはあるはずだ。
ひとつ言えるのは、揉めたところで良いことはない。これに尽きる。

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