乗馬にするより馬肉のほうが、買い取り価格は高い現実
この競り結果から分かるように、肉としての軽種馬(サラブレッド)の価格は大体50万以上が今の相場だ。昔に比べたら上がっている。
これは何故か?と言うと、コロナ禍が関係してくる。国内に肥育用として輸入される馬の頭数・枝肉が減ったこと、おうち時間で少し贅沢な馬肉に手を出す消費者が増えたことなどが言われている。
実際、2021年には1万1364頭の馬が国内で屠殺されている。これは肥育用として輸入した馬も含まれているし、元競走馬も入っている。知ってる人は知ってると思うが、現在では年に2回、繁殖牝馬セールというのがあり、ここで馬を買い付ける食肉業者もいる。
また、現役競走馬のオンライン市場である楽天サラブレッドオークションにもこういう業者がいると聞いている。怪我をしていて安い馬なら輸送費をかけても元を取れるという計算の元で買っているのだろうと推測できる。
それを否定していたら、競馬は成り立たないと個人的に考えている。それは何故か?
今の日本競馬は、JRA(日本中央競馬会)とNAR(地方競馬全国協会)が分かれてレースを行っている。もちろんどっちにも良さがあるのは確かだが、単純に考えればJRAの方が賞金が高いのは分かりきった話だ。
賞金が高い方に皆は預けたいが、そのJRAは馬の新陳代謝を早めたいのだろう。降級制度の廃止や手当の減額等で年を取った馬は早くJRAから転出して地方競馬に行きなさいみたいなことをやっている。
結局中央競馬から出された、まだ能力のあるいい馬が、地方競馬に入ってくることによって、地方競馬で走らない馬が馬房確保の為に出される。その出される場所は肥育場であり肉屋だ。
じゃあこの馬たちを乗馬にしよう。という気持ちは分からなくもない。ただ、時間はかかる。そして、費用のことだ。
昨年11月に行われたサラブリトレーニングのオークション。最低落札価格は50万円~となっているが、売れ残った馬が何頭かいる。こういった馬たちを調教するのにかかった費用は、ふるさと納税だったり支援金でなんとかなっているのかもしれない。ただ、その馬たちを同じ11月に行われた熊本家畜市場の競り市に送り込んでいれば、50万で売れた可能性がある。それくらい馬肉の値段は上がっているということ。逆に言えば、肉より安い値段でも買い手がいない乗馬ということになる。この現実にどれだけの人が気付いているのか?乗馬も飽和しているということ。
もし引退馬が乗馬になったとしても、上手い人なら良いかも知れませんが、初心者に乗られて変な指示を出されて戸惑うとインストラクターが追い鞭を使って指示を出してくる。僕が引退馬ならそんな初心者は乗せたくないです。ただ、最初から馬乗りが天才的に上手い人はこの世にいない。上手くなるには練習するしかない。ただ、難しくて乗りこなせない馬というのもいる。
某コラムで、大学へ行った元競走馬が乗馬として活躍していたが乗り手が卒業して、その馬を乗りこなす技量のある生徒が居ないので大学から出されるというのを見た。この馬は現在も生きて牧場で過ごしているが、こういうケースもあるというのを知ってるのと知らないのとでは大違い。
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