中央競馬厩舎制度改革案

制度改革なんて書いたところで、外野が勝手に思っていることですから、トンチンカンなことを言ってるかもしれませんが、そのあたりには目を瞑って頂いて…。
チラシの裏にでも書いてろって記事かもしれませんが、まぁそんな記事でも書かないよりは書いた方が良いやろということで。

以前、記事にもしたけれど「厩舎スタッフ」の希望者数は年々減少している。
ここで言う「厩舎スタッフ」は、厩務員きゅうむいん(持ち乗り・攻め専含む)のことだ。

少し昔の話をすれば、中央競馬の厩務員になろうと思ったら、育成牧場等で2年ほどの勤務経験が必要で、調教に騎乗してどれくらいの時計を出したことがあるか?という「騎乗経歴書」を書き、勤務先の牧場が騎乗経歴書を認めてくれなければ、厩務員になるための試験すら受けられなかった。
そして、28歳までという年齢制限もあった。

当時は、年齢制限ギリギリにならないと受からないとか、調教師に推薦状を書いて貰えば絶対に受かるとか、その為にトレセン近郊の外厩に勤務する人が多かったし、そういう人たちを「厩務員試験受けさせてやるから」(前述している通り、騎乗経歴書を書いて牧場側がサインしなければ試験が受けられなかった)と言って、その代わりに給料はあんまり高くないとか、いろいろあった時代だ。
いろいろあったと言っても、これはものすごく古い話という訳でもない。

それが、今はどうだ。厩務員課程の受験者数も減少し、年齢制限も撤廃されて育成牧場での勤務経験も必要なく、乗馬経験が1年あればいいまで緩和された。
今、厩務員になりたい若者はチャンスだ。「なりたい」だけなら、敵は多くないからなりやすい。試験を受けられる条件をクリアするのも容易だろう。
でも、現実的な話として厩務員の成り手はなかなかいない。

北海道の各種馬場で、種牡馬展示会を行っていて、その様子をYouTubeで見ていたら、外国人スタッフが種牡馬を引いて展示会に出ている。
以前の記事でも書いたが、地方競馬場だと今は南関以外の全場に外国人厩務員がいる。生産牧場でもそう、育成牧場でもそう。
外国人スタッフがいなければ、今の競馬界は回っていかない。
そんな状況に陥っているのを「見ている側」のファンはどれだけ実感しているのだろうか?

地方競馬のパドックで、馬を引いてる厩務員が外国人です。それが何十人も居ます。それで競馬が開催されています。ということは、今の地方競馬で、外国人厩務員がいなければ、普段の調教も回らないし面倒を見ることが出来る頭数も減る。それは、レースの出走頭数が減ることを意味する
この現実をどれだけの人が分かっているか?

そして、地方競馬で起きることは中央競馬でも起きると考えるのが自然だろう。やっているのは同じ競馬で差はないから。
だから、将来的には南関東4競馬場や中央競馬でも外国人厩務員が馬を引くことになるだろう。
ただ、中央競馬の場合は競馬学校の厩務員課程を卒業しなければ厩務員にはなれない。
また、現在は1人あたり2頭担当だからウォーキングマシンの導入で3頭持ちになればそれだけで厩務員の数が減っても対応は出来る。
そして、厩務員1人で3頭持ちになれば給料も上がる。仕事のしんどさは増えるけれど。
そのあたりは、バランスを取っていかなければならないように思っている。
馬業界を志す人が少ないというのは、10年以上前から言われていること。2頭持ちが3頭持ちになって、厩務員は大変とか言う人もいるだろうけど、それを言い出せば地方競馬で5・6頭担当してる厩務員はどれだけ大変なことか。担当制ではなく全体で全部の馬を見る厩舎もあるけど、厩務員2人と調教師、調教師の奥さんの4人で20頭の面倒をみるなんて厩舎があったりする。もっとスゴいところを知っているけど詳しくは語らない、、

それはさておき、そろそろストの季節だ。
中央競馬の厩務員会がどう動くのかは知らないけれど、そもそも4つある組合を2つくらいに集約して意見を固める、スト破りをしないようにするとかの対策は必要だと思う。
まぁ、もっと言えば「中央の厩務員なんて恵まれてる環境なのにストやってんじゃねえよ」とか「そのレース目指して仕上げたのにストやって中止になったらおめえら責任取れんのか」とか、馬業界全体としての認識が一本化することは無理だと思う。
だからこそ、人手不足になるんだろう。

解決策は現状、何もない。
緩やかに衰退していっている。そのなかで強い馬を作ることが競馬の存在意義のような気はするけれど、現実的な思考からすれば衰退産業であって、馬券が売れたといっても働く人は増えない。

そして、去年はスト破りがあった。先ほど説明した理由で、認識が業界でも一本化出来ないのだし、厩務員会でも一本化出来ない。そしてスト破りと臨時のピンク帽などを使えば競馬が開催出来てしまった。もちろん組合に仕事をするなと言われても開催があるなら行く厩務員もいたはずで、足並みが揃わないなら、正直なにを言っても・やっても無駄なんだろう。
日本の競馬はオフシーズンがない。それは興業目線で言えば良いことだけど、馬の仕事をしている人は休みが取りにくい。
遮熱対策と職場環境改善で7月末から8月末までの開催を休止して、3歳未勝利戦は11月半ばまで開催。とか、現行のシステムをゼロベースで見直し、改革していくことが必要となってくるのではないだろうか。

思い付くのは、BTCのような調教施設をトレセン近郊に外厩として開く。とか、そもそもBTCの横に競馬場を作ってしまう。地方競馬場の有効活用で、中央競馬のレースを地方競馬で行う。いろいろとやり方はあると思う。現実的には障壁が多いのだろうけど。

今のままじゃ、間違いなく競馬は緩やかに衰退していくと思っている。そうならないためにどうしていくか?
馬主が厩務員を直接雇用して契約出来ればとか、いろいろと考えてしまう自分もいる。
モアベターを求めて、今後も考え続けていきたい。


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